生成AIが存在する今、PMに求められること

こんにちは。データチームのPMを担当しているmattsunです。このブログは、6月の estie PM Meetup に向けたブログシリーズとなっており、「PM Blog Week」第4弾4日目のブログです。<<前回ブログはこちら>>

もうすぐログラス社主催の「新規事業 PdM vs Bizdev どっちが重要?ガチンコ対決」が開催され、estieも登壇予定です。これを受けて生成AIがある今、PMに求められることは何だろうということを考えてみたいと思います。

生成AIとPM:

みなさんは生成AIを業務で使っていますか?estieでは現場レベルで様々な職種が試行錯誤して使っています。

私は実際に使ってみて、プロダクトマネジメントの仕事の一部は効率化できると思いました。

特にデスクトップリサーチ・大量の文書情報の分析・コードリーディング・仕様の策定等ドキュメンテーションについてはとても助かっています。

生成AIを使っていると「もうこいつでいいんじゃない?」と思う瞬間もあり、将来IT系の職種はどうなるんだろうと考えてしまうこともあります。

そこで今回は生成AIが今よりさらに進化し、より高度・クリエイティブな仕事も代替されうると仮定した上で、PMの仕事として何が残りうるのか?を考えてみたいと思います。

現時点では下記の2つであると考えます。

  • 決めること/責任を持つこと
  • 一次情報を収集すること

決めること:

恐らくAIがどれだけ発達しても「決める」ことは人間がやらざるを得ないのではと思います。

特に大きな金額を使う施策や後戻りできない決定、俗にいう1 way doorの意思決定はなおのことそうなのだと思います。

稟議を書くのがAIに置き換わったとしても、稟議の起案者と承認者は人間のまま残るというイメージです。

例えば、PMにおいて「決める」系の仕事の一つにロードマップの策定があります。

複数の選択肢の中でやることを示すことは、プロダクトに責任を持つPMの仕事として残っていくのではと考えています。

なぜ決める仕事は残るのか?と言われると説明は難しくほぼ直感的な理由になってしまうのですが、「納得感」と関連しているのだと思います。

皆さんは「よく分からないけどあの人が言っているならやるか」と思ったことはありませんか?

恐らくそれはその人の信頼感・実績・熱意といったものが説明コストをスキップする力を持っているからだと思います。

特に不確実でリスクを伴うような決定は論理的な説明だけで「よし、やろう!」となることの方が珍しいと思うので、やはりone way doorの決定は人が主体的に担うものなのだろうと考えています。

一次情報を収集すること(顧客等と話すこと):

生成AIを用いて調査していて気づいたのですが、インターネット上の情報は非常に効率的に集めてくれる一方で、そもそもインターネット上にない情報にはアクセスできません(当たり前すぎますね)。

逆にいうとデスクトップリサーチを生成AIに任せることで生身の人間は一次情報の情報収集により時間を割くことができるようになったと言えます。

一次情報というと抽象的ですが、我々のようなToBのサービス開発だと、お客様と話してみる、観察するということが当てはまりそうです。

(実際に、私もあるデータの開発項目について優先度を低く見積もっていたのですが、ある時お客様と話しているとそのデータをよく閲覧しており結構な要求が溜まっていることに気づき、優先度を再考したことがありました)

やや余談ですが生成AIによって議事録等の文書からの知見抽出・構造化は格段に楽になった感があり、営業・カスタマーサクセスやコンサルタントが集めた社外会議の議事録等を元に情報分析するということのハードルが下がったと思います。同じようにデータ分析のハードルも下がりました(欲しいデータを言えばSQLを書いてくれる!ただしテーブル仕様などのコンテクストを共有していないと難しいシーンも多く、これはまた別の話…)。

上記を鑑みても一次情報の価値は相対的に高まっていると考えています。

データ系PMの生成AIの使い方:

抽象的な話が続きましたので、普段データ系PMとして働いている私がどのように生成AIを使っているかも少し紹介させていただければと思います。

データ定義の調査:

データを見ていると「このデータ、どういう定義なんだろう?」とデータの仕様が気になることはよくあると思います。詳しい人に聞くか・社内Wikiを漁るか・腰を据えてデータを生成しているコードを読むか…など色々と考えてしまいますが、生成AIはまず聞く相手としてはとても良いのではと思います。

私の場合、まず弊社のデータインフラであるsnowflakeのCopilotに質問します。これはsnowflake上のスキーマを指定する必要がありますが、その範囲においては雑に質問してもある程度答えてくれます(xxxカラムの定義は何?など)。

上記でもわからない、あるいはより深く知りたい場合にはそのデータを生成しているコードをChatGPTに読ませて「このデータどう作っている?」「どういう定義になっている?」などを質問しています。自分があまり詳しくない言語であっても概況を答えてくれるので便利です。

データに関するフィードバックの集約・分析:

弊社のとあるslack channelに顧客からのデータに関するフィードバックが集まっています(ここをこう変えて欲しい!このデータ違うのでは?などなど)。個々ケースの生の声を知るという意味では非常に便利な一方で、課題の全体感の把握が難しいなあと思っていました。

そこでslack投稿をChatGPTに記憶させ、課題の構造化を手伝ってもらっています。(なお弊社の営業の同僚が顧客との議事録をChatGPTに記憶→構造化させており、その方法を真似しています)。

ある程度の投稿を記憶させると、

  • 頻出する問い合わせの傾向
  • 問い合わせのカテゴライズとその件数の分析
  • 温度感の高そうな問い合わせの抽出

などに答えてくれるのでデータ課題の概況把握に利用しています。

また、課題からの逆引き(この課題は誰が何のデータで指摘していた?)に答えてくれるのも便利で、文脈を思い出すのに重宝しています。

おわりに:

生成AIが進化している環境の中において、プロダクト開発の流れの中で人間が担うべきは、「何をすべきか決める」という最上段の部分とその判断を支える「一次情報の収集」ではと考えています。これら自体は何も目新しいものではなく、昔からPMに求められる要素であると思います。より本質に集中できる環境が整ったと言えるのかもしれません。

また、プロダクト開発においても「軽い実装」によるPoCの速度は相当に加速したと考えます。ですので人間は、抽象的な表現にはなりますが「深い課題を深く解く」という構えも重要なのかなと考えています。

私個人としてはしばらくこれらの領域に時間を集中しつつも、逆に他の業務については生成AIを活用して「楽に」進めていくための模索を続けたいと考えています。

とは言え今後も変化が激しい環境だとは思いますので、その都度考えていきたいですし、読んで下さった皆様も思うところがあればぜひお話しさせて下さい!

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