PM vs BizDev論争に終止符を。フェーズで変わる役割と価値観の話

こんにちは。プロダクトマネージャの齋藤 @shisaito です。
今回は「PMとBizDevの役割」について考えます。

この記事は第4回 PM Blog Weekの連載2日目です。初日は「新規事業開発において重要なのは PM と Bizdev どっちなのかで言うと…」の投稿でした。


先に宣伝となりますが、この記事は6月24日に開催予定のイベントに関連して、私の主張を書いてみました。PM vs BizDev論争に興味がある方は、ぜひイベントにご参加ください!

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はじめに

PMとBizDevの役割は何か? どちらが事業を作るのか?役割分担はどうあるべきか?といった議論は、ちらほら聞く話です。こうした会話の多くは、事業フェーズの違いによる役割や、それぞれの職種の専門性を前提にしていないため、対立構造に陥りやすいものです。

今回ブログでは、3つのパートに分けて、この議論を取り上げてみたいと思います。

  1. フェーズで変わるPMとBizDevの役割
  2. 新規事業はプロダクトとビジネスの両輪が必要
  3. グロースフェーズ以降は役割が分かれ、専門性が進む

※このブログでは、PMとBizDevロールの2人が事業に関わる想定で書いています。

1. フェーズで変わるPMとBizDevの役割

そもそも、なぜこの論争が巻き起こるのかというと、アプローチ方法は様々ですが、PM、BizDevどちらも事業を作れる人だからです。

事業の初期フェーズ(0->1、立ち上げ)では、PMもBizDevも"なんでもやる役割"で、プロジェクトを推進していきますよね。目の前にある課題やアイディアを実現するために、PMがMVPプロダクトを提示してみたり、BizDevが顧客ヒアリング、市場分析、課題探索を進めてみたりと、職能の境界にとらわれず、事を成すための第一歩をがむしゃらに進めていきます。

MVPなど最初の検証や探索を行う段階では、何が正解かわからない状態で仮説検証を高速で回す必要があるため、チームの機動力と柔軟性が重視されます。そのため、PMとBizDevの役割は混ざり合い、役割があってないような状態のまま進むことがよくあると思います。議論を重ね、ピボットしながら、正解に辿り着こうとしていきます。PMとBizDevどちらも魂を込めて事に向き合っている熱いときです。

やがて、MVPをクリアし、事業がスケールし始めると、課題も増えて、見るべき領域が広がっていきます。事業の成長は、組織の変化をもたらし、セールスやマーケなどの取り組みも増えていきます。PMはプロダクト価値を高めるために、ユーザ体験の向上やアウトカム重視の開発に専念していくことになり、BizDevはトップラインを伸ばすために、特定セグメントに対する営業拡大やアライアンス戦略など事業全体や営業面で専門性を発揮していくことになります。

結果として、最初は重なっていた役割や領域が、事業フェーズが進むことによって、専門性が求められて、自然とPMとBizDevの領域は分かれていきます。

2.新規事業はプロダクトとビジネスの両輪が必要

次にPMとBizDevの見ている価値の違いで考えてみます。

事業の初期フェーズ(0->1、立ち上げ)では、事業として価値があるかどうかを見極めるために、PMとBizDevが動きますが、本質的な価値は両者にとって異なります。

例えば、

  • PMが見ている価値:プロダクトがユーザの課題を解決しているか。継続的に使われるのか。

  • BizDevが見ている価値:顧客に売れるのか、商流を作れるのか、競合に勝てるのか。

事業として成立し、グロースさせていくためには、どちらか一方の条件を満たすだけではなく、どちらの条件も満たす必要があります。この価値のズレによって、思い描く成果物が異なり、ビルドトラップに陥ることはよくある話です。(顧客にとって価値のない機能を量産してしまう)

ビルドトラップを避けるために、お互いの見ている価値を理解し、最終的に問うべきことは「プロダクトとビジネス両方を合わせて、この取り組みは事業として成立するか」という観点です。

初期のフェーズにおいて、PMとBizDevの役割は曖昧であり、かぶる領域が出てくるのは当然です。事業を成功させるために、自分が正解だと思うことに熱量を投入しているからこそ、衝突も発生します。

3.グロースフェーズ以降は役割が分かれ、専門性が進む

そして、事業がグロースフェーズ(1->10, 10->100)になると、個人のスキルや関係性に頼った連携ではなく、チーム全体で役割設計や意思決定の仕方、プロセスの型化が進んでいきます。組織マネジメントも重要になります。

  • BizDevが開拓した顧客セグメントやチャンネルに対して必要な機能開発、フィードバックをどのように開発チームに連携するか
  • PMが考えたプロダクトロードマップや顧客のフィードバックを組み込み、機能開発の優先順位をつけて、どのようにデリバリーしていくか。どのようにセールスチームに連携していくか。

大きなチームになっていくにつれて、PMとBizDevの役割分担だけでなく、CS、マーケ、アナリストなど関わる人が増えていきます。その都度、誰が何をやるか話し合うのではなく、プロダクトビジョンやミッションに基づいて各自が自走判断できるように、ある程度の型を設計し、運用していく必要が出てきます。連携が自然に回る状態を設計することが、組織の持続的な成長に直結すると考えています。

まとめ:PMとBizDevが協調して事業を前に進めるには

ここまで見てきたように、PMとBizDevの役割はフェーズによって大きく変化します。

初期フェーズでは、PMとBizDevが“なんでも屋”として仮説検証を回す方が早く、境界を曖昧にしてでも前に進めるスピード感が求められます。一方で、フェーズが進むにつれて関係者も増え、専門性が求められ、連携設計や役割分担の明確化が不可欠になってきます。

また、両者が見ている「価値」の軸も異なります。PMはプロダクトとしての使われ方を、BizDevはビジネスとしての売れ方を重視しており、それぞれの視点があるからこそ、事業として成立させるためには両方が必要です。

重要なのは、誰が前に出るかに囚われることではなく、「このチームで、どうやって事業を前に進めるか」という視点を持つことです。

PMとBizDevは、補完し合うことで事業の成長をドライブできる最強のチームになれます。対立構造ではなく、協調関係としてどう動けるか。ここにしっかり向き合いながら、フェーズごとの変化に適応していくことが、強い事業づくりには欠かせません。

お知らせ

この記事に関連した本イベントが6月24日に行われます。PM vs BizDev論争に興味がある方は、ぜひご参加ください。

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