PdMの素朴な幸福、または私はいかにして不動産テック企業に転職したのか

【プロフィール】高橋奈々(たかはしなな)
京都府出身。大学卒業後、Web制作会社にてディレクター・人事などを経験した後、複数のBtoB SaaS企業にてカスタマーサクセス、PdMとして従事。25年8月estieに入社。趣味は家の近くのビアバーで飲むこと。

なぜestieを選んだか

「高橋さん、出ましたよ!見てください!」
数年前、私の居住用マンション購入を担当してくれた仲介会社の営業担当Kさんからの連絡に、私は耳を疑いました。某路線沿線、それなりの広さと部屋数、駅徒歩分数、ペット可、かつ、かなり貧弱な予算。やはり希望通りの物件はほとんど見つからず、家を探し始めて早3年が経過していました。

「もうこのまま賃貸でもいいかな」と諦めかけたころに付いた、新担当のKさんは非常に優秀でした。迷走していた家さがしの要件定義からやりなおして、「高橋さんはやはりこの街を諦めない方がいいです」「とはいえ物件が出づらいのも事実です。今から3ヶ月だけ、私も頑張るので、土日は内覧に行けるようにしてください」と発破をかけてくれました。
しかし私も素人とはいえ、ほぼ毎日物件サイトを見張る生活を3年続けています。「この街の(手頃な)物件は枯れているはず」とやはり諦めモードは崩していません。宝くじに当たったらいいな、くらいの期待値です。
だから冒頭の連絡を受けたとき、一体何が起きたのかと思いました。
「サイトに出る前の情報が引っ張れたので。高橋さんのレスが早くて助かりました」とKさんは言いました。

そうして新しい家に移り住んだわけですが、実は私はこの街に上京直後から住みはじめて10年近くいることになります。どうやらここ数年、再開発の流れが来ていて、また今度新しく大きなビルが建つそうです。長く住んでいると飲み屋で知り合った近隣住民の友人も多いですが、再開発には賛否両論あるようです。街が綺麗になるのは嬉しいけれど、馴染みの店がなくなったり、この街らしさが失われたらどうしよう、という複雑な心境をよく聞きます。

そんなこんなしつつ、SaaS企業のPdMとして働いていた私に転職エージェントが「おもしろい会社があります」と紹介してくださった企業、それがestieでした。

株式会社estieは、商業用不動産と呼ばれるBtoBの不動産業界を対象としたソフトウェア、いわゆるバーティカルSaaSを提供する、不動産テック企業です。

www.estie.jp

これまで、主にデジタルマーケティングやコンタクトセンター領域に関するプロダクトに関わってきた自分にとって、「不動産テック」はかなり縁遠いものでしたが、とりあえずカジュアル面談でkubotakuさんの話を聞いてみることにしました。

少し考えてみるとわかることですが、私達は産声を上げたその瞬間から不動産に関わっています。私が取り上げられた京都市内の産婦人科も、その後連れて帰られた狭い団地の一室も、一家の大黒柱だった父の職場も、母が特売のチラシを見て買い物をしたスーパーも、すべて土地の上に建っています。土地や物件の取引に関わる意思決定をデータやテクノロジーでなめらかにすること、それはすなわちそこに住む人の生活全体の質を底上げすることに繋がると考えてもよさそうです。
私自身、素朴な人間です。非常に原始的な幸せを愛しています。それは朝起きて、外に出て、「ああ今日は天気が良くて嬉しいな」と伸びをするようなことです。一見資本主義活動と切り離れているようなその瞬間にも、私の身体は不動産に取り囲まれて存在しています。「どんな生活をしたいか?」というありふれた問いはすなわち「どんな不動産と日々、共にありたいか?」と言い換え可能なのです。

もう少し具体に踏み込むと、私の住居の取引は、仲介してくださった営業のKさん(とその所属企業のオペレーション)でなめらかになりました。ですが、私の転居は「サイトに載らない情報」をもっと早く引っ張れれば、さっさと一年足らずで完了できた可能性もあったのではないでしょうか。取引にまつわる事情は商用と住居用でかなり異なることは付記すべきですが、情報の流通には、似た課題があるように見受けられます。

「再開発」への抵抗についても同様で、慣れ親しんだ環境を脅かすその負の側面のイメージを打ち壊すような、面白いまちづくりの事例が増えればいいと思います。都市開発に関わる方々が、街の個性をより引き出すような“攻めた”意思決定をするには、やはりデータの力は不可欠でしょう。

——カジュアル面談で@kubotakuの話を訊いている間、ここまで書いたすべてのイメージが脳裏を去来しました。自然と「ぜひ(選考を受けさせてください)」と、答えている自分がいました。

入社してみて

入社して2ヶ月が経ちました。入社前の期待値とほとんどギャップはなく、非常に充実した日々を送れています。不動産を見る目が変わったことで、休日に散歩していても「なんでこんなところに、こんなビルが建ってるんだろう」といちいち想像してしまいます。ドメイン理解が深まるにつれ、街や世界を見る目がどんどん変わるんだろうなと思うと、楽しくて仕方ないです。

敢えて、意外だったことを2つ挙げます。

1つ目、それは所属されている社員の方々が、文字通り“全員”本気だということです。
スタートアップである限り、掲げるミッションへの熱量があるのは当たり前です。ですがestieでは創業者、ボードメンバーに限らず、社員全体にその熱が均等に行き渡っていることに日々驚いています。

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本気で業界全体を変えよう、日本を変えようという熱のある人たちと仕事ができること。その熱の伝導率を上げるためのアンラーニングは決して容易ではありませんが、とても幸せな機会でもあります。

2つ目、不動産領域でテクノロジーができることは、思っていた以上にまだまだあるということです。入社後のオンボーディングやPdMチームの合宿を経て、その課題の量と難易度に、正直気が遠くなりました。ですがLLMの登場でAI技術が民主化して、取れる打ち手が増えた今、非常に優秀な方が多いだけでなく、熱量の高い組織である estie に所属できていることに、「わくわく」を通り越して、背筋がぞくぞくします。

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最後に

不動産ドメインに取り組むことは、自分の生活の未来に取り組むこと。未経験の方こそ、そう信じて面白がらないともったいない!と思います。
少しでも興味を持って頂けたら、ぜひ是非カジュアルにお話ししましょう!

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