こんにちは、年末年始は子供とずっと一緒に過ごし、子供の語彙力が爆発的に伸びていくことに驚きつつ、負けてられないなと思っているCTOの岩成(tiwanari)です。
今回は、タイトルの通り、新しく青木啓剛さんにVP of Engineering(VPoE)に就任していただき、今まで一人でVPoEを務めていた青木信さん(kirin_shi)と共に、二人の青木さんによるVPoE二人体制(おそらくVPoEの二人が同じ姓なのは日本初 [当社調べ])へ移行したので、その思いについてお伝えできればと思っています。
体制変更に至った背景
Whole Product構想へ取り組む開発部門
estieの開発部門は3つのセクションで構成されています。
セクション | メンバー |
---|---|
Engineering | Software Engineer/Data Scientist/QA Engineer |
Design | Designer/Design Engineer |
Product | Product Manager |
この3つをそれぞれ、VP of Engineering (VPoE) / VP of Design (VPoD) / VP of Products (VPoP) が支えており、「VPoXは、担当セクションの執行責任を負っている」と定義しています。また、所属するメンバーは、Valuesの一つである「ジブンドリブン」にしたがって、このセクションを軸足として自らの職務を果たしながらもどんどん横に染み出していく動きをしています。
estieは「産業の真価を、さらに拓く。」をPurposeとして掲げていますが、これを達成するための方針として、VPoP久保が最近投稿した estieが追い求める「Whole Product構想」-マルチプロダクト戦略から1年後の今- - estie inside blog にある”Whole Product”構想を会社として目指しており、その実現のために (1) 一つひとつのプロダクトを強くすること、 (2) それらのプロダクトがWhole Product構想へ向かってシナジーを生むこと、の両方をそれぞれの押し進めています。つまり、開発部門のVPは、担当セクションを率いてこの二つの側面を両立させていくことが求められており、それぞれの役割を定義したドキュメントでもそのことを明文化しています。
Whole Product構想は、上記記事にもあるようにVPoP久保がプロダクト区分などを率先して明らかにしてくれたこともあり、その実現への動きが加速しています。例えば、Engineeringセクションでは、マルチプロダクトのコアとなる不動産データ基盤を磨き上げるために「Data Managementグループ」を立ち上げ、VPoEの青木(一人目)がそのチームを率い始めたのが昨年後半でした。
加えて、プロダクト構成と組織構造の間にはコンウェイの法則があるため切っても切り離せません。また、マルチプロダクトを早期から目指すスタートアップでは、マルチプロダクト構成を考慮した組織構造を描くいわゆる逆コンウェイの法則を利用する必要があります。estieでは昨年海外スタートアップの事例を研究しつつ、上記Whole Product構想の記事でも触れている「コンパウンドスタートアップ」戦略を練っていました。
外部環境の変化とその対策
昨今は投資市場の状況が一変し、大手企業のレイオフが起こるなど上場・未上場に関わらず「冬の時代」に突入しています。冬の時代に対する開発部門の方針は社内ブログ等で示しているのですが、その中でも大きな要素として組織強靭化があります。estieは良い施策をどんどん提案して自ら実行していくメンバーが揃っているのですが、「強い実行力」と「継続的なイノベーション」を両立する、さらに強い組織へ進化させることが必要であると考えています。
少ない人数で結果を出すことがより求められる冬の時代となったことと、複数プロダクトを作る会社は組織づくり・運営がそもそも難易度が高いという条件が重なり、それにあった体制とすることが必要と判断しました。そこで、最も多くの人数が所属するEngineeringセクションでは、これまで一人が務めていたVPoEの役割を以下のような2つの役割に分割し、それぞれが集中できる形を作ろうというのが今回の体制変更の趣旨です。
役割 | メンバー |
---|---|
VP of Engineering(Technology Leading) | Whole Product構想の実現に責任を持つ。VPoD / VPoPと連携しながら、まずはData Management グループをリードして不動産データ基盤を作り上げる。 |
VP of Engineering(Operation Management) | 開発部門全体の組織づくりに責任を持つ。VPoD / VPoPと協力して強い組織・文化を作っていく。 |
「VP of Engineering(Technology Leading)」というと、他社のVP of Technology(VPoT)のような職務内容と思われるかもしれませんが、弊社ではコンパウンドスタートアップにとって重要なコアデータを整理して不動産データ基盤構築を行うなど、estie独自の職責を担っています。そして、このVP of Engineering(Technology Leading)を今まで採用などの組織づくりに取り組み、かつデータ分析基盤にも強みのある「一人目の青木さん」こと、青木信さんに就任してもらい、さらにスピード感をもって取り組んでもらいます。
「二人目の青木さん」
啓剛さんの紹介
さて、ここで「二人目の青木さん」こと、青木啓剛さんの登場です。先に簡単にご紹介すると、啓剛さんは以下のような略歴の持ち主です。
通信会社で法人営業を務めたのち、ソフトウェアエンジニアに転身。スマホ学習塾「アオイゼミ」等を運営する株式会社葵で執行役員CTOとしてサービス開発・運用を牽引。Z会グループへM&A。その後、複数のスタートアップ企業にてサービス開発に従事。株式会社Fun GroupのVPoEなどを経て、2022年5月より株式会社estieに参画。
「啓剛さんがestieで何をしているか?」と聞かれた「めっちゃくちゃいろんなことをしている」としか答えようがないです。挙げてみると
- 上記で触れたマルチプロダクトを作るWhole Product戦略において重要な役目を持つプロダクト事業部をまとめる事業部CTO
- Corporate ITを担い、インフラ・セキュリティ周りの部門を問わないサポート
- Corporate Operationsという組織横断で業務改善をおこなうチームのマネジメント
のように、多くの役割を担ってくれています(日々どういうことをされているか気になる方は とあるエンジニアリングマネージャーの1日 - estie inside blog を御覧ください!)。
今回振り返って驚いたのですが、実は啓剛さんに入社いただいのは去年の5月で、入社してからまだ1年経っていませんでした。その短い間にこれだけ多くのことを担うようになっているのは、啓剛さんがestieが求めるValues(「イシューシコウ」「バクソクアウトプット」「ジブンドリブン」「アナタシテン」)を高水準で満たして働いているからです。
啓剛さんは、入社時に「自分が入社してどんどん仕事を担っていくから、VPoEの青木信さんにはさらにレバが効くことに挑戦してほしい」と言って入ってくれました。また、入社後も「あふれるくらいの仕事をもらったほうが良い」と、自分のやることを縛らずに有言実行でどんどん染み出していき、それぞれの仕事を品質高くやりきるジブンドリブンな働き方をしてくれていました。そんな方に仕事をお願いしたいですよね?
横道にそれますが、estieは時に無茶ぶりに見えるような任せ方を早く行う組織です。これは、「結局行うなら早いほうが良い」と考えていることもありますが、私も含め「役割はあくまでも職責の違いであり、自分よりも良くできる人がいれば変わったほうが組織のためである(ただし負けないように頑張る)」と考えているメンバーで構成されており、ためらう必要がないからです。
Whole Product戦略を押し進めるestieでは、例えば事業部CTOのような役割は無数に必要であり、常に新しい機会が生まれています。啓剛さんのように文化を体現し、自らの仕事にキャップを付けることなくどんどん挑戦するメンバーで構成される強い組織をつくっていくことを期待し、今回啓剛さんにVP of Engineering (Operation Management)をお任せすることになりました。
啓剛さんが何をやっていくのか
VPoE就任を依頼したところ、気づいたら啓剛さんが所信表明を書いてくれていたので、その内容を引用して具体的に何をしていただくかに触れてみたいと思います。
一つ目は、「部門横断のEnabling」です。マルチプロダクトの組織では、チームが分かれがちなのですが、estieではローテーションなどで開発手法や他チームの良い文化・経験を共有する取り組みを始めています。プロダクト作りに個別チームが集中しながら、部門に横串を通すことを狙うTeam TopologiesでいうところのEnabling Team(他のチームが自律的に活動できるようになるために必要な能力のギャップを埋めることをミッションとしたチーム)の役割に、開発部門を足がかりに取り組んでもらいます。
二つ目は、「採用の改善」です。上記で冬の時代であることを述べましたが、estieは採用の手は緩めません。人事制度がこの1月から刷新されたり、エンジニアリングマネージャー研修が始まったりと、組織が強くなる戦略が実現されてきているため、これらとスムーズに接続する仕組みづくりに取り組んでいきます。
また、「いずれの取り組みに関しても、そしてこれらに限らず今後増えるだろう新たな取り組みにおいても、私ひとりの力では間違いなく成し得ないことです。開発部門を中心に、むしろみなさんが主役となって進めていただけるようにそれぞれの力を引き出す役割を果たしていきたいと思っています」と啓剛さんが書いてくれています。
素晴らしい方に強い組織づくりを進めていただけることにワクワクしてます!
さらに強い組織を作るために
上述の啓剛さんの言葉のとおり、一人で成し遂げられることには限りがあります。estieは活躍できる場が無数にあり、またこれからも生まれる面白い会社です。変化を受け入れてさらに良くなることに共感し、顧客価値というコトに一緒に向かっていただける方はぜひカジュアル面談をしましょう!