事業部CTOはいかなる成果を出すべきか


こんにちは! VPoEの青木啓剛です。

私たちestieには『事業部CTO』という役割があります。最近ちらほらと他のスタートアップでも似たような役職をつくることが増えてきたように感じますが、こうした役割を担う立場の人間がどのような成果を出すべきなのか、という点はあまり語られていないように思います。今回の記事では、ひとつのサンプルとしてestieが定義する事業部CTOが果たすべき成果について書いていきます。

事業部CTOとは

estieではPurpose実現のために「Whole Product構想」を掲げ、次々に事業やプロダクトの立ち上げを予定しています。そして、そのスピードを最大化するための方法として事業部制を採用しています。1つ1つの事業部が1社のスタートアップ企業に相当する裁量と意思決定の責任を持っていますが、技術的な切り口から事業部を伸ばすCTOとして、事業・組織・技術の経営的判断を期待する役割が事業部CTOです。

もう少しシンプルに表現するために募集要項刷新の副業で見えたEM・事業部CTOの役割 - estie inside blogの記事からわかりやすい一言を引用しましょう。

estieの事業部CTOに期待する役割はスタートアップのCTOと変わらない強さが求められていました。

この言葉は私個人としても非常にしっくりきており、これに尽きるかなと感じています。

事業部CTOの成果はどう測るべきか

事業部CTOにはCTOと同じ期待値があるのだとすると、当然ながらその成果はCTOが果たすべきものと同等と考えられるはずです。

スタートアップCTOの成果の参考事例として、estieのCTOも過去に登壇したことがある『Startup CTO of the year』というピッチコンテストがあります。もともと2014年から2021年まではTechCrunch Tokyoのプログラムとして実施されていたもので、2022年からNewsPicks主催に変更されましたが連続性のあるイベントとして継続的に開催されています。

まず、公開されている選考基準・審査基準を見てみましょう。(2017年以前は情報を見つけることができず不明)

選考基準・審査基準
2023年〜2022年 ①課題解決力(経営インパクト:技術課題の解決を通じた経営・事業成長への貢献度)
②組織開発力(組織としての強さや開発者体験の設計力)
③技術力(技術、アーキテクチャなどの独自性や先進性の高さ)
④リーダーシップ(CTO個人のビジョンや人間性などリーダーとしての資質)
2021年〜2018年 技術によるビジネスへの貢献度(独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営についても評価対象)

時代とともに要素が増えるなど変化しているのが興味深いですが、一貫しているのは事業成長に対しての貢献という点と、その手段として技術・組織という両輪が存在しているということかなと感じます。私も何度かイベントに参加しましたが、CTO of the yearに輝いた方々の中でも2015年のソラコム安川さんや2017年のdely大竹さんのプレゼンテーションなどは、事業の状況や特性に応じて技術を活用している点で印象深く、強く記憶に残っています。

なお参考までに、スタートアップではない企業群を対象にした『日経クロステックが選ぶCTOオブ・ザ・イヤー』の審査基準は以下の5項目です。事業への貢献は言及があるものの、短期的な成長よりも中長期の成果につながる戦略性を強く評価する印象で、企業フェーズの違いが顕著です。

ビジョン・戦略 SDGs経営を実現する役目を担うリーダーの1人として、5~10年先のあるべき姿を描き、その実現に向けたテクノロジービジョンやR&D戦略を策定し、その実行を強力にリードしている。さらに、テクノロジービジョンやR&D戦略を社内外に適切に情報発信し、社内・共創パートナーの理解度向上に努めている
事業創出 R&D部門が得意とする技術開発・活用力の強化だけでなく、既存製品・サービスの強化や新規製品・サービスの開発、新規事業の創出といったテーマについて、他の経営幹部と密に連携して、技術経営の強化に有効な推進体制を整え、具体策を講じている
組織風土改革 経営トップや事業部門リーダーと密に対話するなどして信頼関係を築き、テクノロジー開発・活用策を円滑に推進できるよう、覚悟を持って組織風土改革に取り組んでいる。例えば、事業部門とテクノロジー部門が一体となって、事業創出・強化につながるテクノロジー開発・活用プロジェクトを推進している
推進体制・人材育成 テクノロジー開発・活用の実現スピードを高めるため、オープンイノベーション実現に向けたエコシステム(仕組み)の整備・強化を進めている。5~10年先の競争力維持・向上を図るため、内部のテクノロジー部門(R&D部門のあり方・役割、全社視点でのR&D人材の育成/配置など)の最適化を図っている。テクノロジー部門を「技術経営の中核部門」すべく、組織体制を強化したり、多様な人材を育成・採用したりしている
キャリア 様々な経験(挑戦的な技術開発・活用プロジェクト、異動、転職など)を積むなどしで、経営センスや技術経営スキルを磨き、プロフェッショナルCTOとして、他社でも変革リーダーとして通用する力量を備えている

https://events.nikkeibp.co.jp/xtechnext/2023tky/theater2/ より引用

この違いの背景には、スタートアップ企業が非連続な成長を求められているという環境的特性があるとか考えられます。その会社組織を技術的な側面で牽引するCTOは事業成長において結果を出すことに強くコミットメントするべきである、という考え方です。estieにおける事業部CTOも同様で、経営視点で自身が担当する事業を牽引し、品質の高いプロダクトを開発することを通してその成果を出すべきと考えています。

実例としてのestieでのケース

と、ここまでの流れをもとに実例を紹介できるのが理想的ではあるのですが、今回の記事で具体的な取り組みについては言及することは控えたいと思います。

いくつか取り上げることを検討した事例があったのですが、その事例についてプラスの評価をすべきかどうか、判断が難しいと考えたためです。何かしらわかりやすいアウトプットをしたから、ではなく、その取り組みが一定の時間を経て事業の成長カーブにポジティブな変化を与え、複利のように効果が出ていく、そんな成果が生まれた際にはぜひ紹介をさせてください。

最後に

現在、estieでは3つの事業部があり、そのうちで他と兼務のない事業部CTOはまだ1名のみです。今後立ち上がるであろう新しい事業部も含め、技術面で事業成長をリードする役割を担っていただける未来の仲間を探しています。

具体的にお話しできなかった試行錯誤中の取り組みの事例や、事業部CTOの役割や期待について、もし興味をもっていただいた場合にはぜひカジュアル面談にご応募いただけたらと思います。お待ちしております。

hrmos.co

© 2019- estie, inc.