イベント概要
estie(エスティ)は2022年1月12日、約10億円のシリーズA資金調達を発表いたしました。調達した資金を活用して、商業用不動産業界のデジタルトランスフォーメーションをより加速すべく、「estie pro」を拡張するマルチプロダクト戦略を展開。これを支えるべく、組織規模を1年で2倍以上に拡張させる計画を発表いたしました。
今回は、CTO岩成とVPoE青木の2名がパネルディスカッション形式で対話をし、シリーズAまでのスタートアップ経営の面白さ・難しさ、今後のプロダクト戦略・組織戦略について対談しました。司会進行役は、ソフトウェアエンジニアの丸島です。
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アジャイルやスクラムなどのプラクティスは導入されていますか?導入している場合、社内にどの程度浸透していますか?
岩成:これはまるし(丸島)が答えた方がいいんじゃない?
丸島:では私から。浸透という面で行くと半分半分かなと思います。導入する意識は強くある一方で、アジャイルやスクラムの原則に基づいたプラクティスの導入はまだできていないので現状ではなんちゃってスクラムみたいな感じで導入されていますね。直近の活動としてはみんなでスクラムガイドを読んでスクラムの理解度・認知度を上げようと画策しているところです。ということで、認知度としては浸透しているけれど、プラクティスとして導入されているかというと半分というご回答になりますね。
青木:スクラムにするべきか否かに立ち返って話すと、解くべき課題の性質やフェーズによって変わりうると思っています。開発手法であるスクラムの導入を判断するのは各ユニットのメンバーだと思っていて、権限委譲のバランスにもよると思うけどestieではCTOやVPoEが押しつけるものではないと思っています。ただ、ノウハウがないっていうのは問題で、ノウハウの伝道師というかスクラム導入の技術的ハードルを取り払うことは重要だと考えていて、まるし(丸島)が中心になってスクラムに関するレクチャーをしてくれています。
丸島:私も全然詳しいです!とは言えないのですが、界隈の詳しい方や色々な人に助けてもらいながら進めているって感じですね。
もしユニットが本気でアジャイルやスクラムを選んだ場合に、アジャイルコーチを招いたり、認定資格の取得をサポートされるのですか?
岩成:これは、もうYESです!よいものを作るためにはメンバーがレベルアップしないといけないので、そこに対してしっかり投資をしていきます。
青木:もちろん外部からのコーチを呼びっぱなしでは意味がないですが、やる気があるメンバーがいてかつ明確な目的を持っていれば、アジャイルに限らず今でも外部からコーチを招いていますし、今後さらに増やしていこうと思っています。今までだと『パーフェクト Ruby on Rails』を書いたigaigaさんに来ていただきRailsのうちの規約のことを1日議論させてもらったね。特にスタートアップでは、社内である分野に1番詳しい人がマーケット全体で見たときに1番詳しいとは限らないので、外部の知見を積極的に活用しようという意識を持っています。
プロダクト間の優先順位付け・スケジュール・ゴールは誰がどう決めていますか?
岩成:粒度によりますが、まずestie proをメインに担当するプロダクトマネージャーが一人いて、estie pro周辺のデータパイプラインの連携などを一括で管理しています。また、新しいプロダクトを作るチームには、それぞれプロジェクトマネージャーがいます。プロダクトをまたいだ技術的な意思決定については、代表の平井やCTOの私、VPoEの青木が話し合って決めるという形をとっています。
丸島:この人が全部決めるっていうわけじゃなくて、ユニットごとにみんなで考えながら進めるという感じですね。
プロダクト開発において、前職での経験やスキルが生きていると感じる、逆に完全に異なり面食らうようなことはありますか?
岩成:無限にあるなこれは(笑)。スタートアップは様々なバックグラウンドを持つ人間が集まる場所なので、みんな何かを持ち込んでいるし、苦労は人それぞれだと思います。私としては、データパイプライン作りやスクラム開発の経験や、QA体制の布教活動などは今の仕事に生きている一方で、to Bのエンタープライジングに向けて売っていくプロダクトを作る経験が無かったので、面白難しいなと感じますね。
青木:僕は、顧客とのやり取りから顧客のニーズを掘り起こすことや、プロジェクトマネジメントの経験は現在の仕事にも生かされていると思います。全然違うなと思うのは、毎日機能をリリースする世界観をいかに作っていくか、という点については岩成から日々学んでいます。
丸島:私の話もすると、前職はスクラムを原則に基づいて導入している組織だったので、スクラムに関する知見をestieに持ち込めたかなと思います。自分のスキルを組織に持ち込んで貢献できている感覚は、非常に嬉しいものがあります。業界独特で面食らったところでいうと、前職はある程度綺麗に整っているデータを扱っていたのですが、オフィス不動産のデータは人が入力したデータも多くてデータのバリデーションやノーマライズが大変だし、フロンティアというか伸び代もあるしやりがいのあるところですね。
0→1が得意なエンジニアと、10→100が得意なエンジニアとではスキルが異なる気がしますが、このギャップは感じますか?あるいは、採用などでその点を意識されていますか?
青木:まず、チームでの開発の経験の有無は採用でも意識しています。その上でフェーズによる得意不得意はあると思っていて、既存のチームの成果を最大化させることが得意なのか、仮説ベースで作り上げていくことが得意なのか、人によって異なります。estieには様々なプロジェクトが常に走っているため、個々人の性質に合わせてプロジェクトにアサインできます。
岩成:この質問は難しいね。自分がどっちかわからないなと思っていて。0→1については、不確実性を楽しめるかがキーになると思う一方で、10→100が得意なことも同じくらい価値があることだと考えています。0→1が得意か、10→100が得意かという観点だけで採用の際にアサインするプロジェクトを決める、ということはないです。本人がやりたいと思っていることと、会社がやって欲しいと思っていることのオーバーラップが取れているといいと思っています。
青木:話を聞きながら、estieはまだ10→100のフェーズには達しておらず、もう少し先の話なのかなと思いました。まだ、1 → 10に近いという感じで、僕らがわかっていない何かがあるかなと思います。
エンジニアリングの面で不動産業界らしさはありますか?
丸島:これはいかがですかね?さっき自分が話したデータっていうのもあると思うのですが。
岩成:不動産業界に特化したプロダクトを作るとなると、業界の知識を取り入れる必要があります。エンジニアリングでいうと、実は同じものを特定するのが難しい問題があって、ビルの名前や住所はめちゃくちゃ揺れるものなので名寄せ問題はありますね。
青木:入社前は名前と住所でgroup byしたらどうにかなるんじゃないかと思っていたら、全然そんなことなくて解き甲斐があるなと思っていました。最初にご紹介したデータパイプラインの構造はそれを解消するものなので面白いしワクワクしています。不動産のデータの奥の深さについて、また今度ウェビナーで話す機会があるので是非ご参加ください。
最後に
丸島:なりさん(岩成)と青木さんに、シリーズAを経てこれから作りたい世界であるとか、どういうエンジニアリング組織を作りたいかなどについて、ざっくばらんに話を聞こうと思います。2人はどういう組織を作っていきたいですか?
岩成:1つは、「estieのメンバー強いよね」って思われるチームの技術力的なブランディングをしっかり行っていきたいです。
青木:強いチームを作りたいというのは、我々の経営の観点でも1番大事なトピックです。今回シリーズAで10億円調達させていただいて、どこにそのお金を投資するかという話になると、やはり強い仲間を集めて強いチームを作ることが重要だと思います。テキトーにプロダクトを作って何とかなる世界ではないので、きちんと強いチームを作っていくことを重視しています。
岩成:今までは「ちゃんと売れるものを作っていく」という意識がありましたが、最近は技術的に難しいことに投資できるようになってきました。また、今までのestieの事業の過程でデータが溜まっており、そのデータを使って顧客に価値を提供するためにデータサイエンスのチームを立ち上げることを考えています。
丸島:データベースは大きくなればなるほど価値・面白味が出てくるので、データの基盤を作っている我々としても期待感は高いです。
青木:あえてプロダクトが目指す世界とは別軸の話をすると、チームが大きくなっていく中で、それぞれ自律性を持ってある程度関心が分離しながらもある程度繋がっている、そんな組織を横串で運営するスキルを磨いていく必要があると思っています。「あの企業のマネをしたら良さそう」がない世界なので、強いチームを一から作っていきたいと思っていますし、挑戦できるフェーズになってきたと思っているので、延長線上で作れるものではない、クレイジーなことに挑戦したりWOWと言わせるようなチームにしていきたいですね。
岩成:頭の悪いことをするのが楽しいところはあるからね。そうは言いながらも、批判的に物事を見る姿勢は忘れないようにしています。
丸島:私も同意ですね。振り切れたことをやりたい感覚はあります。
以上
estieはシリーズAの調達を経て、新規プロダクトを次々と作っていくべくどのポジションも採用を強化しております。チャレンジしたいという方、すこし気になるという方もまずはカジュアルにお話させていただければと思います。
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