こんにちは、estieでCTOを務めている岩成(Nari)です!オフィスにかき氷機を導入したり、みんなにチョコを買ってきたりしていたら「くいしんぼう」って言われるようになってしまったのが最近の悩みです…。
estieは創業3年弱のスタートアップで、まだまだ「estieってなに?」「何をつくっているの?」と聞かれることが多いのですが、ありがたいことに9月のICCスタートアップ・カタパルト優勝によってお声がけをしていただくことも増えてきています(ぜひCEO平井の記事を御覧ください!)。
今回は、「estieが技術的にはどんな課題を解いているか」を少しでも知っていただければと思います!
estieってどんなプロダクトをつくっているの?
estieはオフィス不動産テックの会社で、「オフィス探しのestie」と「オフィス賃貸業データプラットフォームestie pro」の2つのプロダクトを開発しています。
「オフィス探しのestie」 は、オフィスを探す借主(テナント)と、最適なオフィスを探してくれる仲介会社をつなぐマッチングプラットフォームです。これまでは各社毎に連絡しなければいけなかったところを、複数の仲介会社から多様な提案をもらえることが売りとなっています。
estie proについては、ICCスタートアップ・カタパルトのYoutube動画が5分ほどで短くてわかりやすいのでぜひご覧ください!
動画が見られない方もいると思うので端的にいうと、オフィス不動産を取り扱うことを仕事としているプロの業務をデータの力でサポートするサービスです。
オフィスと住宅の違い
僕はもともと不動産業界の出身ではなく、自分でオフィスを借りたこともなかったので「住宅と違ってオフィスは賃料があまり公開されていないけど、estieはその情報を集められているんだよ」と教えてもらったのが業務委託で関わり始めたときの最初の驚きでした。情報がPDFや紙などを元にしたやり取りで行われていて、デジタル化が進んでいないところも「これはやりがいがあるな」と感じたのを覚えています。
少しだけestieが何をやっているかを説明すると、募集中のオフィス情報を大手デベロッパーや仲介会社などと提携することで50以上のデータソースから収集し、日本最大級の不動産データベースを構築しています。そのデータベースを元にして複数のプロダクトを提供し、貸主が募集を出して借主が入居するまでを一気通貫でサポートする仕組みを作っています。
これをオフィスを借りるテナントの目線で考えると、オフィスを借りる際の意思決定のための情報をestieが提供し、会社にとっての「価値創造の心臓部」を探す手伝いをしているわけです。
僕は「オフィスはワクワクする場所」と思っています。これは、オフィスで突発的に起こるペアプロや、ホワイトボードでの設計議論が良いものを作ることに繋がるなとエンジニアとして感じたことが理由です。それは必ずしも豪華なオフィスが必要ということではなく、例えば僕が起業して初めてオフィスを持ったらそれだけでテンション上がると思います。
ICCのピッチでもありましたが、オフィス不動産において網羅的なデータベースは現状日本では存在せず、その挑戦に乗り出せているのがestieの面白さ・楽しさです。
不動産ドメインモデリングの難しさ・面白さ
さて、日本にまだないデータベースを作っていくというのは、未知に挑戦する難しさ・面白さを持っています。多数のデータソースを整理してデータを蓄積し、顧客に価値を届けるデータパイプラインづくりは、Webアプリのようにフレームワークがあるものではなく、様々なメンバーの知見を集めたり、業界にあった深いモデリングを行ったりする必要があります。
例えば、オフィス不動産では、ビル名や住所が物件を特定する主要素なのですが、世の中には同じ名前の物件が複数存在したり、物件の売買で持ち主が変わることによるビル名変更が頻繁にあったり、郵便番号は同じものでも県をまたいだ町名に紐付いていたり(日本郵便株式会社からは「郵便番号データの説明 」にて郵便番号データの留意点も記載されています)と現実を扱うには様々な揺れが存在します。これらの揺れは、複数のデータソースを用いているために、データの重複といった複雑な問題の原因となってしまいます。また、プロダクトを進化させていく中で「世の中には中二階(1.5階)が存在するビルが多い」という気づきを得て「階数は整数でない」と学ぶなど、日々苦心しながらより良いモデル・仕組み作りを行っています。
これらは課題の片鱗にすぎませんが、作っては壊し作っては壊しを繰り返し、パイプラインの改善に取り組んでいます。「世の中にまだないデータベースを作る」というのは非常にチャンレジングなことですが、開発部門・ビジネス部門の垣根なく活発な議論が行われ、目まぐるしい勢いで改善されていっています。繁にモデリングによってデータパイプラインを更新するため、「データパイプラインの歴史」というWikiページを作って新メンバーに黒歴史も含めて経験やを伝えています。
データの活用
estieでは、世の中にまだない網羅的なデータベースを構築する中で、独自のアルゴリズム開発をするなど、情報がどんどん集まるエコシステムで得られるデータでどんどん改善を行っています。
また、扱うのはオフィスの募集情報や物件情報に限りません。不動産賃貸業ではどのようなテナントがビルに入居しているか、そのテナントはどういう企業なのかを知ることでより円滑なやり取りを行うことができます。このようなデータもゼンリングループと提携することなどで集めており、estieしか持っていないデータの組み合わせが実現できています。
これからは、これまでで蓄積してきたデータ・これから蓄積するデータを基盤に、広範囲でデータの活用を考えるデータサイエンス部門をまさに構想し始めている段階で、もっと面白いことができそうとチームでわくわくしているところです。
さらなるプロダクト・事業の開発
現在estie proとestieの2つのプロダクトを開発していますが、顧客の業務を徹底的に解明し、さらなる機能開発をしています。BtoBだと顧客が遠いと思われがちですが、BtoBだからこそ仕事で使う真剣な顧客の声を聞くことができます。最近でも「神プロダクトですね」と言われて喜んだり、「新しい機能良いけど、もうちょっとこうなってないと業務に合わない」と言われて仮説がハマりきっていないことを悲しみつつ学びにしたりと、新しい価値を提供するたびに得られるフィードバックに一喜一憂しています。
また、開発を進めている複数の新規プロダクトは、既存のプロダクトとシナジーがあり、「このプロダクトのデータがあっちのプロダクトで活用できる」など、データのつなぎ方を考える必要も出てきています。これに伴って、まさに将来のプロダクトアーキテクチャを考えている段階で、チーム全体がこの経験でさらに強くなっていくことが見える楽しさを感じています。
estieで一緒に面白い問いを見つけて解決していきませんか?
今回はestieでのプロダクト開発の技術的な面白さ・課題の概要を紹介しました。今後はもっともっと技術の詳細に踏み入ってお話できたらと思います。
estieはプロダクトもチームも急成長しており、これからフェーズがどんどん変わっていくことを見ることのできるまさに「入るなら今」という楽しい時期です。
エンジニア採用情報ページにもまとめていますが、面白い課題がたくさんあります。これらの詳細は続くinside blogで次々ご紹介させていただければと思います!
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