株式会社estie代表の平井です。結論から言います。育休は、社員であろうと役員であろうと絶対に取った方がいいです!その理由は、世界の見え方が変わること、家族というものへの見方が変わることなど様々ありますが、何より子どもが可愛いからです!
正直に言うと、男女問わず制度上も職場の雰囲気も育休を取ることが推奨されるということは、今の世の中アピールするほどまでもなく「当たり前」だと考えていたので、本記事を書くつもりはありませんでした。今更になって「リモートでもオフィスでも自分がその日一番生産的になれる場所で働いてください」と言うくらい、当たり前すぎて逆に大々的に主張するのが恥ずかしいとすら思っていたのです。
ただ、育休が空けて数週間が経ち、社会的には意外と、育休を取りたくても様々な理由で諦めてしまっている方が多いということ、そして自分自身が育休時に体験したことや考えていたことの記憶が薄れてきていると自覚し、それを記録する価値があると思ったことから、この記事を書いています。
★ 本記事の対象読者
- これから出産、子育てを控えた全ての方
- 株式会社estieの全社員
そもそも、どんな感じで育休取ったの?
僕自身は会社役員なので、制度上は勝手に休んでいるだけですが、社員については法律でもバッチリ定められている制度なんです。広島県のウェブサイトがわかりやすかったので引用させていただきます。
ちなみにestieでは、国が定めた育児休業のほかに、育児休暇という「配偶者の出産支援や小学校就学の始期に達するまでの子どもの育児のために、年次有給休暇とは別に取得することができる休暇」を会社として定めて、社員や役員が性別を問わず出産前であっても取得できる特別休暇を用意しています!
我が家の場合は、2021年11月に長男が産まれ、2022年1月に妻と子が帰京、2022年3月に育休を取得しました。妻は2022年4月からの職場復帰を決めていたので、復帰前に夫婦2人で子育てに取り組む時間を取れたことは、大きな価値があったと感じています。
育休を取得した時点の会社の状況にも触れておくと、2022年1月にシリーズA10億円の資金調達を実施して、2月関連イベント盛りだくさん、3月からいざ急成長!!!というタイミングです。そのタイミングで「じゃ、僕休むんであとよろしくです!」という社長を快く送り出してくれた社員、投資家、そしてお客様に大変感謝しております。
ちなみに出産前後も1ヶ月ほど妻の実家がある岐阜からリモートワークをしていたのですが、つつがなく投資委員会やDDを進めていただいたVCの皆さんとコーポレートチーム、万全な執務環境を提供してくれた家族にも頭が上がりません。
激動の3月
子育て以前の課題への気づき
さて、育休に入った3月ですが、スタート時点から自分の無力さを痛感することになります。妻は数ヶ月新生児の育児を経験してきた一方、僕自身は実質ゼロからのスタートでした。2月は資金調達直後で仕事が忙しいことを言い訳に、能動的な育児に取り組んでいなかったのです。
我が家の家事分担は以下の通りです。まず、僕が割り当てられているのは掃除機、風呂・トイレ掃除、たまに料理、自分が料理を作っていないときの皿洗いです。そして子どもが帰京してからは深夜のミルク1回。一方の妻はそれら以外の全て、名前のつかない家事も含めてを担当し、加えて僕に対して正確無比な指示を出しています。
僕の課題は明確でした。まず、1点でも妻よりも早く何かに気づき着手するところからです。ただそれが難しい。家の中の物の配置も十分に把握しておらず、全ての初動で妻への質問が必要になる有様。子育て以前の問題です。これまでいかに助けられて生活していたかを実感しました。妻には本当に頭が上がりません。
肝心の子育て
本記事のテーマである子育てはというと、こちらも圧倒的な知識の差があります。産休中から本やGoogle検索で時間投資をして学んでいた妻は、どれくらいの着替えが必要か、予防接種のスケジュールは、お食い初めのロジなど、全てにおいてスムースに事を運んでいきます。
育休初期に僕にできることは少なく、①なるべく妻が1人の時間が取れるように抱っこ、寝かしつけ、ミルク、オムツなどのやり方が明確なことは率先して行う、②分からないことは端的に質問して1回で覚える、というものです。
ここまでを振り返って、ほとんど100%妻への感謝の文章になっていますが、ここから育休を取って良かった発見を順に振り返っていきたいと思います。
育休をとって良かったこと
世界の見え方が変わる
子どもが産まれると、全ての生活が子ども中心になります。息子は腹時計が正確だったので、授乳と授乳の間を基準時間として、全ての行動を組み立てていきます。しかしながら、寝かせたり、あやしたり、予測不能で不定期なことがその間にたくさん起きるため、臨機応変に対応する必要があります。世の中のお父さん、お母さんのスケジューリング能力、緊急対応力はすごすぎる。
また、外の世界も困難がいっぱいです。ベビーカーを押していると道路のガタガタがすごく気になるし、駅でエレベータを探していると目的地への到着までに倍の時間がかかります。また道中オムツ替えの必要が生じたら、場所を探さなければいけません。増えたとはいえ、まだまだ男性トイレにオムツ台がない場合も多く、事前のリサーチが欠かせません。
これら全て、子どもが産まれる前から把握はしていたつもりでした。しかし自分が体験をしないと本当の意味で理解できないものです。この「実体験しか真に理解できない」という事実そのものが重要だと思います。妻の発言も、従業員の不満も、顧客の機能要望も、その背景に十二分に向き合っても尚50%しか理解できていないかもしれない。そう自覚しながら耳を傾けるようになりました。
家族というものへの見方が変わる
妻への感謝は先に述べた通りです。家族を構成する1人として、不十分な活躍しかできていなかった自分に気づくことができました。加えて、それ以上の変化もあり、それは自分たちの両親への気持ちです。
僕も妻も、家族の仲はとても良い方だと思います。子どもが産まれる前から定期的に帰省はするし、東京で集まってご飯も食べることもしばしばあります。しかし、子どもが産まれてからのそれは一味違います。両親は孫に会いたいし、僕らは親に子どもの顔を見せたい。これまでは親から言われなければ顔を見せたりLINEを返すこともなかったのですが、こちらから連絡をするようになりました。
僕自身、息子の一挙手一投足に喜び、妻と「この子が大きくなったら〜」と会話をする度に、自分の両親のことを思い出すようになりました。こういう気持ちで自分に接してくれていたのかと思うと、感謝とともに還暦を過ぎた両親をこれまで以上に大切にしようという思いになります。
子どもが可愛い!!!!
最後に、これが一番重要なことですが、何より子どもが可愛いです。毎日、寝ても覚めても子どもと過ごす時間は、育休期間中くらいではないでしょうか。昨日は届かなかったものに今日は手が届く、昨日は認識できなかった鏡の中の自分に今日は笑いかけるなど、毎日確実に成長しています。
日々学び、世界を知る我が子の姿を間近で感じることができるのは、何よりも尊いことだと感じています。ちなみに先日遂に寝返りに成功しました。
おわりに
子どもが親を育ててくれるとよく言いますが、本当にそれを実感しています。彼が大きくなる過程でどんな思い出を残せるか、彼が大きくなったときにどんな社会を残せるのか、そんなことを考えながら日々を過ごすようになりました。
小さい頃の記憶を今はもう覚えていない方が多いかと思いますが、子どもを見ていると昨日のことは覚えているんじゃないかと感じます。きっと3歳くらいまで0歳のときのことを覚えていたり、7歳では0歳の記憶を忘れていても3歳の記憶は残っているんじゃないでしょうか。これを読んだ皆さんが、次の出産タイミングはぜひ育休を取って、ご家族と大切な思い出をたくさん作ってくれることを願っています。
最後になりますが、estieの創業1年足らずのタイミングで出産を経験し、今回の「育児休暇制度」の導入でも並々ならぬ活躍をしてくれた田渕と、ぜひ本件についてお話ししてみてください!