アクセンチュアデジタルからスタートアップへVPoEとして入社して考えたこと

こんにちは、estieでVPoEをしています青木です。

2019年11月の入社以来1年半以上の時間が経過していますが、改めてestieに入社するまでに考えたこと、estieでやってきたことを振り返りながら、内側から見たスタートアップの日々をお伝えできればと思います。


【 プロフィール】
青木 信(あおき しん)
1991年千葉県生まれ横浜育ち。
東京大学数理科学研究科修士課程を修了後、2016年にアクセンチュア デジタル(当時)に入社。
"ビッグデータ"を軸足に、官公庁関連のデータ基盤刷新プロジェクト、小売業界のCRM(Customer Relationship Management)基盤構築プロジェクト、通信業界のグループ会社全体への機械学習プロジェクトなど複数の案件に従事。2019年11月よりestieへVPoEとして参画。
コロナ禍下でとてもかわいいハリネズミのえりぞうと棲み始めた。

estieに入社するまで

学生時代: 数理科学研究科での研究と教職の経験

理学部数学科から数理科学研究科に進学し、紙とペンだけでやる理論数学の世界で研究をしていました。
また、教育分野に興味を持ち中学・高校の教員免許を取得し、非常勤講師として都内の私立中学校で教鞭を執ってもいました。

卒業後すぐに教員になることも検討したのですが、「これまでの教え方を再生産するのではなく、現代社会の向かう先を知ってそれに必要なことを教えられる教員になりたい」と考え、修士課程卒業後は進みたい未来を作れそうな企業を探して就職活動をすることに決めました。
いくつかの企業を検討した上で、最終的に当時コンサル業界でいち早くデジタル部門を立ち上げていたアクセンチュアに就職しました。
まだまだビジネスの世界のこともわかっていない私には幅広い領域の経験を積めるのは魅力的でしたし、プロジェクトの合間に長期休暇を1ヶ月くらい取れたら沢山海外旅行に行けそうでいいなと思っていました笑
(実際、入社してからキューバ、イラン、ベトナム、モンゴルと色々な国にじっくり旅行に行けました)

コンサル: デジタル化の最前線で感じたこと

アクセンチュアの良かったこと

アクセンチュアでは「クライアント・ファースト」という考え方が浸透していて、ときにクライアントが要求していることであっても本当にお客様のためであれば"No"と言うこともありました。そのような文化の下でクライアントと本当の信頼関係を築き、お客様の高い期待を超えるプロフェッショナルな成果を出すことを重視する環境で社会人としてのキャリアをスタートできたのは財産となりました。

特に、大手小売企業向けのCRM基盤構築プロジェクトが最も印象に残っています。
このプロジェクトでは、要件定義〜機能リリース、その後の保守・運用までフルスコープで関わらせてもらいRedshift, EMRといったAWSのサービスを用いたデータ基盤の構築を十分時間を使いながら知見を深めることが出来ましたし、うまく行った点・改善点を設計・開発・テスト・運用の各後続フェーズで感じることが出来たことは長くシステムに深く関わる上で貴重な経験となりました。
ビジネスの観点では、社内の戦略立案、マーケティングや機械学習を用いた高度分析といった各専門性を持った方々と一緒に仕事をすることができ、実際のユーザとより近い距離で議論し考えを吸収しながら「ユーザにとって価値があるシステム」を模索でき、何のためにプロダクト・システムを作るのかをより深く意識するきっかけとなりました。
プロジェクト途中からはチームリードになりましたが、北海道と東京の両拠点に5名ずつ合計10名程度のチームをマネジメントするニアショア体制の中で、経験豊かなチームの皆さんにむしろ沢山のことを教えていただきながらマネジメントのいろはを覚えてきました。
最終的に、クライアントにとってIR資料に専用セクションが用意されるような重点プロジェクトとなり、コンサル冥利に尽きる非常に楽しい日々でした。

限界を感じたこと

アクセンチュアでの日々は非常に充実していたのですが、上記の最高な日々を終え、徐々に自分のできる領域が増えるにつれて個人として新しいチャレンジをしてみても良いのかもなと感じ始めるようになりました。

不確実なチャレンジをしながら業界全体へ貢献をしたい
コンサルティングファームという業態の特性上、多くの場合にはクライアント企業1社の事情を深く理解し、貢献するためにプロジェクトが発足します。
その企業の業界での立ち位置、社内の組織体制、過去の戦略とこれからの方向性を深く考え、業界内でより優位なポジションを築くための戦略立案と遂行を担当していきます。ただ、実現するためにはクライアント内での政治関係や決裁者の意向など、提供するプロダクトと同じくらいクライアントの事情を理解することが求められるとともに、多額のフィーを頂いている以上、必ずバリューを提供できる方法を見つけることが求められます。

会社が過去から蓄積してきたノウハウを活用し、クライアントへ大きなインパクトを出す業務にもやり甲斐を感じていましたが、より不確実なチャレンジをしてみたいという思いと、1クライアントに閉じるのではなく業界全体への貢献に直接関わってみたいという思いが芽生え始めました。

看板無しで自分の力を見極め伸ばしたい
特にデジタル領域においてアクセンチュアというネームバリューと洗練された方法論は非常に力強かったです。一方で、アクセンチュアという先人たちが築き上げた看板なしでの自分の力はどの程度あるのかと考え、試しながら自分を磨いてみたいと感じるようになりました。

新しい価値観をインストールしたい
社内の優秀な方々と関わる中で、少なくとも社内で優秀とされる価値観は理解できるようになり、自分自身がキャリアアップするイメージも持てるようになりました。ただ、この状態は"局所最適解"なのではないかと漠然とした不安を感じるようになりました。これまでとは違う"ものさし"で自分のことを見つめてみることにも意味があるのではないかと考えはじめました。

estieとの出会い

たまたま夏休みに創業者に誘われて、軽い気持ちで当時まだ5人程度しかいなかったオフィスに遊びに行ったのがestieとの出会いでした。
アクセンチュアでの経験や個人の興味で色々調べていた内容を基にAWSやデータベースのチューニングのアドバイスをしていたのですが、関わる中で働いているメンバの優秀さとその情熱に魅せられ、アクセンチュアで感じていた限界を突破できるかもしれないと思い、estieへの転職を決めました。最後はCEO平井と本郷三丁目駅前の日高屋で話して入社を決めました。estie史上一番コスパが良い採用ディナーな気がします笑

estieに入社してから

VPoEとしてどんなことをしてきたか

入社時からVP of Engineeringとしてエンジニア組織のチームビルディングを担当しています。
入社直後はフルタイムのエンジニアが2名しかおらず、どちらかというと自分で手を動かしたり業務委託として関わっているメンバと会話しつつ、estieが開発しているプロダクトの1つであるestie.jpのPdMも兼任し、ユーザインタビューやマーケティング戦略の策定、KPI設計や施策アイデアの検討も担当するなど、幅広く色々なことに挑戦させてもらいました。

最近はありがたいことに優秀で情熱あふれるエンジニアがどんどん入社してくれているので、私自身は採用/成長のための仕組みづくりによりフォーカスするようになっています。
採用関連では、必要な職種の見極めとジョブディスクリプションへの落とし込み、有効な採用経路の選定などを実施しています。
社内のエンジニア成長のためには、勉強会の枠組みを設定、1on1での目標の振り返り実施など色々試しています。
詳しくは、こちらの記事でご紹介していますので、ご興味あればぜひお読みください!
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estieに入社して変わったこと

fail fastへのマインドチェンジ

前職で常に”プロフェッショナル”として着実に成果を出すことを求められていた経験をアンラーニングするのに苦労しました。
市場があるか不確定な挑戦をするスタートアップにとって、成功に欠かせない要素は丹念を込めたサービス・プロダクトを早くユーザに問い、”fail fast”することだと考えています。
これはestieに入社した頃から知識としてはスタートアップはそういうものだと理解していましたし、コンサル時代にもマネジメントの本質は不確実性を早く抑えることだと学習していたのですが、スタートアップに飛び込んでみてそのスピード感の違いや考え抜いた機能を実装したがそれが顧客に響かなかったときダメージの大きさに適応しきるまでに時間がかかりました。

日々急速に世界が変わっていく

私自身が入社した頃と比較すると、今のestieは全く違う会社のようです。
入社当時は限られた人数でインフラ、データ、アプリまでの領域を本当に文字通りなんとかしていたのですが、それぞれにプロフェッショナルな領域のエンジニアがどんどん入社して、チームとしてできることのスピード・練度が見違えるように変わりました。
エンジニアに限らず社内全体で心強い背中を預けられるメンバが増えていっています。
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また、プロダクトも数多くの挑戦と失敗の屍をこえて、サービスが提供する価値そのものから大きく変わっていますし、それにより事業の面でも一年前とは比較にならない規模に成長しています。


前職時代では最初にクライアントと合意したプロジェクトのスコープを根本から変えることは困難でしたが、estieではチームとしての経験を通じて今フォーカスするべきことにクイックに舵を切れるのは楽しいですし、同じことを続けるのがあまり好きでない私も全然飽きずに楽しめているなと感じています。

これからestieでやりたいこと

より強力なテックの力で非連続な成長を起こせるチームを

入社してから1年半が経ってオフィス不動産業界の理解が深まってきた中で思うことは、このドメインには技術的に解くのが難しい課題が多く存在しているということです。

リアルな世界に存在するオフィスビルやその中にある区画、そこに入居するテナントとの賃貸借契約は、個別性が高いうえに、現状統一的なマスタ情報も存在しません。
業界内のそれぞれのプレイヤーは断片的な情報を持ち、それらを突合するためのidも標準化された名称もない(ビル名の記載が異なったり、旧名称が書かれていたり)ですし、住所情報も一意に物件を指定しうるキーになりません。

このようなシステム目線で見るとカオスな状況を整理して、オンライン世界上に正確な不動産の状態を表現するためには、まだまだ技術的に解くべき課題が多く存在します。

これらを解決するためには、より強力なテックの知見を持ったチームを作り上げ、チームが本質的な顧客価値のためにフォーカスできるような仕組みづくりを継続して、非連続な成長を起こし続けていきたいです。

不動産業界のGitHubになりたい

顧客にとって「なかった世界にはもう戻れない」と感じてもらえるようなプロダクトを作っていきたいと思っています。
エンジニア界隈ではGitHubがサービスダウンしていると、「今日はもう仕事辞めて帰ろ」というtweetが多く見られたりするのですが、このような「サービスが落ちたら仕事にならないからもう帰ろ」と言われるような業務上必要不可欠なツールを作り上げていきたいです。
(もちろんサービスが落ちないように、インフラ含めた改善もやっています)

estieが目指す世界を実現するにはまだまだ仲間が足りません。
少しでも興味を持っていただけたら、ぜひカジュアルにお話しさせてください!


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