
【プロフィール】松谷 勇史朗
2016年に株式会社スタメンに新卒入社。エンジニアとしてプロダクト開発に従事し、2020年よりCTOに就任。東証マザーズ(現・グロース)上場や複数の新規事業立ち上げを経験。約9年間の在籍を経て、2025年6月よりestieに参画。
今までのキャリア
新卒から約9年間、株式会社スタメンで過ごした時間は、まさに「濃密」の一言でした。
2016年、まだ学生インターンだった頃に飛び込み、創業期の混沌とした中で、コードを書くだけでなく、採用や組織マネジメントまで、会社が前に進むために必要なことは文字通り「なんでも」やりました。
会社の成長過程で責任を持って様々な役割を経験できたこと、そして3度の新規事業立ち上げに没頭できたこと。大きな裁量と挑戦の機会がある環境で揉まれたからこそ、技術と事業を強く接続する視点を持てるようになったと感じています。これらが、今の自分にとって何物にも代えがたい財産となっています。
なぜestieを選んだか
次のキャリアを考えるにあたり、手当たり次第に探すことはしませんでした。求めていたのは、Webの中だけで完結しない「確かな手触り」です。
きっかけは、estieのCTOである岩成さんと話した時のことでした。 会話の中で、不動産という巨大な物理的産業には、まだテクノロジーが解き明かしていない広大な領域が眠っていることに気づかされました。 まだ完全には結びついていないからこそ、ここを繋ぎ合わせた時に生まれるインパクトは計り知れません。この領域が秘めるリアルな世界とITが融合した時のポテンシャルの凄まじさに、純粋な衝撃を受けました。
一般的なWebサービスの開発では、多くの場合データベースの状態が正解そのものです。しかし不動産領域では、正解は常に物理的な現実にあります。システム上のデータと、実際のビルや土地の状況との間には、どうしてもズレが生じる。そのズレをいかに技術で埋め、現実を正しくデジタル上に再現するか。これは単なるCRUDアプリを作るのとは次元の違う、エンジニアリングとしての深い問いです。
衣食住という、人が生きていく上で欠かせないあたりまえの領域。DXやSaaS化が進む今でも、不動産業界にはテクノロジーが入り込む余地が膨大に残されています。 Webの中だけで完結するのではなく、リアルな世界をモデリングし、都市のあり方そのものに影響を与える。その難しさと面白さを味わいたいと思い、estieへの入社を決めました。
入社後の数ヶ月
入社して数ヶ月が経ちますが、日々「不動産ドメイン×技術」の交差点に立つ面白さを噛み締めています。
現在は、チームで高いオーナーシップを持って、J-REIT(不動産投資信託)データの取得から品質管理、そして顧客に価値を届けるアプリケーション開発までを一気通貫で担っています。技術面では、RustやNext.jsを用いたアプリケーション開発から、Snowflakeやdbtを使用したデータパイプラインの改善・品質管理まで、幅広く手を動かしています。
ただ、相手は生き物のような不動産データです。同じ建物でも時期によって名前が変わったり、権利関係が複雑に入り組んでいたりと、単純な正規化が通用しないケースが多々あります。
例えば、ビルの所有構造のモデリング一つとっても一筋縄ではいきません。単に誰が所有しているかといっても、土地と建物で権利者が異なったり、法的な所有者とは別に実質的な受益者がいたりと、構造が多層的です。さらに、公表されている一次情報においてさえ重要情報が明記されていないケースもあります。そうした場合、記載されている床面積や契約の文脈からロジックを組み、曖昧な情報をシステムが扱える正しい数値として算出・定義しなければなりません。
こうした現実を、いかに確定したデータに落とし込むか。生データと格闘する泥臭さと、それを信頼できる技術で堅牢なシステムへ落とし込む構造化の面白さ。この両方を行き来しながら、現実世界を秩序あるデータへと昇華させていくプロセスこそが、estieでのエンジニアリングの醍醐味です。
そのため、単にSQLを書いたり、RustでAPIを作るといった実装力だけでは、ここでは仕事になりません。 なぜなら、実装の手前にあるシステムのあるべき姿や要求をシャープにするためには、深いドメイン知識が不可欠だからです。例えば、データの品質管理において何が正常で、何が異常なのかを定義するだけでも、求められる解像度は極めて高いレベルにあります。一見すると正しく見える数値でも、特殊な状況においては誤りのケースがある。その境界線を正しく見極め、ロジックとして落とし込むためには、「この持分はどう計算される?」「合併された場合は?」などといったドメイン知識がなければ、適切なデータモデルもテストケースも書けないのです。
チームでJ-REITの専門書を輪読したりと、ドメイン知識の習得にも取り組みました。最初はなかなか脳みそに定着しなかった不動産用語が、システム上のロジックと結びつき、腑に落ちる瞬間が増えてきました。今では街を歩いていても、「このビルはどこの投資法人がいくらで取得したんだろう?」と考えるくらいには日常に溶け込んできました。
さらに、estieには担当プロダクトの開発に留まらず、横断的な開発基盤を改善していく機会と余地が大きく広がっています。estieのように複数プロダクトが並走する環境では、基盤への改善が組織全体に与えるレバレッジが非常に大きいです。だからこそ、アプリケーションのコードとインフラの仕組み、その両方に深く切り込んでいくSRE的なアプローチに価値があります。個別のアプリケーション改善の枠を越えて、組織全体の生産性にインパクトを出していく。こうした横串を通す動きも、僕がエンジニアとして好きなことの一つです。
これから何をしていくか
estieの強みは、単一のサービスだけで完結せず、複数のプロダクトを組み合わせて価値を生み出す点にあります。
これまでリリースしてきた様々なプロダクトやシステムに向き合い、estieのプロダクト群を横断的に理解したうえで、それを支えるプラットフォームやデータ基盤にも深く貢献していきたいです。ドメイン知識と技術基盤の両方を横断的に繋ぎ、エンジニアリングの力で事業の成長速度をさらに加速させる役割を担っていけるように頑張ります。
また、これほど巨大な産業構造を変革するには、いまあるプロダクトだけでは足りません。あらゆる業務課題、あらゆるアセットタイプの業務をestieのシステム上で行っていただくために、次々と新しいプロダクトを世に送り出していく必要があります。巨大な産業を変えるためのすべてをやる。そのために必要な連続的なプロダクト創出を技術で支え、都市という巨大なフィールドそのものをさらに良くしていきたいです。
最後に
estieは、業界の深い知識とテクノロジーの力を掛け合わせて、都市の未来を着実に変えていく会社です。
ここには、難解かつ巨大な不動産ドメインに本気で向き合える環境があります。「リアルな世界をITで変える」という手触り感のある挑戦に興味がある方、ぜひ一度お話ししましょう。