異業界挑戦の成功法則 金融・人材・SaaSから培ったアンラーニングと周囲と共に成果を出す営業スタイル


【プロフィール】大谷 昌宜

新卒で野村ホールディングスの損保子会社に入社し、自動車保険/火災保険の収入保険ランキングで複数回1位を獲得。その後、日系ヘッドハンティング会社のレイス株式会社を経て、株式会社DONUTSに入社し、HR系SaaS最大手ジョブカンのエンタープライズ営業として複数のギネスを更新。 estieではソリューション営業を担当。

はじめまして。2024年7月よりestieに参画した大谷と申します。私は新卒から一貫して「営業」をしてきましたが、業界も商材もまったく異なる環境に挑戦してきました。結果、失敗ばかりでしたが、幸運にもいろいろな方に助けていただき、私には分不相応な成果を出すことができたと思っています。

もし、「営業に自信はあるけど、異業界に挑戦ってどうなの?」と思っている方がいれば、私のブログにお付き合いをいただければ幸いです。

金融営業時代:
「おごりにおごりまくった」新卒
〜「気合い」だけが武器だった生意気な営業パーソン〜

私は新卒で野村HDの金融子会社に入社しました。新卒当時、よく言われた言葉は「気合い」「根性」そして「結果」。今の時代にはマッチしない環境で、私は本当に「おごりまくった」営業パーソンでした。

初期配属の広島支店でも、その後異動した名古屋支店でも順調に営業成績をあげ、社内の新規営業ランキングでは1位を獲得。その実績を引っ提げて本店へ異動したあとも、同期のなかでは常に営業成績1位か2位で、かなり理想的なキャリアを築いてきたと思います。社内の評価にとどまらず、他社の営業部長にも飲みに誘われることもあり、「社内外問わず一目置かれている」と正直思っていました。しかし、そんな自己評価は「完全な勘違い」だったのです。
例えば、名古屋支店での出来事。競合他社はメインマーケットが「世界のトヨタ」だったのに対し、私の担当市場が小さいとはいいませんが、「世界のトヨタ」ほどではありませんでした。つまり、私は各社のトップセールスが担当しないマーケットを担当し、そのマーケットのなかで担当の代理店に助けてもらい売上をあげていていただけでした。数年後、「当時、大谷君を出世させよう。成績をトップにしようってみんな頑張ってたよ。懐かしいな」と代理店の社長から聞いたときは、うれしいという気持ちよりも「おごった自分」が恥ずかしくて泣きました。

「数字が全て」の会社で「全て数字を自分の手柄」と勘違いした自分はビジネスパーソンとしては、本当に未熟でした。そして、自分の実力を過信していた私は、会社が野村HDから楽天に変わったことをきっかけに「営業会社」へキャリアを変えます。

国内最大手のヘッドハンティング会社へ:
「考える事の大切さを知る」
〜言語化できるまでの思考とアンラーニング〜

私は、国内最大手で営業に強いヘッドハンティング会社であるレイスに転職しました。
異業種から「無形商材」という観点だけで挑戦したヘッドハンティング会社。意気揚々と転職しましたが、おごりまくった営業パーソンは入社2ヶ月たたず出鼻を挫かれます。原因は複数ありますが、一番の原因は、「なぜ成果が出ないのか」の考えが浅く、PDCAを回せなかったことです。

当時の私は金融業界から人材新規事業への挑戦であり、業界にフィットするように調整が必要でした。「気合い」しか武器のない私には、それができていませんでした。

新規事業や新サービスの営業の成功を要素分解すると「商材の親和性」×「販路の親和性」×「販売手法の親和性」と表現できます。当時人材業界へ挑戦した私は、「商材:全くの別商材」×「販路:間接営業 → 社長への直接提案」×「販売手法:親和性が薄い」状態で、すべての要素でこれまでの経験と類似点が少ない状況でした。これまでの自身の営業スタイルと人材業界がマッチしていないことを認識していなかったのです。

各業界のトップセールスが集まる会社でずっと伸び悩んでいた私ですが、突然営業成績トップ3に入るほどに成果を出します。なぜ結果が出たのか、それは「アンラーニング」をしたからでした。単純に、周りに教えを乞いました。他の方の営業手法を聞き、自身の手法を棚卸しし、参考にできるところを真似しつつ、自分の経験を活かすためになにができるかを徹底的に考えました。

周りに聞き自分で分析した結果、組織攻略や、できる金融マンの見極めが得意であることが自分自身の付加価値であると気づきました。そこで『業界を金融に絞ってターゲティング』し『各部署の課題解決を顕在化させて』提案していくことを決めました。

これにより、私の提案は付加価値が上がり、結果に結びつきました。小さな変化かもしれませんが、素直に教えを乞い、徹底的に考えた成果だと思っています。

SaaSのエンタープライズ営業の世界へ:
新興市場への挑戦
〜SaaSの世界で知った、周りと協力して成果を出すこと〜

とても勉強となったヘッドハンティング業界でしたが、自身の家族のライフステージを考え、転職を決意します。転職活動の際、紆余曲折あって、HR領域SaaSのジョブカンでエンタープライズ営業として参画しました。またもや商材・業界が大きく異なるチャレンジです。

ジョブカンでは利用従業員数(利用ID)1000名以上をエンタープライズ領域としており、従業員100名以下の企業が97.1%と言われている日本において、存在比率0.5%という限られたマーケットです。限られたマーケットへの難しい挑戦でしたが、前職までの経験から私の強みである「組織を巻き込む提案」と「課題整理+要件定義」が活かせるのではないかと考えていました。

試行錯誤あったものの、仮説通り自分の強みを活かすことができ、結果、ジョブカンで従業員数(利用ID)・売上(利用料金)のギネスを複数更新、のちにエンタープライズグループだけでなく、営業責任者として営業組織全体を任せてもらえるまでになりました。

…とかっこよく書いてみましたが、これは私だけの成果では全くなく、むしろ多くの方に助けてもらった結果です。特にエンタープライズ領域の契約を成立させるためには、営業だけでは完結せず、開発や企画、マーケティング・法務・経理部門をはじめ、社内のあらゆる部署の協力があって初めて契約が成り立ちます。

お客様に「こんなことできるの?」と驚かれる機能は、大量のコードを書きバグをチェックし、セキュリティーを担保する開発担当がいるから。無数の要望や市況があるなかサービスがリリースできるのは、市況と戦略を徹底的に考える企画担当がいるから。リードが発生したりアポイントが取得できたりするほどサービスが認知されているのは、マーケティング担当がいるから。お客様が解約しないのは、顧客接点を持ち続け、信頼を構築してくれるカスタマーサクセス担当がいるから。そもそも私が営業できるのは、コーポレート部門の皆が会社としてのキャッシュマネジメントを、採用を、労務を、人事を支えてくれているからです。

私は、恥ずかしながらSaaSの世界に入って初めて心から認識しました。そして、このことを強く認識してからの方が、不思議と成果は上がりました。お客様への価値提供に「大谷ひとりの力」より「会社としての力」の方が当たり前に成果は出るのです。いろいろな営業メンバーと仕事をしましたが、成果を残すメンバーをこの「周りを巻き込む力」が高いと確信しています。

そして、estieへ

長々と綴りましたが、私はジョブカンを卒業しestieにジョインしました。実はジョブカンのことは大好きで、今でもジョブカンでの経験もメンバーも大切に思っています。そのなかで新しい挑戦をした理由、それは3点です。

  1. お客様に徹底的に向き合いたいと思ったこと

  2. 挑戦だとしても、一緒に働きたいと思うレベルの高い人材が集まる環境に出会えたこと

  3. 他業界出身だからこそ、レベルの高い集団の「当たり前」に刺激を与えられる可能性があること

まず、一つ目はお客様に徹底的に向き合いたいと思ったこと。ホリゾンタルなSaaSであるジョブカンではお客様との向き合い方に違和感を覚えることもありました。SaaSというさまざまなお客様が共通で使うシステムは、一部のお客様のためだけにカスタマイズすることができません。これはSaaSの生命線でもあり、この判断は正しいと思っています。しかし、場合によっては「ベンダー(我々)の考えが一番正しい」になってしまい、お客様の要望になかなか向き合えないことも度々あります。

私としては、徹底的にお客様と向き合いたいと強く思うようになっていきました。

二つ目は、挑戦だとしても、一緒に働きたいと思うレベルの高い人材が集まる環境に出会えたこと。estieのメンバーと出会ったことは、私にとっては衝撃でした。estieに入社前、田辺・田中・曽部・束原・平井と会いましたが、出会った全員がビジネスパーソンとしてのレベルが高く、考え方・仕事への姿勢・礼節…どれも兼ね備えていました。人材業界では「上位○%の人材」などとよく言いますが、estieのメンバーは「全業界の上位5%の集団」と私は断言できます。(面談でも束原にこの話を興奮しながら話しました)

私はヘッドハンターとして、多くのエグゼクティブとお会いしてきましたが、その方達は共通して「責任感」「視座の高さ」「周りへの貢献性」を兼ね備え、仕事に・お客様に・自分に「魂」を込めて接していました。そして、estieで出会ったすべての人間にこれを感じました。
三つ目は、他業界出身だからこそ、このレベルの高い集団の「当たり前」に刺激を与えられる可能性があること。私は不動産に関しては素人です。しかし、だからこそestieによい影響を与えられるかもしれないと思いました。

私の営業スタイルは仲間やこれまで関わってきた方々の模倣の集合体です。いろいろな業界のエッセンスやさまざまな業種のノウハウを学んできた私は、「気合いの営業」も「数字の行動管理」も「周りを巻き込むこと」もよく知っています。

自分の過去のノウハウとestieが合わさったら、どんな好循環を作れるのか、それを実現したいと心から思いました。

これからestieになにを返していくか

上記のようなことを考えながらestieに参画し実際に働いてみて数ヶ月経ちますが、入社前後のギャップはほぼありません。ここまでレベルの高いメンバーがそろった会社は出会ったことがないと今も断言できます。そのなかで、「アンラーニング」してestieのノウハウを吸収しながら、私にしかできない成果や財産を残せないか、還元できないか、それを今模索しています。

最後に、ここまで私の駄文を読んでくださった方は、少なくとも「異業種への挑戦ってどうなの?」「スタートアップって勢いあるな、でもチャレンジはリスクかな」という思いがある方だと思います。

私の経験のつまるところは「成果を出すために周囲に頼って考えていこう」「周りのノウハウを聞いて、自分の強みを合わせるととても強いよ」に要約されます。遠回りも多く、もっと早くこれに気づけていれば…と思うこともありますが、誰かのなにかの参考になればいいなと思いながらこの文章を書きました。

私は、estieでハイレベルなメンバーに助けてもらいながら、一緒にお客様のことを考えられる環境にいられてとても幸せです。「いや、本当にestieってハイレベルなのか?」と思った営業に自信のあるあなた。ぜひ一度カジュアルにお話しできることを楽しみにしています!

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