はじめまして。estieで広報インターンをしている松野です。
主な業務として、こちらのestie inside blogの運用をしています。
今回は 生成AIを活用して文章校正をした例 を紹介します。
ブログ公開までのフロー
estieでは日々ブログを更新しています。先月には投稿数が300本を超えました。
新しく入社された社員の方には、自己紹介や過去のキャリアを語ってもらう「入社エントリー」。エンジニアの方には、業務中に得た知見や誰かに共有したい tips をまとめた「テックブログ」などを執筆してもらっています。
それぞれのブログは下記の流れで執筆から公開まで進めます。
- 執筆者の上長: このテーマについて公開してよいか確認
- 執筆者: 初稿完成(大体書きたいことが書けた)
- レビュアー: 初稿レビュー
- 内容のレビュー・誤字脱字の修正
- 技術的な内容のレビュー
- 執筆者: 加筆修正(記事が完成して公開できる状態になった)
- レビュアー: 2稿レビュー
- 伝わりにくい部分の指摘
- 執筆者: 再加筆修正(完成)
- デザイナー: サムネイル作成
- 広報: 最終チェック
→公開!
ブログの準備作業において最も時間を要するのが「ブログのレビュー」です。
誤字脱字のチェックは単純作業でありながら見落としがちです。
何度もチェックすることは悪いことではありません。文章に慣れてしまうと、誤りを見逃しやすくなることもありますし、ミスを防ぐためには重要な作業です。しかし、大変な作業ではあります。
修正した際には、文章の意味や構造が正しく伝わっているかを調整する必要も出てきます。特に、複雑な内容や技術的な文章では、その正確性を保つために時間がかかります。
読みやすく、かつ一貫性のあるスタイルにするために、文法や表現の統一がされているかを調整することにも神経を使わされます。
ブログ校正用ChatGPTプロンプト
技術広報チームは、生成AIを活用することで作業効率とアウトプットの質を高めることにチャレンジしています。ブログ運営の業務においては、執筆してくださる社員のみなさんが記事執筆に集中できるように、レビュー作業の負担をできるだけ減らすことを目指しています。
そこで今回はレビュー依頼と修正のループを効率化するためにブログ校正用ChatGPTプロンプトを作りました。特に誤字や軽微な修正といった単純作業を自動化しました。これにより、面倒な校正作業に時間を取られることなく、気持ちよく創造的な部分に専念できるようになります。
このプロンプトは執筆者が初稿を書き上げたタイミングで使用されることを想定して作成しました。
作業効率を上げるために、全体のレビューに通す前に執筆者自身がセルフレビューすることはメリットの塊です。
- 自分の考え方や文章のクセ、表現の不足している部分などに気づきやすい。自己分析能力向上!
- 自分の考えがうまく整理され、伝わりやすい文章にして全体に公開できる。自信も向上!
セルフレビューをクイックに行うことができると、次のブログを書くときに自然と改善点を意識するようになります。
普段校正の際に気をつけていることを挙げ、ChatGPTと対話しながら命令する項目を付け足していきました。最終的に、良い結果が返ってきた10項目に命令を絞り、以下のプロンプトが完成しました。
#命令書: あなたは、プロの編集者です。入力文をより良い文章にするために修正してください。 ・句読点の打ち方に不自然な点がある場合は修正してください。 ・慣用句やことわざ、専門用語の表現に誤りがあると考えられる場合は修正してください。 ・数字とアルファベットは半角に統一してください。 ・文法的な誤り、文章の表現が不適切な部分、スペルミスやタイプミスを見つけて正確な表現に修正してください。 ・適度で適切な敬語が使われているか確認し修正してください。 ・主語と述語の関係がねじれていないか確認し修正してください。 ・文体が一貫しているか確認し修正してください。 ・文章の読みやすさを向上させるため、より自然で適切な表現に変えられる箇所を修正してください。 ・文と文のつながりや論理的な流れに問題がある部分を確認して修正してください。 ・一つの文章が程よい長さで書かれており、長くとも60字程度で収まっているか確認し修正してください。 【重要】最後にその修正前と修正後の箇所だけを比較できるように箇条書きで示してください。その結果とともに校正のポイントや注意点を教えてください。修正前の全文を表示してはいけません。 #入力文:
検証
検証のため恐ろしく読みづらい文章をChatGPTに生成してもらいました。これをChatGPTに校正してもらいます。
入力文:
estieでは、誰でもブログの執筆ができるようになっておりまして、その目的は、実に様々ございますけれども、自分の知識や経験を他者と共有いたしますことによって、他人が特定の分野において学びを深めるためのリソースとなることができるのはもちろん、さらに社内の様子や製品やサービスについて紹介をしていただくための重要な手段であるとも言えます。しかしながら、ブログを書くという行為が持つ意義というのは、それだけにとどまるわけではございません。なぜならば、書くという行為自体が、思考を整理して深い理解を促す役割を果たすからでございます。ですので、ブログを書くことは、執筆者自身においても、考えや経験を振り返りつつ、学びを深めることができるため、自己成長に大いに役立つものと考えられますし、さらには、日常的な経験や出来事を記録していくことによって、成長の過程を後から振り返って確認することが可能になる点においても、大変有意義であると存じます。
修正後:
estieでは誰でもブログを執筆でき、その目的は多岐にわたります。自分の知識や経験を共有することで、他者の学びを助ける教育的なリソースとしての役割を果たすのはもちろん、社内の様子や製品・サービスの紹介にも重要な役割を担っています。 しかし、ブログを書く意義はそれだけではありません。なぜなら、書く行為自体が思考を整理し、深い理解を促すからです。そのため、ブログを書くことは執筆者自身が考えや経験を振り返り、学びを深める手段として自己成長に大いに役立ちます。また、日常の出来事を記録することで成長の過程を後から振り返ることができる点でも有意義です。
すっきりしましたね!「校正のポイントと注意点」に基づいた内容がきれいに修正されています。
誤字や敬語の使い方など、機械的な修正項目は、さすが高精度です。文章の区切りや句読点も適切に調整されており、読みやすさが向上しています。
さらに有難いのは、多くの修正を行っても文章全体が不自然にならず、全体的に整えられている点です。これにより、文章が改善されるにつれ小さな問題が見えてきて、その修正を繰り返すという手間が減り、効率が大幅に向上しました。
文章校正×ChatGPT
私はestieでインターンを始める前、実はChatGPTに対して否定的な考えを持っていました(笑)。AIに仕事を奪われるという風潮に影響されていたからです。
しかし、実際に働いてみると仕事はいくらでもあるし、むしろより人間としてできること(クオリティの追求、伝えたいことを正しく表現すること)こそが重要であることを身をもって知ることができました。
なぜなら時間は限られているからです。さらに個人的に申しますと、私は学生インターンとして扶養控除されているので、長時間働くと103万の壁を突破してしまうジレンマからは逃げられないのです。よって時短勤務は必須なのです。。。(泣)
いかに人間としてできること、本当にやりたいことができるかを追求したとき、「AIに仕事を奪われる」ではなく「AIが得意な仕事を任せる」に思考が変化しました。
ブログ作業において、人とChatGPTの業務を分担すると、
- 人が時間を使いたいのは文章の内容にフォーカスした、本業にも良い影響を与えるようなチームメンバーとの解像度の高い言語化
- ChatGPTには誤字脱字、全角半角の統一、表現の適切さを判断など機械的な作業をしてもらう
機械的な作業は機械にやってもらう。人間は本質的な部分に集中する。
よく考えると当たり前かもしれません。
このプロセスにより、校正と修正のサイクルが短縮され、執筆者とレビュアーがより内容に集中してディスカッションできる時間が確保されました。結果的に、両者の負担が軽減されることを期待しています。
他にもAIを活用した事例がありますので、またご紹介します!