Platform Engineering Kaigi 2024 参加記 〜おすすめセッション紹介〜


こんにちは!スタッフエンジニアの @kenkoooo です。7月9日にお台場で Platform Engineering Kaigi 2024 というイベントが開催され、estie からも(会社から金が出るということで)数名のエンジニアが参加しました。イベントはオンサイトだけでなくオンラインでも配信され、Platform Engineering Meetup の YouTube チャンネルで現在も視聴可能です。どのセッションも熱が入っていて見応えたっぷりですので、大変おすすめです。

この記事では、現地参加した estie のエンジニアたちが、それぞれおすすめのセッションを紹介します。

kenkoooo おすすめのセッション

私は estie では Platform Engineering を担当しています。

以前は全社横断の技術的な課題全般に取り組んでいましたが、開発組織がここ1-2年で急速に大きくなり、そうした課題を全て1チームで受け止めることは難しくなりつつありました。そこで、チームを再編し、開発生産性の向上や DevOps の enabling に絞って取り組むことにしました。Platform Engineering チームとしてはまだ歩き始めたところで分からないことだらけでしたので、今回のイベントは非常に勉強になりました。

どのセッションも力作でしたが、メルカリさんの「Platform Engineering at Mercari」(動画はこちら)とタイミーさんの「タイミーを支えるプラットフォームエンジニアリング・成果指標設計から考える組織作り事例の紹介」(動画はこちら)が特に印象に残りました。

前者はメルカリにおける6年間の Platform Engineering の取り組みを、「立ち上げ期の3年」と「拡大期の3年」に分けてお話されていました。まさに立ち上げ期にある estie の Platform Engineering に、この「立ち上げ期の3年」のお話に出てきたポイントをそのまま活かせそうです。

後者はタイミーにおける Platform Engineering がどのように生まれ、どのような失敗と学習を経て成長していったかをお話されていました。これも estie の現状にそのまま当てはまるものでしたし、特に初期の失敗として挙げられていた、Platform Engineering チームの存在意義が言語化できていないために、散発的にインフラタスクを捌く状態になっている、というのは現在進行系で頭を悩ませていた問題でしたので、話を聞いていて自分のことかと思うほどでした。

カンファレンス翌日からチームで目指すものを明確に設定し、メトリクスの内容から働き方まで、セッションで聞いた内容を大いに参考にさせていただきました。2ヶ月を経て少しずつ estie の Platform Engineering が回り始めてきた手ごたえがあります。

この手の技術系カンファレンスが、こんなにダイレクトに活きるとは思わなかったので、大変驚いています。来年には estie の事例をご紹介できるように頑張っていきます。

h_noson おすすめのセッション

こんにちは、estie マーケット調査の Tech Lead をしている @h_noson です。Platform Engineering には関わっていないのですが、プロダクト側からの目線で何か得られないか、どんなことを Platform Engineering Team に頼っていけば良いかを掴めればと参加しました。

個人的におすすめのセッションは CADDi さんの 明日から始める持続可能なドキュメンテーション戦略 / Sustainable Documentation Strategies: Documentation as a Product - Speaker Deckです。機能品質・構造品質の高いドキュメントを作成する方法からレビュー、運用まで触れられています。

estie ではドキュメントが充実しているのですが、量が多く探しづらいという課題があります。私がメインで関わっているプロダクトのドキュメントでもどこに何があるかすべて把握出来ていません。また、仕様や開発環境に関する問い合わせの中には既にドキュメントに書かれているものも少なくありません。

セッション内でこの2つの課題を解決する方法にも触れられておりとても参考になりました!前者に関しては、あまり見られていないドキュメントを収集して定期的に改善または断捨離する方法が紹介されていました。後者に関しては、ログを溜めるようにドキュメントが作成されてしまっているのでセッションで触れられていたようにアクセスしやすいような構造にすることで改善していきたいです。

他にも様々な角度からドキュメントを改善する方法が紹介されているので是非見てみてください。

徳永 おすすめのセッション

estie では新規プロダクトの立ち上げをしているエンジニアの徳永(@yTo_9)です。 Stream-aligned チームにどっぷりで、日々の業務では社内 Platform をどう利用できるかの観点からしか考えていませんでしたが、estie の Platform チームの方から誘ってもらい、Platform Engineering Kaigi に参加しました。

そんな自身の背景もあってか、『チームトポロジー』の著者(Manuel Pais)による What Is Platform as a Product & Why Should You Care? - Speaker Deckのセッションが一番印象に残りました。

セッションでは、"Invest in building trust early, plant the seed for platform adoption later" と facilitating を通じたチームとの事前の信頼構築が重要と述べていました。社内で新規プロダクト立ち上げを行った際に Platform チームの方々に様々な相談に乗ってもらい、当時の社内プラットフォームの恩恵を得られる形でアプリケーションの開発に注力でき、その後も Platform チームのメンバーと気軽に相談がしやすくなった自身の経験とも合致する話でした。


Tool チームを一時的な Enabling チームか Platform チームの一部として運用するのがよいと『チームトポロジー』に書かれていた理由も、Platform チームへの trust を事前に溜めていくという観点から改めて納得が行きました。

他にも開発生産性周りの指標として有名な Four keys に対して、Platform の持続可能性の観点として4 pillars(trusted platform/shared success stories/internal confidence/external confidence) が紹介されていたりと個人的に学びが多いセッションでした。

徳原 おすすめのセッション

どうも、徳原です。普段は SRE / DevOps 周りをやっており、その活動が Platform Engineering に近いこともあり今回参加しました。

個人的に良かったセッションは Ubie さんの マルチクラスタの認知負荷に立ち向かう! Ubieのプラットフォームエンジニアリング - Speaker Deckです。

そもそも私がこのカンファレンスに参加した理由は、これからも estie の開発組織が大きくなる・開発プロダクトが広がり続けるという状況で、これまでのやり方を変えていかなければ今より開発速度を高める・維持し続けることはできないので、他社はそういった際にどのように乗り越えてきたかを参考として知ることでした。そういった目的を持って参加したので、Ubie さんの作られたツールとそれに纏わる施策・進め方の話はとても参考になりました。

speakerdeck.com

このスライドの「行動が変わる」というのが個人的にはとても大事で、ツールを作るだけではなく、運用が変わっているということが意識されており最高だなと思ってます。ここではアプリケーションモニタリング周りで行動を変えるという話でして、ちょうど estie のチームメンバーと Observability 周りを強化していきたいという話をしており、このセッションを受けてモニタリングの使われ方などの実地調査をしてみました。結論だけ簡単にいうと、日常的にメトリクス・ログを閲覧する習慣がないというのがわかり、リンク集から始めるというところを目標にまずは頑張ってみようと思っています。(まずはそもそものダッシュボードとかその辺の整備からやるのですが。。。)

また、「移行に責任を持つ」は同意しかなかったです。直近で全プロダクトの Production /それ以外の Staging 、Development 環境のAWSアカウントを分割するというプロジェクトを完了したところで、全プロダクトに Pull Request を送って切り替えたので、心の中で首がもげるくらい頷いてました。

今回は Ubie さんのセッションしか触れてませんが、きちんと朝イチから最後までセッションに参加し、多くのことを学ばせていただきました。企画してくださった方々、発表してくださった方々本当にありがとうございます。いつか登壇して恩返しできるよう、引き続き精進していく次第です。

木村 おすすめのセッション

物流リサーチの開発を行っているエンジニアの木村です。普段はアプリケーションの開発をしていますが、Platform Engineering にも興味を持っていて関わっていきたいと考えており、Platform Engineering Kaigi に参加しました。

私のおすすめのセッションは Ubie さんの マルチクラスタの認知負荷に立ち向かう! Ubieのプラットフォームエンジニアリング - Speaker Deckです。

社内のテンプレートツールとサービスカタログのデモから始まり、設定を追加するプルリクエストを一つ作成するだけで dev, stg 環境などの開発環境が立ち上がり、ボタン1つで本番環境もデプロイでき、さらにそれらのモニタリングや監視も設定されてサービスカタログからリンクで飛べるようになっている様子は見ていて圧巻でした。

また、ただ便利な社内サービスを作るだけでなく、アプリケーションエンジニアの習慣を変えて社内の品質意識を高めていき、自律的にサービスを運用していけるように補助していくということを意識してツールを作成されていることや、ツールを作る際には自分たちがユーザーとなって実際に便利なのかをツールによって上がる認知負荷も考慮した上で検証されていました。

さらには、「どれだけ便利なツールを作っても中々プロダクト側は移行コストを払えない」ため、実際に作成されたツールを社内に浸透させるために移行からサポートまでを責任を持って行うことが大切だということも話されていて、Platform Engineering をやる上で大切な考え方が詰まった学びの多い発表でした。

最後に

estie では Platform Engineering にガッツリ取り組んでいます。だいぶ方向性は見えてきましたが、不確実な部分も多く、やりがいは十分です。ぜひ一緒にやりましょう。

hrmos.co

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