こんにちは!t-poyoです。ソフトウェアエンジニアをやっています。
この記事は estie 真夏のアドベントカレンダー16日目の記事です!
estieでは全社一丸となって採用に取り組んでいます。リファラルから選考、技術広報やイベント開催にいたるまでエンジニアも積極的に採用活動に参加し、会社を盛り上げています。
そんな中、私は特に「オンラインのカジュアル面談」を担当する機会が多いです。それなりの回数(100回以上)をこなし自信がついてきたので、ここで一度自分なりのノウハウを言語化してみたいと思い、この記事の執筆に至ります。
想定読者は以下のような方々です。
- カジュアル面談の担当者を やってみたい/やったことがある が、何に注意すればいいのかわからない
- estieのカジュアル面談で何を話しているのか知りたい
- 達人カジュアル面談担当者になりたい
記事を読んで少しでも気になったら、ぜひestieのカジュアル面談に応募してくださいね!
それではいってみましょう。
「良いカジュアル面談」とは?
※この記事では「カジュアル面談参加者」のことを便宜上「候補者」と記載しています
自分もいち候補者として他社のカジュアル面談を受けることがありますが、以下のようなケースに遭遇することが稀にあります。「カジュ面あるある」だと思ってご笑覧ください。
- 転職先の検討・比較段階なのに、すぐ選考に進むことを繰り返し強く勧めてくる
- 選考であってもおかしくないような内容の質問をされる
- 淡々と面談用資料が読み上げられるだけで、時間を取って面談する意味が無いと感じる(非同期で資料を読むのと情報量が変わらない)
こういったアンチパターンを避け、良い候補者体験を提供する「良いカジュアル面談」はどんなものか?それは、「会社に対して良い認知を持ってもらう」ために、「メンバーと話すことでしか得られない」ものを提供する場だと考えました。
「良い認知を持ってもらう」という目的は、採用のノルマがある、例えば選考への短期的な応募者数をKPIに置くような状況とは少しズレを感じるかもしれません。しかし、カジュアル面談の結果はより長期的な「良い認知」にこそ現れ、(候補者のタイミング次第でおこなわれる)実際の応募の最大の後押しとなることが理想と考えたため、このように整理しました。
では、「良いカジュアル面談」をおこなうためには何に気をつければよいのでしょうか?
「良いカジュアル面談」実施のポイント
面談中の時間軸に沿って、3つのパートに分けて紹介していきます。
- 序盤: ツカミを意識。会社の理念と現在の事業活動を紐づけて、簡潔に!しかしエモく語ろう。
- 中盤: 候補者の興味レベルに合わせた話題展開。相互に実りある時間にしよう。(興味レベル3段階に分けて解説)
- 終盤: 面談後のネクストアクションを意識。効果的な質問で候補者の事情を聞き出し、候補者体験と応募数を大幅UP!
1. 序盤
ツカミを意識。会社の理念と現在の事業活動を紐づけて、簡潔に!しかしエモく語ろう。
何事においても始まりが肝心。初手でいかに惹きつけるか?が候補者の興味や集中力を大きく左右します。
※ 「会社の理念」は、会社によってPurpose, Vision, Missionなど定義の方法が異なると思いますが、「長期的・抽象的な道しるべ」として設定されている文言を適宜読み替えていただければと思います。
例えば自分はestieのPurpose「産業の真価を、さらに拓く。」を以下のように説明することがあります。
「我々は、あらゆる『産業』が不動産の上に成り立っていると解釈しています。データセンターがなければIT企業とて活動できませんし、社会のあらゆるインフラが不動産の上に敷かれています。我々は不動産のDXを推進し、『産業の真価を、さらに拓く。』というPurposeを掲げています。これには『不動産のデータ活用を通じて全ての産業を活性化し、日本の国力を底上げしてやろう!』というような思いが込められています。」
いかがでしょうか?コツとしてはちょっと強い言葉を混ぜるところででしょうか。「日本の国力を底上げ」なんて総理大臣じゃあるまいし……背伸びしたフレーズですが、「そんなに言うならちょっと話聞いてやろうかw」と思ってもらえるんじゃないかなと思います。
2. 中盤
候補者の興味レベルに合わせた話題展開。相互に実りある時間にしよう。(興味レベル3段階に分けて解説)
実際に事業やサービス、開発組織について説明するパートです。候補者の興味の強さを見極め、内容を変えていくのが達人のカジュアル面談です。
興味レベル★☆☆
こんな候補者
- 積極的な転職活動はしていない
- 面談する会社について社名以外知らない
- 転職媒体でスカウトされたので、話だけ聞きたい
会社への興味が薄いからといって、話が盛り上がらないと決まったわけではありません。ふとした雑談の中から、候補者の反応を引き出せる話題を見つけられたら大成功ですね。
トーク内容
採用スライド等を見せ、順序立てて説明します。労働環境や評価・報酬などの条件面は興味を持たれやすいので必ず伝えましょう。また、時間が余ったら「候補者自身にフォーカスした」質問を投げてみるのがオススメです。会社の話で盛り上がらなくても、候補者自体にこちらから興味を持てば良い関係ができやすいと思います。
例えば、こんな投げかけが盛り上がるきっかけになったりします。
- ○○(候補者)さんは、いままで△△(自社のドメイン、estieの場合「不動産」)に関わったことって無いですよね?疑問点があったら質問してくださいね。
- 弊社ではマネージャーが不足気味なんですが、○○さんはマネージャーのキャリアって考えたことあったりしますか?
- ところで、○○さんが作られてるOSS拝見しました!よくメンテされていて素晴らしいですね。我々もいくつかOSS化したいものがあるんですが、なかなか手が回らなくて……
- ××さんが共通の知り合いにいますね!実は以前弊社で業務委託をお願いしていた時期がありましたよ。
こういった質問をするには、事前に候補者のプロフィールや職務経歴書、各種サービスのアカウント等をしっかりと読み込んでおくことが必須になります。言わずもがなですが、面談の前に時間を取って予習しておきましょう。
興味レベル★★☆
こんな候補者
- 転職・副業先候補としてフラットに弊社を検討している
- 面談前に具体的な質問を送っていただいている
- リファラルで紹介されたなど、何かしらの縁がある
このパターンが数としては一番多いと感じます。事前に資料を送付している場合は目を通していただけているケースもあります。
トーク内容
候補者側で「どういったことを聞きたいのか」のイメージが事前に固まっていることがほとんどです。疑問を余さず聞き出して、必要十分に答えることを一番意識します。
特に、明らかに転職活動中である候補者に対してはこの中盤パートの最初に以下のように質問しています。
これから事業や開発体制などについて説明していくのですが、「特に重点的に聞きたい」といったポイントなどあるでしょうか?例えば「ビジネスロードマップについて詳しく知りたい」とか、「組織文化について紹介してほしい」といったことがあれば教えてください。
転職動機や判断軸って本当に人によって様々ですよね。「事業に深く共感さえできれば、あとは自分で何とかするぜ!」という気概の方もいれば、「ドメインは割となんでもよくて、開発組織の文化の方が自分にとっては大事」という方もいます。候補者が求めている情報を確実に伝えていきたいところです。
裏腹に自分がよくやってしまう失敗として、ひとつひとつの質問を掘り下げすぎて時間切れになるというのがあります。残りの時間も意識しタイムマネジメントしながら必要十分な情報を伝えられるようになれば、達人の領域に近づいていると言えます。
興味レベル★★★
こんな候補者
- 選考に通れば入社したいと思っている
- 社外に公開している資料を読み込んでおり、ブログなども遡って読んだ
- 会社の特定のメンバーのファンで、一緒に働いてみたいと思っている
ありがたいことに、このくらい温度感の高い方が来てくださることがあります。カジュアル面談サムライとして最大のおもてなしをしたいところです。
トーク内容
社外に出ている資料はだいたい読まれてしまっているので、この機会にしか伝えられない情報を、社外秘事項に十分注意しながら最大限伝えます。
(他の興味レベルでも時折やるのですが、)画面共有しながら社内wiki・Slackのログ・自分のスケジュール表などできるだけ具体的なコンテンツを見せます。
例えば、我々の採用資料では「Values」という社内の美意識のようなものが紹介されています。
しかし、そういった組織文化的なところは特に、実現・維持できているかが外から全く見えません。ですので、面談の中で実際にSlackチャンネルや社内wikiなどを見せて、雰囲気を感じてもらったりします。
ポジティブな面だけではなく、事業の抱えている課題や改善できるところなどもざっくばらんにお話することも喜ばれたりします。会社に魅力を感じている状態であれば、「その課題は自分(候補者)が解決したい!」「活躍できるイメージが湧いてくる」と考えていただけるからです。
例えばこんな感じです。
もし○○さんに入社していただけたら、エンジニアリングマネージャーとして複数チームを見てもらうのが良いと思うんですよね。自走できるメンバーがそろっているとはいえ、細やかなメンタリングとか成長支援みたいなところはまだまだ伸びしろがあります。今は手が回ってないんですが、実は相当レバが効くポイントじゃないかと思っていて……
いずれにせよ、資料や字面だけでは伝えることのできない「入社後のイメージ」を膨らませることができたら大成功といえそうです。
3. 終盤
面談後のネクストアクションを意識。効果的な質問で候補者の事情を聞き出し、候補者体験と応募数を大幅UP!
突然ですが、カジュアル面談のプロセスの中で最も大事なのは、面談終了後のネクストアクションだと考えています。人間同士の関係も一度の邂逅で決まるものではなく、時間が過ぎるなかで形成されるものです。同じように、会社と候補者の関係でも、時間軸とその中でのアクション内容が重要です。
ですので、終盤では「最高のネクストアクション」に向けた仕込みをおこないます。終わり良ければすべて良し。達人の領域まであと一歩です!
次の連絡を「いつ」するのが効果的か見極める
特に転職活動中の候補者には、独自のタイムラインがあります。「〜月までに転職先を決めたい」「退職日は決まっているけれど、しばらくはニートするつもりなので急いでいない」「〜月に社内で異動があるので、その結果によっては考えたい」などなど……。
同じような内容であっても、送るタイミングによって候補者体験はまるで違います。
- ケース①: 面談終了後すぐに、機械的な「ご応募お待ちしております!」というメッセージをもらい、その後は音沙汰がない
- ケース②: 面談終了後しばらく経ち、通知された社内異動に納得がいかなかった時にちょうど「最近いかがでしょうか?よかったらまた話しませんか?」とメッセージをもらう
この2ケースでは後者のほうが圧倒的に好感を持てるのではないでしょうか?
「何を」連絡するか?〜ネクストアクションのバリエーションを豊富に持つ〜
前述のようなフォローアップの時期に加えて、その内容も重要です。しかしこれはバリエーションが沢山あるので、自分のなかに引き出しを多く持っておけばよいと考えています。なかなか自分では思いつかないものだと思うので、社内に採用専任のメンバーがいれば相談してみることをおすすめします。
以下に、今自分が思いつく連絡の例を挙げてみます。
- シンプルに「最近いかがでしょうか?またお話しませんか?」と聞く
- 相性が良さそうな社内メンバーを選び、「是非このメンバーと話してみてほしい」と打診してみる
- 会社が開催するイベントに誘う
- 業務委託で働いてもらえないか打診する
- オフィスに遊びにきてもらえないか聞いてみる
「いつ」「何を」連絡すればいいのかを見極めるためのトーク
「いつ」の重要性、「何を」のバリエーションを理解できれば、これらを見極めるためのトークはさほど難しくないと思います。基本的には、明確に転職活動中の候補者には予定している転職のタイムラインを聞くことさえできれば十分です。「いつぐらいまでに転職に向けて動こう、みたいな目安はありますか?」と聞いてみましょう。
転職を積極的に検討していない候補者だとパターンが千差万別だと思うので、ここでは深掘りしません。しかし、ちょっと頭をひねると他社と差別化出来る部分だと思います。面談終了後にでも少し考えてみると面白いです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
執筆開始前にイメージしていたよりもかなり多い文字数になってしまって自分でビックリしています。ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございます!
この記事に対するフィードバックも歓迎しております。ぜひ僕とカジュアル面談について語りましょう!つまり、カジュアル面談について語るカジュアル面談ですね。お待ちしております!