estieのありたい姿とは

estieで取締役CTOを務める岩成(Nari / @tiwanari)です!毎日ブログ投稿をするestie連続ブログ企画が今月は行われていましたが、そのバトンをつなぐ長いリレーの締めくくりの記事となります!

走り出す前に少し連続ブログ企画の記事を振り返ってみると、以下のように非常にバラエティに富んだ内容となっていることがわかります。

連続ブログ企画の記事一覧にまとまっているので興味のあるものをぜひもっと読んでいただきたいです!本当に!)

最後のこの記事では、このような様々なバックグラウンドを持つメンバーが集い、どのようにして各記事で説明されているように事業を押し進めているのか、その秘密の一部をアンカーとしてご紹介できたらと思います!

estieメンバーが目指す「ありたい姿」

嬉しいことに8月にも怒涛の勢いで入社があり、estieはついに社員50人を超えました。どんどん大きくなる組織では、全員が同じ方向を向いて「コト」に取り組むことが必要不可欠であり、estieではそのための拠り所として「産業の真価を、さらに拓く。」というPurposeを掲げています。

このPurposeは変わらないですが、estieが作っていく未来は、代表平井の連続ブログ企画の記事(産業の真価を、さらに拓く。estieの未来を語る)にもあるように、お客様と共に少しずつ実現してきており、次に目指す価値提供の解像度がどんどんあがって来ています。

そして、スタートアップで事業を作っていくことは組織を作っていくことであると立ち返り、「コト」だけでなく一緒に働く「ヒト」を大事にしてメンバーの価値観を深ぼることで、自分たちが目指す姿を詳細化・言語化する試みをしてみないかと私が提案し、シリーズAを経て組織が拡大する前にワークショップを行いました。これが、デザイナー荒井によるestieの全社定例に密着!でもこっそり出てきていた「各部門に分かれて【ありたい姿】を定義する」という全社定例の企画です。

この「部門のありたい姿を考える」企画では、より強い組織になっていくために、それぞれのメンバーが「大事にしたいこと」を持ち寄り、そこから「こういう部門でありたい(=変えないでいたい + こうなりたい)」を考え、各部門を表すワンフレーズ(「〇〇部門のありたい姿はXXである」)と、それを補足する内容をそれぞれまとめました。

結果から出してしまうと、estieを構成する3部門のありたい姿(ワンフレーズ)は次のとおりです。

これに加えて後ほど紹介する補足内容は、現在のメンバーがこうありたいと思う姿を語り、また将来のメンバーに期待することを主張しています。各部門のフレーズ作成背景や経緯、メンバーの思いも面白い(ドキュメント化を徹底しているので、将来入社された方も議事録を追うことができます!)のですが、紙面の都合上、今回は私が管掌する開発部門に絞ってご紹介します。

開発部門のありたい姿の全容

さて、一言で「開発部門」と言っても各社で様々な形があると思いますが、estieにおいてはCTOが管掌する部門で、Engineering / Design / Product の3つの職種を束ねたものであり、企画当時も現在も最も多くのメンバーが所属しています。

社員における職種の分布

組織が大きくなれば意見が対立する場面も出てきますが、特に規模が大きくなってきている開発部門では、そのような場合に我々の行動指針となる共通言語を作ることを目標に置きました。進め方は次のとおりです。

  1. 各自が思う「大事にしたいこと」を考えてくる
  2. 少人数グループに分かれ、アイディアの書き出し → グルーピング → 投票の形でまとめる
  3. 集合して発表・質問し、さらにアイディアのグルーピングをして、共通するものと対立するものを洗い出す
  4. 対立するものについてどちらに重きを置くかを議論する
  5. 整理された結果をキーフレーズに整理し直す

何回も見直していくことを想定しているので、まずは生煮えでも形にしようと、これら全てを3時間の枠で密度高く行いました。

集まって徹底議論をするみんな

この結果、開発部門のありたい姿は「理想を具現化する挑戦者」であり、「メンバーは常により大きなインパクトにこだわり、高みを目指して変化を受け入れる、強い個人の集まり」という言語化ができました。また、集められた「大事にしたいこと」は、そのまま日常で使えるキーフレーズとなり、「8つの共通してゆずれないこと」と「5つの対立する価値観に対する指針」の 8 + 5 が形作られました。

このキーフレーズ 8 + 5 は、振り返ってみるとestieの2年目を振り返ってみるの記事でも紹介された、estieで仕事をする上での「美意識」として掲げる4つのValues(イシューシコウ / バクソクアウトプット / ジブンドリブン / アナタシテン)を、開発部門においてさらに詳細化したものになっています。

仕事をする上での「美意識」

それでは、「8つの共通してゆずれないこと」と「5つの対立する価値観に対する指針」の 8 + 5 を駆け足で見ていきます。 面白いことにいくつかの項目は、個人の働き方を言語化したValuesを定めた際に扱わなかった「チームワーク」の要素が補われる形になっていることがわかります。

8つの共通してゆずれないこと

ゆずれないこと
最小工数で最大の効果を; イシューシコウ
「インパクトを説明できること」にこだわり、顧客に価値を届けろ。
使われないものは作りたくないので顧客の声をとにかく仮説検証で取り入れたい。だから、例えばCSメンバーとは積極的にやりとりして、声を取りに行く。
「これしかない」を疑え; イシューシコウ
1つの考えに固執せず、フィードバックをもとめろ。ダメなものはダメと言え。
howに固執せず、issueを明確にして一番良い方法を考えるのが我々の強みなので、他に良い方法がないかどんどん聞く。
まずサイドを示せ; チームワーク
支持する側を明確にしてから意見を聞くことで多様な声を集め、効率的に考えをぶつけろ。
最初に立場を示すことを恐れず、流されないで良いものを目指す。言わないことはみんなの不幸。
わかりやすく頼れ; チームワーク
我々は背中を預けられる強い個の集まり。一人で抱えずにわかりやすく助けを求めろ。
一人で抱えていたら助けられない。背中を預けられる仲間が集まっているのだから、オフィスでは自由に声をかけて、Slackではチームのチャンネルでどんどん聞こう。
気持ちいいパス; ジブンドリブン アナタシテン
相手を考えないボールを投げ合うのはチームではない。相手のパフォーマンスを最大にするパスを出せ。
職種に囚われず一番レバレッジが効くことに挑戦できるのがestieの楽しさで、どんどん頼り・頼られる環境(配慮はしても遠慮はするな)。ただ、アナタシテンのないパスは意味がない。
やる怠惰; イシューシコウ
怠けることを怠けず、技術で解決して、組織のアウトプットを増やしていけ。
何も考えずに作業をするのではなく、いかに効率的にできるか、自動化できるか、怠けることを追求する。
全員先生・全員生徒; ジブンドリブン アナタシテン
成長しないと死ぬ、知識を共有しあうチームであれ。
学びを最大化するために教え合い、学び合おう。ある分野の専門家は別の分野では専門家ではない。あなたがGIVEできることはたくさんある。
大げさに成功を分かち合え; チームワーク
自慢しあい、他者の成功を喜び、褒め合え。
失敗も成功も共有してチームの学びを最大にすることがスタートアップが取り組むこと。Winning Session(毎週金曜に成果を自慢し合う会)でわいわいしたい。

5つの対立する価値観に対する指針

指針 トレードオフ 内容
ちょっと先を見る; イシューシコウ 今のアウトプットスピード ↔︎ 少し先のアウトプットスピード 今のアウトプットスピード最大化よりも1ヶ月/1年先を見て変わっていけ。属人化や標準化はその手段でしかない。どんどん仕組み化していけ。
早く試せ; バクソクアウトプット 社内で揉む ↔︎ 顧客に当てる 仮説は社内でいつまでも話していないで顧客にあてろ。早く失敗することは成功。
Return最大化、Risk最小化; イシューシコウ Low Risk, Low Return ↔︎ High Risk, High Return Low Risk, Low Returnは目指さない。Returnの高い選択肢を取ってから、Riskを小さくしていけ。
嫌なことには提案; イシューシコウ 個人の理想 ↔︎ ギャップのある事象 自分の理想とギャップがある事象を鵜呑みにしないで理想を追求することで事業にもっと大きなインパクトを出す提案をしていけ。文句で終わらせるな。
意思決定を任せる; チームワーク 全員で決める ↔︎ チームに任せる 全員で決めるのではなく背中を預けろ

ざっと眺めると、「無駄なことをするな」や「やる怠惰」といったイシューシコウに多くの項目が該当することがわかり、テクノロジーの力で「産業の真価を、さらに拓く。」という部門の役割を表していることが見て取れます。また、最後の「意思決定を任せる」は当たり前に見えるかもしれませんが、起業してからずっと全員が全部知っていて全員で決める体制だったものが変わったというフェーズの違いを確認できた項目で、このような環境の変化を振り返る意味もあるなと感じました。

このように定めた「8つの共通してゆずれないこと」と「5つの対立する価値観に対する指針」の 8 + 5 は、estieの日々の業務にも現れており、例えば「Return最大化、Risk最小化」によって新しいプロダクトを新しい言語で開発するという”狂った”アイディア(Indeedで働き納め、余生はestieで始める)を実行に移したり、「全員先生・全員生徒」で社内勉強会では部門を問わず参加者が殺到したりします。

この 8 + 5 は採用や評価の基準として反映して部門のありたい姿を実現するための採用戦略や広報戦略を描いていますし、日常会話でも「わかりやすく頼ろう」や「最初にサイドを示すと…」と使われたり、Slackのスタンプが作られたりと少しずつ浸透していっています。

さらによい組織を作るために

今回は、連続ブログ企画のような取り組みを実現するestieメンバーが目指す組織のあり方や、その言語化方法について紐解いてみました。

組織づくりはプロダクトづくりと切っても切り離せません。もちろん、プロダクトづくりに比べて人・組織のほうがコードよりも読みにくくて複雑なことは経験則から言えますが、組織は所属する個人が自発的に改善できるという利点もあると思っています。

今回は、それぞれの部門のありたい姿の言語化を行いましたが、estieは変化を受け入れてさらに良くなることを正しいと思っている組織です。一人ひとりが良い会社・プロダクト・プロセスを作れる、顧客価値というコトに向かえるチームでいたいので、特に「大事にしたいこと」に共感された方、さらに良くアップデートしたい方はぜひ以下を覗いてみてください!

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