入社5年目の入社エントリ

こんにちは!estieで事業開発を担当している田中陸と申します。

この記事はestie 真夏のアドベントカレンダー13日目の記事となります。

私は2019年8月にestieに入社をしておりまして、この8月を以てestieにおけるキャリアの5年目に突入をしました。日々多彩な経歴を持った方々が入社をし、輝かしい入社エントリを書かれているのですが、私は実をいうと入社エントリをちゃんと書いておらず、日々広報の田渕からいつ陸は入社エントリを書くのか、と2ヶ月に1度くらい突上げを食らっていました。そんな戦いに終止符を打つべく(?)、4年間を振り返って入社エントリを書いてみようかと思います。

特に最近はビジネス職の採用候補者とお話しさせていただくことも多く、実際にスタートアップにチャレンジしようか考えている方に少しでも雰囲気が伝わればと思っています。

入社するまで

私は新卒で住友不動産に入社をし、最初の2年間は国内の現場最前線の部署で、再開発・マンション営業・オフィスビルの運営・営業等を経験しました。日々足で稼ぎ、お客様と対話しつつ、チーム一丸となって事業目標を達成していくために努力することを学びました。3年目からは海外事業部へ異動となり、まだ海外事業自体が立ち上げ期だった中で、東京以外の市場に進出するのであればどこの市場が最適か、そのマーケットにおける投資機会の探索と事業計画の策定、プロジェクトの実行まで行いました。数週間後には世界中の違う都市にいるかもしれない、そんな慌ただしい毎日でしたが、とても充実した毎日だったのを覚えています。

私がそもそも不動産業界に新卒で入社したのは「不動産」ひいては「都市」をひとつの「モノ」として考えた時、強い興味を持ったためです。建物一つとっても、エントランスがどこに位置しているのか、足を踏み入れた時の奥行きや匂い、そこで行われる経済活動(住む、働く、滞在する、買い物する)など、非常に個別性が強いです。そしてそれらが群となって都市を形成し、都市ごとの特色、雰囲気、物語が存在します。海外事業を経験した中で、都市ごとの成り立ちや考え方(都市計画法)、マーケットの違い(価格や商習慣)、成長性が変わることを目の当たりにし、不動産の持つユニークさをより強く痛感しました。

当たり前ですが、個別性が強いからといって需要がないものを作ってもそれは事業としては成り立ちません。従って、不動産事業を営むということは、その都市や不動産の過去から今までの物語を読み解き、そこにベットすることを通して、その後の物語を紡いでいくことだと思っています。

estieへの入社

2019年当時私はインドに数ヶ月長期出張をして、1〜2週間一時帰国するというような生活をしていました。経済の発展目覚ましいインドにて身を置きそのプロジェクトを推進することは(大変なこともたくさんありましたが笑)非常にチャレンジングでやりがいのある経験でした。

インド長期出張時、取引先との写真

しかし、当時はまだまだ構想段階の域を出ていませんでしたが、「日本の商業用不動産のデータ基盤を整備する」というテーマを実現していくことに、自分の経験と照らし合わせてもより大きなインパクトとやりがいを感じ入社することを決めました。

というのも自分が海外事業部に身を置きその都市や不動産の物語を理解し投資の意思決定を行うにあたって、常にデータには助けられていました。そもそも人口がどのようになっているのか、都市の構造がどのようになっているのかから始まり、不動産のストックや需給、マーケット水準を理解し、人のライフスタイルも踏まえた上でどのような不動産を最終的に作っていくのかを判断しなければなりません。幸い欧米やインドでもそのような不動産のデータを扱う事業者が存在していたため、ニューカマーである自分でも近道をし意思決定を行うことができました。そのような環境があったからこそ、ニューヨークやロンドンのような都市では世界中の投資家たちがどんどん投資を行っていることを目の当たりにしました。一方で世界的にも最大規模を誇る都市である東京ではそのデータの整備が途上にあり、もっと世界にプレゼンスを発揮できる余地を残しています。それを実現する基盤を創っていくことにワクワクしないことなんてありますでしょうか。

estieに入ってから

すみません、入社してからの振り返りを書くはずが、入社時の想いをひたすら書いてしまいました。それでは入社してからの内容について振り返っていければと思います。

estieではこの4年間で非常に色々なことに取り組んできましたが、大きく要約すると下記の通りとなります。

2019/8〜2021/10:ビジネスサイドとして「estie マーケット調査」の立ち上げ、グロース

2021/11〜2022/9:プロダクトマネージャーとして「estie マーケット調査」のグロース

2022/10〜:新規事業の立ち上げ

一つ大きな特徴として挙げられるのが、元々ITとは無縁だった自分が一時期プロダクトマネージャーとして開発チームに身を置いて、エンジニアと共にプロダクトのロードマップ作りや要件定義などに携わっていたことです。ここらへんの経緯については過去のブログなどにも書いているので詳細は割愛しますが、事業の成長に必要なことを行うために社内のエンジニアとも連携しつつSQLをひたすら書いているうちに少しずつ染み出していった形となります。

細かい業務の内容はさておき、この4年間の業務を通して学んだことや感じたことについてかいつまんでお話しできればと思います。

自分は不動産のことをわかってない

よく採用面談をしていると言われるのが、「自分は不動産領域を経験したことがないので活躍ができるか不安」という点です。安心してください、自分もわかっていません。と言うと少し一般化が過ぎるかもしれませんが、あえて言語化するなら自分がわかっているのは「住友不動産における、賃貸オフィス領域の、営業や管理業務」だったり、「海外におけるマーケット調査、投資事業」だったりします。estieに入ってから感じるのは同じデベロッパーでも事業に対する考え方・取り組み方が違ったり、ましてや違う業態の不動産会社や違う業務領域においては自分がわかっていないことも多く、日々勉強という点です。もちろん顧客の理解がないと良いサービスは創れません。しかし、顧客と完全に同じ解像度に立つ必要はなく(というかおそらく不可能であり)、求められているのは顧客の抱えている大きな課題に対して、我々ならではの知見やリソースを通してその課題を解決できることです。estieには幸い不動産業界以外の方も多く入社し、その考え方や事業の営み方は不動産業界からきた自分からすると非常に新しい学びが多いと感じています。むしろ不動産業界に新しい風を巻き起こせるのはそういった方なのではないかとすら思ったりもします。

不動産のデータ、複雑を極める

自分は「estie マーケット調査」という不動産のデータ分析基盤に長く携わってきたため、不動産のデータを日々手元でいじっていました。前職ではExcelが基本となるため多くても数千行のデータを触ることが中心でしたが、現在では百万を超えるデータを組み合わせて新たな価値を作ろうとしています。ひとえに不動産と言っても、土地と建物があり、その土地や建物を利用する企業や人がいて、それを支える地理的環境があって、とさまざまな要因が組み合わさって初めて不動産の姿が見えてきます。それらを結びつけることを通して、estieは事業者のデータドリブンな意思決定を支えています。

また、例えば「住所」という日々馴染みがあるデータ項目一つを取ってもシステム上で扱うためにはその中身がなかなか手強い相手であることを知りました。フォーマットが定型化されてなかったり(xx区xx町とxx市xx区xx町があったり)、その中でも表記の揺れが発生していたり(xx丁目xx番地xx号とxx-xx-xxとxx番地xx)があったり、同じ住所でも建物が複数存在していたり。自分が不動産業界にいた頃は何気なく使っていたものでも、それがどのような歴史的背景を経て今に至っており、それをどう扱うかについて日々頭を捻る毎日です。

仮説は大体外れる

私は事業開発を行なっているので、どこに事業の機会があるのかを特定し、それをどう形にするかについて日々考えております。そしてこれまでの経験をベースにお話をすると、大体の場合において当初の仮説は外れます。悲しいですね。ただそれ自体は悲観すべきものではなく(凹みはしますが)、そこからどのように軌道修正を行い、最終的に目指すものをどう形作っていくかが大事だと考えています。自分が描いた仮説には裏切られることもままありますが、その仮説検証を行うスピード自体はマイナスに触れることはありません。銀の弾丸はないからこそ、まずは色々やってみることが大事かと思っています。

経験がものを言う世界もある

世の中には不確実な選択というものが必ず存在します。そのような場面に遭遇したときに、どのような選択肢が存在し、どのような観点でその選択肢を評価し、どのように意思決定を行うか、というのは、最も如実に経験の差が出る場面ではないかと思っております。自分が特にそれを感じたのはプロダクトマネージャーをしていたタイミングで、今思うとこうしたらよかったのにということはたくさんあります。例えばよくある話として新規開発と負債解消どちらを行うか、など。ただ、経験がなかった当時は自分の引き出しも多くなく、見えている選択肢から考えるしかありませんでした。曽部さんのブログにもありますが、行動量を増やしてより多くの打席に立つことはとても大事だと感じます。

スタートアップ、とても大変である

上記は自分が主に担当してきた領域の話ですが、それ以外にもビジネス面における運用整備、採用関連業務、組織づくりなど幅広くやることが多々あります。当たり前ですが、スタートアップにおいては整備されたプロセスなど存在せず、自分達で作っていく必要があります。前職を振り返ってみると、事業を推進するための組織としてのシステムがしっかり整備されていたと感じる日々です。そのプロセスを作っていくこともスタートアップならではのやりがいのように思います。

お前は何を成し遂げたいのか?

さて、色々と記載してきましたが、一番伝えたかったことは諸々ひっくるめて「スタートアップ、とても大変である」という点なのかなと思います。

では、estieに入って後悔しているのか、それは明確にNoです。なぜなら私が入社した時の想いである「日本の商業用不動産のデータ基盤を整備する」ということに日々邁進できているからです。一つ山を超えると常に新しいさらに大きな山が出てきますが、それも含めて解決すべき大きな課題があるからです。冒頭の入社までの話を長々書いてしまったのは私の不動産への愛であり、不動産業界へ馴染みがない方へも少しでもその魅力が伝わればという想いからですが、決して不動産に対してそこまでの想いがなくてもいいと思ってます。ただ、何か大きなことを成し遂げたい、そう思っている方にはぜひestieの登ろうとしている山の大きさを知っていただきたいなと考えています。

estieでは現在マルチプロダクト戦略を掲げ、これまでの賃貸オフィス領域に限らず、不動産の各領域において顧客への新たな価値提供にチャレンジをしています。少しでも興味を持っていただけた方はぜひカジュアルにお話ししましょう!

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日々苦労することもたくさんありますが、それも含めてかけがえのない経験と充実感がestieにはあります。最高の仲間達と一際大きな花火を打ち上げて、あの頃はあんなこともあったね、と酒を飲みながら振り返る日の実現を目指して、今後も日々やっていこうかと思います。

それではまた!たーまやー

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