コンパウンドスタートアップだからってとりあえずプロダクトを立ち上げまくっても良いのか?

estieでプロダクトマネージャーをしているゆーぶんです。

早いものでestieも創業して5年が経とうとしており、私もプロダクトマネージャー歴5年目となりました。

estieは創業からマルチにプロダクト開発をしており、創業から関わっている私は複数個プロダクトの立ち上げを経験してきました。

創業初期はコンパウンドスタートアップなる壮大な構想があったわけではもちろん無く、不動産業界に対して真摯に向き合って「産業の真価を、さらに拓く。」を突き詰めた結果、コンパウンドスタートアップになっていたように感じます。

ただコンパウンドスタートアップを目指すと明言されてしまうと、たくさん立ち上げてたくさんの事業をやっていることがコンパウンドスタートアップであるとミスリードされてしまう可能性があるのではないかなぁと漠然と課題意識が湧いてきました(どの立場で言ってるんだ)。

estie自体はたくさんプロダクトを立ち上げては、苦戦したり事業的には失敗したりと、事業立ち上げで経験することは漏れなく経験しており、プロダクトや事業を無限に乱立すればいいかと言うと、必ずしもそれがコンパウンドスタートアップを作り上げることに対して近道ではないと経験してきました。

たくさんの失敗をしてきた私ですが、最近プロダクトマネジメントに加え事業開発も担当するようになってから「産業の真価を、さらに拓く。」ためにプロダクトや事業の立ち上げの基準というものがチョットワカルになってきました。

結果的にはシンプルな3つの問いに答えられるかなんじゃないかなと思っているため、記事に文章を起こし、皆様からのフィードバックをもらおうと筆を走らせるに至っておりますのでぜひ読んでみてください。

estieでのプロダクト立ち上げ

プロダクト立ち上げ基準となる問いを書く前に、estieでのプロダクト立ち上げの検証方法とプロダクトマネージャーの役割についてご紹介したいと思います。

estieは既にいくつかのプロダクトが存在しており、それぞれPdM、デザイナー、SWE、営業がアサインされそれぞれの業務に対して背中を預け合い侃侃諤諤としながらプロダクトを作り込んでいます。

それぞれがそれぞれのポジションを取り、建設的な議論を行うため一定の説明・質問責任が伴っており、局所最適に陥らないように進めることを意識しております。

一方で新規プロダクトの立ち上げのときに上記の手法で議論をすると全く検証が進まないことが多々ありました。

新規の立ち上げではもちろんですが不確実性が高い仮説が多く「ではこれをヒアリングしてこようか」が無限に繰り返されてしまい、結局のところ何も開発は進まずヒアリング結果だけが積み上がってしまったのです。(うまくできている会社もいるかとは思いますが、estieではあまりうまく行きませんでした)

上記の失敗を踏まえ、estieでは下記2つのルールに従いプロダクト/事業の新規立ち上げの検証を行っております。

  1. 代表の平井直下のチームとし、説明・質問責任は最小限にする
  2. PdM or 事業開発、デザイナー、SWEの3人チームで行う。兼務はなし。

1によって説明責任は限りなく0になり、Doの時間を限りなく多く取ることができています。他の人に突っ込まれても「平井さんのOKでてるんで大丈夫っす!」の一言でオッケーです。

2のチーム構成にすることであらゆる意思決定とDoまでの時間を短縮することができます。ロードマップがアップデートされるたびにチームで集まり、すぐさまデザインや開発チケットに落としこむことが可能となります。プランニングもベロシティ計測もしませんが、本質的なスクラム開発を実現することができます。

要するにDoをたくさんすることを重視しており、それに適したルールを設定してある状況です。

その中でPdMに求められることは事業開発寄りなことも多く(事業開発がアサインされたらPdMのような振る舞いも求められる)、ひたすら意思決定をし、ひたすらその意思決定に従い開発ロードマップ作成と営業を行うこととなります。

もちろんやりがいも大きいですが、その分精神的にも肉体的にも負荷は一定かかるものとなり、「とりあえず立ち上げよう!我々はコンパウンドスタートアップだ!!」でプロダクトを気軽に立ち上げると、うまく行かなかった場合失う代償もそれなりあるわけです。(もちろん得られる成果もある)

その中で仮に失敗しても得られるものを多くするため、そして何よりも成功する確率を1%でも上げるため、スタートアップの限られた資源をどこに投資するかを見極めるための基準が重要となるわけです。

ただ簡単に見極めと言ってもどれも複雑で高次元の特徴量が絡み合った課題を即座に判定しなければならないため、明確な基準は難しいことが今までの経験でわかってきました。

なので私はシンプルな問い3つでGo/No-goを決定できるといいのではないかと思い、その3つの問いを共有させていただきます。

第一問:その領域でも既存事業を超える魅力的な市場か?

文章にすると当たり前だろってなりますね。ですが実際に進めていくと実はこの基準を考慮することを無意識に外してはいないでしょうか?

基本的にスタートアップの事業づくりとして、最初の事業は最も魅力的な市場で起こすはずであり、既存事業の市場よりも魅力的な市場を見つけるのはシンプルにやるだけでは意外に難しいです。

estieでは商業用不動産の領域において事業展開しておりますが、最も大きな市場はオフィスとなるわけであり、他のアセットをやろうと思ってもこの問いに答えるのは簡単ではありません。

だからといってせっかく立ち上げる事業が既存事業に勝てないとわかっていると「じゃあ一番大きいところにフォーカスしようよ」となるわけですし、何よりも立ち上げを行う身として面白くありません。

例えば商業用不動産という枠組みで考えるとオフィス以上の市場規模のアセットは無いわけですが、各アセットの事業に目を向けると不動産以上に魅力的な市場は広がっております。例えば商業施設に入居する飲食市場に目を向けると不動産を超える市場規模であり、物販も含めるとかなり巨大な市場になります。つまりは不動産の枠組みを超えてその業界に対して不動産データを活用してより日本をよくできないか?と考えることが重要であり、正しくestieのPurposeである「産業の真価を、さらに拓く。」ことになるわけです。

自社の事業のキャップを外し、各社のPurpose実現のために何ができるかを見ると意外に既存事業を超える市場は見つかるのではないでしょうか?

第二問:会社の資産を十分活用できるか?

第一問で魅力的な市場だ!となっても、本当の本当に0から始めるとどうなってしまうでしょうか。

まずは市場調査を行い、ユーザー解像度を上げ、新規顧客の開拓とMVP開発に向けてコードを0から書くことになると思います。これらは容易ではなく半年、または1年以上かかるでしょう。こういったプロセスはコンパウンド”スタートアップ”の最適解なのでしょうか。

例えば資金力のある大企業が参入してきたり、そこに会社の存続をかけているスタートアップがいた場合に本当に勝ち切れるでしょうか?非常に厳しい戦いが待っていることは想像に難くないです。

では会社の資産とはなにか?働く人、、、というのはどういう事業でも差分は出ないでしょうからおいておくと、コード、開発ノウハウ、そして顧客基盤と顧客からの信頼。理想を言うと同じ顧客にプロダクト展開できると検証速度や商談リードタイムがぐっと短くなり、多くの検証を短期間で行うことができます。

本問は「私がやる意味ある?」という深掘りになり、たくさんある魅力的な市場の中から自信が取り組むべきコトが見えてくると思います。

第三問:その事業にあなたは一心不乱になれるか?

急にエモい感じの問いになりました。ですが結局はこの問いに尽きる気がします。

いかに魅力的な市場で賢くスマートな事業計画でも、計画だけで会社の価値や世の中への貢献はできません。計画は間違っていてでも実行することにこそ価値が生まれるのです。

私も今事業立ち上げをしておりますが、代表の平井から聞かれるのはこの問いだけです。「なるほど。で、それに魂こもってるの?」としかこの1年聞かれてないような気がします。逆に言うとこれ以外については完全に権限委譲されております。つまりはこの問いがコンパウンドスタートアップで立ち上げる要素として最も重要なのでしょう。

第一問、第二問までは答えられる人は多いのではないでしょうか。でもこの第三問については答えるは易しで実行するのは難しいです。

サラリーマンとして1年以上この意思でできる人、やりたい人は少ないかなと思います。

大義は何でもいいでしょう。業界を良くしたい、顧客のために成し遂げたい、売上をめちゃくちゃ上げたい。どれでも一心不乱になるのであれば、やるべきですし続けるべきだと思います。

3つの問いとかカッコつけてたけどめっちゃ普通だった

結論言うと、上記3つの問いに答えられるならとりあえずプロダクトを立ち上げまくればいいんだと思います。どんどん行きましょう。

ただこの3つの問い、シンプルかつしっかりと答えようとすると意外に難しいなと感じております。

“シンプルな問い”と勢いよく啖呵切っておいて、いざ言葉にしてみると当たり前過ぎて面白みにかける内容になってしまいました。

ただ本当に大事なことはそんなもんなんだと思います。

人間は想像するよりも簡単な課題にしか取り組めないので、当たり前のことを当たり前にやるだけだと思います(それが非常に難しいですが)

そしてさぞ成功したかのように書いてしまいましたが、会社としてはまだまだ吹けば飛ぶようなフェーズであり、コンパウンドスタートアップとして成功したわけでは全くありません。志半ばどころか志一歩目です。また、私個人も全然上手く立ち上げできているわけではなく日々悪戦苦闘しております。

しかしながら、弊社、そして切磋琢磨しているコンパウンドスタートアップ仲間はこの心意気をもって業務に向き合っております。もちろん大企業でもそういう人はいるでしょう。

コンパウンドスタートアップをやる(マルチに事業を展開する)のは狂気だと言われてきましたし、実際そうなんだと思いますが、その狂気の中にいることは想像するよりも心地がよいです。

本記事を読んで励みになったとか学びになったとなる人が一人でもいると嬉しいです。

冒頭記載した通り、こうなんじゃないか!?という熱量で書ききったためいろんな方のご反応お待ちしております!

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