“ikigai” を求めて、三十にして立つ

【プロフィール】万代 悠作(まんだい ゆうさく)

島根県生まれ。松江工業高等専門学校専攻科修了後、東京大学総合文化研究科博士課程修了。
2019年トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスド・デベロップメント株式会社(現ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社)に入社し、高度運転支援システムにおける認識アルゴリズムや自動運転用高精度地図の生成プラットフォームの研究開発に従事。estieには2022年5月から業務委託として関わり、2022年10月に正社員として入社。

はじめまして、2022年10月に株式会社estieの正社員として入社した万代と申します。こういうブログ記事を普段書くことがないのでとても緊張していますが、執筆の機会をいただいたのでestieに入社したきっかけについて書かせてもらおうと思います。

初めに自己紹介なんですが、私は島根県のど田舎の生まれで、小学生から中学生の間は周りに遊ぶ友達もあまりおらず、家でテレビゲームばかりしているような子供でした。ただ、当時からゲームを作る技術であるプログラミングに少し興味があり、加えて国語がどうもダメで嫌いでしたのでそういった授業が少ない工業高等専門学校に進学することにしました。

進学先の松江工業高等専門学校ではのちのestie CTOである岩成と同級生で、他の友人らと共に楽しく情報系の学問を学びました。岩成とは仲良くさせてもらっていて、一緒に九州車中泊旅行に行ったり、高専プログラミングコンテストで開発をしたり、大学院に進学してから小学生向けプログラミング学習用アプリを開発したりしていました。

今までのキャリア

大学院ではコンピュータ将棋・囲碁を題材として探索アルゴリズムや評価関数の機械学習手法について研究をしていて、博士課程まで進学したのですが結局は民間企業へ就職しました。就職の際には、指導教員の先生に自動運転の開発を行う会社を教えてもらい、そこへ入社しました。当時は自動運転技術に社会課題的な視点で興味を持っていて、日本の主要産業である自動車産業が100年に一度の変革の時と言われているなかで、自分もなにか貢献できないかということを考えていました。また超高齢化社会をひた走る日本においては、自動運転技術が将来様々な課題(過疎地域の生活の足、人手不足による物流など)を解決しうると思っていたので、日本を救う、とまでは言わないですがそういったことに自分が関われるとよいなぁと思ったのも会社を決めた要素の一つでした。

入社後は機械学習を利用した画像認識アルゴリズムの開発をおこなったり、組み込み系のプログラミングを行なったりして、実際に自分が書いたコードがお客様が命を預ける自動車に搭載されて出荷されるところまで経験をすることができました。その後は自動運転車用の高精度な道路地図を自動生成するというプロジェクトに異動して、市販の自動車からアップロードされるセンサーデータを元にSLAMという技術を用いて、道路上の構造物の位置を推定するというシステムの構築に携わりました。

チームメンバーや会社の環境は非常に良く、幾分満足した生活を送っていたとおもいます。

estieを知ったきっかけ

2020年の夏に現CTOの岩成が業務委託として参画していたときに一緒にやらないか?と声をかけてもらったのがきっかけです。ですが当時は本業や私生活が忙しく、結局ちょこっとコードを書いてestieとの関わりは一旦終わりました。

正直なところ、そのときは不動産業への理解が浅く、某漫画で描かれているように一般人になじみが薄い「なんだかよくわからない業界」という印象を持っていましたし、当時はコロナ禍が始まったばかりの頃で不動産業界がどうなるかわからないという不安や、なにより今の会社でもっと頑張りたいという思いが強かったので転職という判断には至りませんでした。

副業での関わり

2022年の年明けごろ、岩成からまた声をかけてもらいました。その頃は会社でやっていたことにも少し慣れが生じており、停滞とまではいかないものの自身の成長スピードがなんとなく鈍化している、と感じていたので新しいことに挑戦する意味で副業からやってみることにしました。業務委託のエンジニアでしたが大きな裁量を与えてもらい、当時の本業とは違って、自分で好きにコーディングすることができてすごく楽しかった思い出があります。また副業中にestieに在籍している、ビジネスサイドを含めたいろいろなメンバーと話す機会ももらい、不動産業界の基礎知識を仕入れることができました。

話をしていくなかで、estieの社員はみな優秀であるとともに熱い志を持っている人たちだと強く感じました。会社として「世界最大級の市場規模を誇る日本の不動産市場をデータとテクノロジーの力でアップデート」という遠大な挑戦を掲げているestieですが、その裏にある世界に誇る伝統産業である日本の不動産業界への深いリスペクトと、自分達がデータとテクノロジーの力でその真価を、さらに拓く。という決意を感じることができました。

もちろん、その挑戦を成し遂げるためには解くべき技術的課題も多く、その課題の多さと困難さに圧倒されつつも「estieへ入社すればこんなに面白そうなことができるんだ」と入社もしてないのにワクワクすることができました。代表の平井との最終面談ではデータとテクノロジーの利活用で日本を活気づけるといった話を通して、自分が学生時代になんとなく思っていたことを本気で取り組んでいる経営者に非常に興味を惹かれました。

またestieではエンジニアの採用に非常に力を入れており、ツヨツヨエンジニアがたくさんいるというのも入社を後押ししました。余談ですが、入社前に業務委託として働いていた際に自分が作ったプロダクトを、平井自身のPCでDockerを使いこなして立ち上げてもらったり、estieのエンジニアと平井とでちょっと雑談していたときに平井がAtCoderの問題に取り組んでいたエピソードを話していたりしたのがとても印象的でした。会社のトップがソフトウェア技術に関心を持っているということや、エンジニア文化を醸成することにとても力を入れているところも、魅力の一つでした。

入社すべきか?

正直なところかなり迷いました。前職も居心地はよかったですし、何より企業としての安定感がありました。そんな中で不安定なスタートアップに転職するならば相当な理由がないといけないですよね。今となってみると、そういう迷いを30代で経験できたことは良かったのではないかと思います。孔子ですら四十になるまで迷ったと言っています。

自分は “ikigai” という概念が好きで、特に “ikigai” を象徴的に表すベン図をよく思い浮かべます。曰く、「あなたが好きなこと」「あなたが得意なこと」「お金を稼げること」「世の中に必要とされていること」全てを満たす何かがその人の “ikigai” と紹介されています。この四つの要素を満たしているかどうかは自分の中で職業選択の一つの基準になっていました。

「世の中に必要とされていること」というのは判断が難しいですね。全ての職業は誰かに必要とされているので成り立っているわけなので。ということは、これは主観的なものとして考える必要があるのではないでしょうか。自分からこの世を見たときに必要とされていることは何か?そういった観点で見たときに、「データとテクノロジーの力で不動産市場をアップデート」という挑戦は「必要とされていること」度合いをより強く感じました。それは、自分の生まれた国である日本の産業をアップデートする挑戦であり、自分と親しい友人が熱を上げて取り組んでいる挑戦だったからかもしれません。

いずれにせよ入社を決めたのは三十、自立していく年頃です。居心地のよい環境から離れて思い切って転職し、自分の ”ikigai” を追い求めていこうと決心しました。自分の好きなように挑戦すればいいと言ってくれた妻に感謝しています。

これから何をしていくか、何をしているか

現在はデータマネジメントチームのメンバーとして、不動産に関するデータ整流化やデータ基盤の構築に取り組んでいます。日々お客様が触れるプロダクトに使用されるデータを扱うという点で、データに間違いがあってはならないというプレッシャーと同時に、自分の仕事がお客様に役立っているということを実感でき、とても楽しいです。また自動車のセンサーといった機械が出力するデータとは違い、人間が入力したデータを扱うことも多いので表記揺れなどの問題や、複数のデータソースから得られる不動産特有の情報を矛盾なく保存するためのデータモデリングの問題などもあり、大変ですがやりがいのある仕事だと思います。

また、estieではマルチプロダクトという戦略を掲げています。しかし、この戦略はさまざまな技術的挑戦があります。さまざまなプロダクトでの使用に耐えうるようにデータの整備を進めていかなくてはなりませんし、データの横断的な利用を促進するインフラストラクチャの構築なども欠かせません。さらには複数のプロダクトの相互作用を考え、最適なソフトウェアアーキテクチャを考えていく必要があります。またデータを保持し、将来の分析に役に立てるためのデータ分析基盤にも力を入れていかなければなりません。日々チームメンバーと議論しながらestieを成長させていくために先を見据えながら設計を行っています。

こうして書くと、やらないといけないことがたくさんで、かつ人も少ないので大変なんですが、逆にいうと問題が尽きないので非常にやりがいがあります。やれることが多いこと、問題が大きいことでワクワクが尽きません。

最後に

estieという会社はこれからさらに面白くなると思います。それは会社価値的にもそうですし、estieが取り組んでいる問題もエンジニアとして面白く、大いにやりがいを感じるものになっていくと確信しています。問題解決が好きな人で「産業の真価を、さらに拓く。」ことに共感した方、ぜひ一緒に働きましょう!

hrmos.co

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