こんにちは、SWEの松本です。商業用不動産というと、物理的な建物や契約の話をイメージするかもしれませんが、実際には技術者にとっても解決すべき多くのチャレンジが潜んでいます。
この記事では、同僚にお願いしたアンケートをもとに、estieの開発者がどのような点で商業不動産を面白いと感じ、どのような技術的な課題に取り組んでいるのか、チームのリアルな声を交えながらお伝えします!
Q. 開発者視点で思う商業不動産のおもしろさ
大きく4つの観点で面白さを感じている人が多いようです。
- 不動産データの複雑性
- アセット・プレイヤーの多様性
- デジタルトランスフォーメーションの機会
- 社会とのつながり
1. 不動産データの複雑性
- 不動産情報の複雑さにあると思っています。登記簿1つとっても様々な情報が記載されていて、 それをシステムで扱うためのデータモデリング自体もやりがいがありますし、エンジニアとして業界のプロの業務を少しずつ理解していく中で彼らが大量の情報の中からどう紐付けて解釈を生んでいるかを学び、それをソフトウェアで実現することで価値を作り出すところが自分は一番魅力的に感じます。(SWE)
- 実社会の整備されていないデータを整備されたデータに変換する難しさ・複雑さそのものが好きな人にとっては楽しいと思う。お金が大きく動き、人々の暮らしにも大きな影響を持つ不動産を対象に空想を膨らませられること・価値に関わる変数が多いところ・建物自体の価値、立地、将来の展望、政治...と、価値に大きな影響を持つ因子が多い 。変数が多いほど、創意工夫を生かす余地がある。それら変数にそこまでランダム性がないところもよさそう。(SWE)
- オフィスには住宅とも違って難しい点(たとえば区画が動的に変化しうるとか)があり、データ設計にあたって深い洞察が求められる点(SWE)
- 建物の位置や形状などの多くの性質が利用しやすい形でデジタイズされていないこと。建物の位置や形状、階数や高さ、築年数や延床面積に答えはある。さらに最寄駅からの道のりや部屋の形状、窓の向きや面する道路などの様々な性質が存在し、それらはデジタイズ可能なのに、ほとんどがデジタイズされておらず、簡単に調べたり比較したりできていない。また商業用不動産データの中でも中核を担う建物のデータでさえデータの量が多く、そして建物は大きいため一棟ごとに重みがあること。(SWE)
- まず、不動産全般に言えることとして、不動産を詳細にデータ化すること自体がとてもチャレンジングな課題です。例えばひとくちに「不動産を持っている」といってもその形態には「所有権」「受益権」「区分所有」など様々あり、統一的な扱いは一筋縄では行きません。一方、商業用不動産固有の事情として、収益を最大化するためにさまざまな不動産を並べてデータ分析したいというニーズがあります。そのため、統一的な扱いが難しいにもかかわらずデータ分析しやすい程度に単純化する必要があるというジレンマを抱えています。当然これは解決するのが大変難しい課題ですが、売買賃貸問わず商業用不動産は動く金額が大きいので、データによって得られた新たな知見もそれだけ価値があるという点が魅力です。(SWE)
2. アセット・プレイヤーの多様性
- 商業用不動産と一口に言っても、オフィス・物流施設・住宅・商業施設・ホテルなど、かなり性質の違うアセットがあり、それぞれに貸主・テナント・仲介などの、かなり性質の違うプレイヤーがいて、さらに地域によっても風習がかなり異なるため、業界全体が非常に複雑で面白いです(複雑であればあるほど面白いと思える年齢になりました)(SWE)
- 扱う概念とモデルが複雑で、業態によって不動産の異なる部分に注目している。(SWE)
- データに希少性があり、その希少性を活かした製品作りが出来る。アセットタイプが複数ありユースケースが微妙に違う。これらをまとめ上げて大きな製品にする工夫の余地がある。市場が大きくて成長限界にぶつかる心配が少ない。(PdM)
3. デジタルトランスフォーメーションの機会
- データ、及びデータ基盤の未整備など業務上の非効率がまだまだ多数存在しており、本来注力すべき戦略策定や営業活動の阻害要因になっている。それら阻害要因を取り除くことで、まだまだ成長できるのが商業用不動産!商業用不動産には無限の可能性がある!いつか自分の街を変えることになるかもしれない!(PdM)
- 日本において先人がいないこと。ビジネス的にも面白いし、技術的にチャレンジングなことが多い。(SWE)
- 働く人の記憶力やバイタリティといった能力の高さと経験によって動いている業務も多く、ITの力で効率化・DXしていく部分が面白い。toBなので、お客様が本気で使ってくれてやりがいを感じる。(SWE)
- 掘り起こしてみると、不確実性が高いことばかりです。より多くのお客様にデータ基盤を活用していただけるかは、データ・デザインの両面のアプローチが必要ですし、常識にとらわれない発想などが要求される場面が多く、楽しいです。(デザインエンジニア)
- 歴史が長く重厚長大な業界で作られてきた業務のやり方が根付く中、いかにestieのサービスを使うことで業務が効率化できるか、データを用いていかに高度化できるかが面白いポイント。業界内でのシェア率が上がるにつれてまだestieを導入してないの?みたいな状況にしていきたい。(QA)
4. 社会とのつながり
- 現実世界に存在する土地・建物に関わるプロダクトを開発しているという点でのリアルとの接続感が楽しいなと感じています。(デザイナー)
- オフィスや住宅、商業施設、ホテルなど生活してる中で関わりがあるというところがとても面白いなと感じています。何をするにしても自分ごとにできるので単にプロダクトを開発していくことを超えて、どうしたらそのアセットが伸びていくのかまで想像を働かせることができるなと感じています。その他にも、物流施設やデータセンターなど一見馴染みがないように見えますが、暮らしていく中で必要不可欠となっている不動産にも興味が出てくるので沼に入ってる感じです。(デザインエンジニア)
Q. 技術的にどんなチャレンジがあるか
こちらは大きく3つのチャレンジに向き合っていると言えそうです。
- データ整備
- 複数プロダクトの同時開発
- ユーザー体験と技術革新の融合
1. データ整備
- 建物や部屋は千差万別であり、位置や形状など性質は一つ一つ違う。位置や形状を計算機的に美しくデジタイズしても、例えば緯度経度を完璧に表せたとしても、不動産を使う人に直接役立つ形ではない。要望は千差万別であるだけでなく、例えば「窓から緑が見えるといい」などのデジタイズされた値とは直接関係ない性質が多々あると思う。そのような要望を最も満たせる建物や部屋を見つけるためにはデジタイズされたデータから要望を満たせる度合いを算出するための複雑な計算方法が必要となるが、そもそもかなり多くの性質を正しくデジタイズする必要もあると思う。その量の多さ。(SWE)
- 不動産を扱ううえで土地や建物の登記簿は避けて通れないものです。しかし、調べたい土地や建物の登記簿を正確に取るというのはそれだけで難しい課題です。これには、例えば普段私たちが目にする住所と登記上の地番(一筆の土地ごとに登記所が付す番号)とが異なる付番体系で管理されていることなど、さまざまな原因があります。このさまざまな原因をはらんだ課題を解決するために、競プロ的な解法や、データサイエンス的な解法、さらにそれらを解法を支援するためのデータ連携のしくみづくりなど、様々なアプローチで取り組んでいます。(SWE)
- データモデリング:データをどうやって綺麗にしていくか、どう品質を保つかについて考える。ドメインを理解し、将来への想像力を持ってあれこれ議論する必要があるが、不動産会社の資産の深い部分と関わっており面白い。(SWE)
- データパイプラインが整いきっていない部分が多々あるので、それをある程度自分の裁量で決めていけるところは、好きな人にとっては面白いとおもう。(SWE)
2. 複数プロダクトの同時開発
- 少数精鋭の組織で多数のプロダクトを提供するためのアーキテクチャ設計(技術の面でも組織の面でも)(SWE)
- 複雑な業界に対して、我々は複数のプロダクトを組み合わせることで個々のお客様の課題を解決する、というアプローチをとっています。たいして大きくない会社で複数のプロダクトをものすごいスピードで開発しているので、油断していると技術的な複雑さも爆発してしまいます。この問題に対して Platform Engineering で技術的な複雑さを吸収するというチャレンジをしています。複雑な問題をシンプルな構成で解くというのは難易度が高く、大変おもしろいです(難易度が高ければ高いほど良いと思える年齢になりました)(SWE)
- Whole Product戦略に基づきプロダクトをどんどん生み出していっているので、産業の真価を拓いている・拓こうとしている実感を日々得られるのが最高!(PdM)
- マルチプロダクト展開をしているのでミドルウェアの共通化などに力を入れており、新規プロダクトの立ち上げスピードが速いところは面白さの一つだと思います。データに価値があるサービスが多いためデータ品質をいかに上げていけるかも面白いポイント。(QA)
- 特にデータのモデリング周りで、様々なフォーマットの生データをモデリングして取り込み、サービスとして提供する部分はチャレンジングに見える。個人的には、複数立ち上がったプロダクトの知見共有、実装コストを削減するための、共通化や標準化に興味がありやりがいを感じている。(SWE)
- データパイプラインからミドルウェア、ソフトウェアと何層にも分化・共通化されたマイクロサービスを作り上げる面白さがある。(PdM)
3. ユーザー体験と技術革新の融合
- デザインで新たな業界水準を作り上げることにワクワクしています。(デザイナー)
- 現状の泥臭い部分をいかにスマートに届けるか、割り切って泥臭い部分をどう仕組み化してやっていくのかのいい塩梅を考えながらやるリアルな開発業務。(SWE)
- 安心して任せてもらえるレベルの推薦技術や要約技術で新しいインサイトをあたえ、既存の業務を省力化・高度化していきたい。(SWE)
- 機械学習を使ったデータ整理。データから洞察を引き出す試行錯誤は楽しそう。データ量がある程度多く、フォーマットが一定ではない不動産領域は機械学習との相性がすごくよさそう。(SWE)
- 変化の激しいフロントエンドの業界の中で、最新の潮流をキャッチアップし続けている人たちがいて学びがいがある。(SWE)
- 不動産を扱うには地図ライブラリについての習熟度が問われます。こういった体験・パフォーマンスを考えることが難しくもあり楽しいです。(デザインエンジニア)
- プロダクトのデータ拡充や機能開発を行い顧客の期待に応えながらも、同時にWebパフォーマンスや技術負債の解消などの品質特性を妥協せずに追い求めることは自分にとっての大きなチャレンジです。社内のスペシャリスト達の力を借りながら、自分が担当しているプロダクトのPMFを目指しチームで考え抜いて改善を高速に回すことがとてもワクワクしています。(SWE)
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最後まで読んでいただきありがとうございます。商業用不動産や技術的なチャレンジに少しでも興味を持っていただけたでしょうか?もし「もっと話を聞いてみたい」「どんなプロジェクトに関わっているのか気になる」と思ってもらえたら、まずはカジュアル面談からでもお気軽にご連絡ください。皆さんとの新たな出会いを楽しみにしています!