はじめに
こんにちは。estieでデータサイエンスをしている齊藤です。これはestie夏のブログ祭り8日目の記事です。
8/10はヤドンの日なので、ヤドン好きな私が記事を書いています。
PLATEAUとは
PLATEAUとは、国交省のオープンデータプロジェクトです。雑に説明すると、「日本中の都市をまるごと3Dデータとして整備・公開・活用しよう!」というプロジェクトです。
基本的にはビルや道路の3Dデータなので、UnityやVRに持っていって遊ぶような使い方がまず想定され、実際にさまざまな活用がされています。
3D都市モデル PLATEAU LT 01 - connpass
3D都市モデル PLATEAU LT 02 - connpass
一方で私はestieでビルの賃料を予測したり、補正したりする業務に携わってきました。そのため、ビルの属性(竣工年は?造りは?価格は?)といった部分に興味があります。PLATEAUも例に漏れず、3Dデータそのものよりも、面積や防災情報など、3D部分以外でよく遊んでいます。
Urban spatial order
ところで、Geoff Boeingさんの研究に”Urban spatial order: street network orientation, configuration, and entropy”というものがあります。これは、道路の方角や長さを街ごとに集計することで、その街の特性がわかるという研究です。
たとえばマンハッタンは格子状に道路が並んでいるので、向きを集計するとほとんど同じ向きを向いていることがわかります。
一方ボストンはさまざまな向きに道路が向いているため、マンハッタンとは全く違うグラフになることがわかります。
この研究に感銘を受けたので、東京23区のビルについてこの集計を実施してみたいと思いました。個人的に、東京は区によって全く違う都市である印象があります。渋谷と新宿は距離的には近いですが、街の雰囲気は全く異なります。また、せっかくestieというビルデータを扱う会社にいるので、ビルを集計してみようと思いました。
集計方法
- PLATEAUのbuildingデータを読み込む
- 具体的には、東京都データのうち bldg のlod0RoofEdgeのデータ(上空から見た建物の形)を読み込みます。
- ビルを単純化する
- たとえば、こういうビルがあります。(PLATEAUの建物ID: 13107-bldg-18762)
- そのビルを含む四角形に単純化します。
- 具体的には、shapelyの minimum_rotated_rectangleを使用しました。
- 四角形の全ての辺の角度(方角)、長さを計算する
- NumPyでやりました。
- 方角をヒストグラムで集計する
- この時、辺の長さで重み付けしました。大きい建物は、街の印象に対する影響が大きいと思ったためです。
- NumPyでやりました。
東京23区の集計
結果を見てみてください。カオス度が低い順に(より整列している順に)並び替えてあります。
江東区、墨田区が最も整列したビル群で、逆に豊島区や渋谷区が最もカオスになっていることがわかります。確かに、錦糸町周辺は碁盤の目状になっていますし、渋谷は入り乱れている感じがします。
千代田区はピークが二つあるように見えます。
皇居の東側(神田〜丸の内)と西側(市ヶ谷周辺)では建物の向きが異なっているため、こういうグラフになっているようです。
また、都市の傾きのようなものもわかります。
中央区はよく傾いていますね。これは、徳川家康の時代までさかのぼり、河川と並行に町割りをしたことが今でも残っているそうです。
ヒストリー | GINZA OFFICIAL – 銀座公式ウェブサイト
まとめ
estieではさまざまなデータを集め、整形し、提供しています。不動産のデータはすごく面白いのですが、あまり皆さんに気軽に触ってもらうことはできません。PLATEAUはオープンデータなので、誰でも試してみることができます!ぜひ触ってみてください。
ちなみに今回使用したコードはここに上げました GitHub - johntronik/blog_plateau_polar_plot
不動産のプロ間で流通しているデータもさわってみたいな、と思った方はぜひカジュアル面談しましょう!