北海道室蘭市で農業事業を開始 日鉄興和不動産

日鉄興和不動産は2025年12月12日、日本農業と共同で「日鉄興和不動産農業株式会社」を設立した。不動産事業の領域拡大として農業事業に参入し、第1弾として北海道室蘭市に同社が保有する遊休地約5haで「高密植栽培」によるりんご生産を2026年4月より開始する。
栽培対象地は室蘭市幌萌町に所在し、定植面積は4.75ha。2026年春に約0.77ha、2027年春に約3.98haと段階的に開園する計画だ。採用する高密植栽培は、1反当たり約6トンの収穫が可能とされる生産方式で、従来方式の約3倍の収量が見込める。
同社は日本製鉄の製鉄所エリアで長年街づくりを手掛けてきた実績を持つ。2024年にはスマート農業スタートアップのAGRIST株式会社への出資および業務資本提携を行い、農業分野の知見を獲得。今般、不動産事業と同様に土地に根ざした事業として農業を新規事業に位置づけ、10年間で100ha規模の生産体制構築を目指す。将来的には流通インフラの整備やブランド化、観光農園化も視野に入れる。
不動産デベロッパーの農業参入としては、三井不動産が2020年にワールドファームとの合弁で茨城県・栃木県で加工用野菜事業を開始した事例がある。同社は生産・加工一体型のモデルで業務用カット野菜を展開し、2025年に100ha規模への拡大を計画している。日鉄興和不動産は、農産物の生産から販売・輸出まで展開する日本農業との連携により、生産から販売までの一貫体制構築を図る。
事業概要
新会社名称:日鉄興和不動産農業株式会社
事業主:日鉄興和不動産株式会社、株式会社日本農業(共同出資)
所在地:北海道室蘭市中島本町一丁目4番4号
設立日:2025年12月12日
栽培対象地:北海道室蘭市幌萌町77-2(地番)
栽培面積:定植面積 4.75ha
栽培方法:りんご高密植栽培
開園時期:2026年春(約0.77ha)、2027年春(約3.98ha)