ニプロ、再生医療拠点「東京 CPF(羽村)」の底地をヒューリックへ100億円で売却
ニプロ株式会社(東証プライム:8086) は2025年6月20日、東京都羽村市の研究・製造拠点「東京CPF(羽村)」の底地をヒューリックに100億円で譲渡した。本取引は土地のみを対象とした信託受益権の譲渡であり、取引後も本施設はニプロが賃貸借契約により継続使用するため、操業に変更はない。帳簿価額59億円との差額41億円は2026年3月期第1四半期に固定資産売却益として計上される見通しだ。
対象地はJR青梅線「羽村」駅から徒歩約8分、羽村街道に面した産業ゾーンに立地する。敷地は約8,238坪の整形地で、3階建てクリーンルーム棟などが建ち、脊髄損傷治療薬「ステミラック®」をはじめとする再生医療等製品を製造している。中央道や圏央道方面への車両アクセスにも優れ、原材料や低温物流の集約拠点としてのポテンシャルが高い。施設自体は2020年6月に竣工しており、延床面積は約10,738坪と国内屈指の規模を誇る。GMP基準を満たす製造室群を備え、年間最大約2,500人分のステミラックを安定供給できる体制が整う点も、底地の長期価値を下支えする。
売り手のニプロは資産効率化と財務体質強化を掲げ、ノンコア資産の選択と集中を進める一方、成長分野である再生医療ビジネスへの投資を加速する構えだ。
買い手のヒューリックは取得の狙いを公表していないが、2024年6月にはキオクシア四日市工場の土地信託受益権を取得し、キオクシアに長期リースバックする大型取引を実施した。同社は同案件を「長期安定収益を見込める優良インフラ型アセット」と位置付けており、今回の東京CPF(羽村)底地取得も、産業・ライフサイエンス施設でストック型キャッシュフローを厚くするという一貫したCRE戦略の延長線上にあると見られる。
物件概要
物件名称:東京CPF(羽村)底地
買主:ヒューリック株式会社
売主:ニプロ株式会社
取引価格:100億円
所在地:東京都羽村市神明台2丁目1-1
最寄駅:JR青梅線 羽村駅 徒歩約8分
面積:約8,238坪