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三井不動産、東陽町で都市近接型ライフサイエンス施設を着工―国内外で拠点を拡大

三井不動産は4月10日、東京・江東区東陽町において、賃貸ラボ&オフィス「(仮称)三井リンクラボ東陽町1」の建設に着手すると発表した。「リンクラボ」シリーズの中でも葛西や新木場に続く「都心近接型」の開発となる。

2026年夏の竣工を予定しており、本施設では、高度な研究設備が求められるバイオテクノロジーや医薬品、再生医療分野に加え、半導体や食品・化学など多様な先端領域の研究開発を支える拠点とする。 三井不動産はこの「リンクラボ」シリーズを拡大することで、国内外のライフサイエンス関連需要を積極的に取り込む構えだ。

国内ライフサイエンス関連不動産開発は三井不動産が先行

ライフサイエンス関連不動産は、研究開発を行う企業やスタートアップがオフィスに加えて実験用のウェットラボを必要とするため、一般的なオフィスビルとは異なる高度な設備仕様が求められる。一方で、コロナ禍以降のリモートワーク普及で一部オフィスの稼働が伸び悩む中、実験施設はリモートでは代替が難しく、稼働率が高いという特長がある。こうした安定性に加え、医療・バイオ関連の世界的な市場規模拡大を受けて、近年は特に海外で投資マネーがライフサイエンスセクターに流入する傾向が強まっている。

三井不動産では、当該「ラボ&オフィス」事業を2019年5月より開始しているが、それに先駆けて2016年には産官学連携プラットフォーム「LINK-J(ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン)」を立ち上げ、国内のバイオ・医療系スタートアップを中心としたコミュニティ形成を進めてきた。既に日本橋や柏の葉、葛西などで複数の「ラボ&オフィス」を展開しており、国内プレイヤーの中では大きく先行していると言える。

米国に見るライフサイエンス開発の最前線

海外では、米国がライフサイエンス不動産の一大市場として知られる。ボストンやサンフランシスコ、サンディエゴなど大学や医療機関が集積する地域を中心に、大規模なクラスターが形成されており、代表的なデベロッパーには、30年以上前からバイオ特化型不動産を展開してきたアレクサンドリア・リアルエステート(ARE)や、ブラックストーン傘下のバイオメッド・リアルティなどがある。彼らは研究者同士の交流を促すキャンパス型開発や、インキュベーション施設・アクセラレーターを併設した大型ラボを次々と立ち上げ、ベンチャーや大手製薬企業の研究拠点を誘致している。 近年米国では過熱気味の開発で主要都市の空室率が一時的に上昇しているが、長期的には製薬・バイオ技術への投資拡大や高齢化を背景に、研究需要が依然として強いとみられている。

一方で、日本のライフサイエンス不動産市場は欧米と比べるとまだ規模が小さく、投資家層の厚みも限定的だと指摘される。三井不動産の今回の東陽町プロジェクトは、こうした流れを受けて国内の研究開発拠点を大規模かつ先端的な仕様で整備する取り組みであり、国内オフィス市場全体が転換期を迎える中、先端産業を支えるライフサイエンス施設がどのように拡大していくのか、今後も注目が集まりそうだ。

施設概要

  • 名称(仮称):三井リンクラボ東陽町1

  • 所在地:東京都江東区新砂一丁目 625 番目 73 番他(地番)

  • 最寄駅:東京メトロ東西線「東陽町」駅 徒歩10分

  • 竣工予定:2026年夏(予定)

  • 敷地面積:約9,800㎡

  • 延床面積:約20,000㎡

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