ウォーバーグ・ピンカスが取得したシェアハウスポートフォリオ「TOKYO β」、トーセイ傘下のTAAがアセットマネジメントを受託
トーセイ株式会社の100%子会社であるトーセイ・アセット・アドバイザーズ(TAA)は、世界的なプライベート・エクイティ投資会社ウォーバーグ・ピンカスが取得したシェアハウスポートフォリオ「TOKYO β(トーキョーベータ)」について、2024年4月1日付でアセットマネジメント業務を受託した。ウォーバーグ・ピンカスにとって本件は、日本の賃貸住宅市場における初の投資案件であり、同社のアジア戦略における重要な布石と位置付けられる。
トーキョーベータは、もともと不正融資問題により経営破綻したシェアハウス事業「かぼちゃの馬車」の物件を起点とする再生プロジェクトであり、米系投資ファンドのローンスターグループ傘下のハドソン・ジャパン株式会社が、これらの不稼働物件を一括で取得。改修・再販ではなく、長期保有による賃貸収益化を目的として事業再構築に着手した。
2022年には、福岡市を本拠とする株式会社三好不動産が運営面で参画し、物件管理・入居者募集体制の再構築を実施。この過程で誕生したのが、現行ブランド「TOKYO β」である。若年層や外国人就労者・留学生を主要ターゲットとし、敷金・礼金不要、家具家電付き、性別・国籍を問わない柔軟な契約条件を特徴とする。都市部で急増する「仮住まい」ニーズに応える新しい賃貸住宅のモデルとして注目を集めている。
現時点で同ポートフォリオは、東京都心部および近郊に所在する1,195棟、16,000室超の物件で構成されており、その大半は木造2階建ての戸建住宅をリノベーションした「シェアドアパートメント」型である。各物件には共用のキッチンや水回り設備が備わっており、東京の主要なビジネスエリアや大学へのアクセス性も高い。
TAAはこれまでに住宅・オフィス・物流施設・商業施設など多様なアセットタイプの運用実績を有し、アセットマネジメント受託残高(AUM)は2.4兆円超。今回の受託により、トーキョーベータの資産価値および運用パフォーマンスの更なる向上に貢献する構えだ。
トーセイグループでは、中期経営計画「Further Evolution 2026」において、2026年11月期までにAUM3兆円の達成を掲げており、今回の案件はその実現に向けた戦略的な一手といえる。今後も国内外の投資家ニーズに応え、DXを活用した業務効率化、新規受託の獲得を通じて、不動産ファンド・コンサルティング事業の一層の拡大を図る。