パンチ工業が東京の物流拠点をミスミと統合 ー 2024年問題に伴うコスト上昇に対応
パンチ工業は2025年5月、横浜市神奈川区に置く既存物流拠点「東京ロジスティクスセンター」を閉鎖し、2025年10月中旬を目途に川崎市川崎区東扇島の大型物流施設「ロジポート川崎ベイ」内にある「ミスミ東日本流通センター」へ統合すると発表した。 昨年10月に締結したミスミグループ本社との資本業務提携を具現化する施策で、両社の物流インフラを共同利用し「2024年問題」に伴う運送コスト上昇を抑えつつ、短納期体制を強化する狙いだ。
旧拠点は首都高速横羽線守屋町出入口から至近で、京浜港を背後に持つエリア内で日別出荷3,000ケース規模のハブを担ってきた。一方、移転先の東扇島は、羽田空港・東京港・横浜港を30分圏に収める国内有数の埠頭型物流集積地である。本施設は庫内面積約30,600坪の大型マルチテナント倉庫で、高積載床・自動搬送設備・高天井空間を備え、庫内オペレーションの省人化と保管効率を両立する仕様を採っている。
パンチ工業は移転に伴い、2026年3月期から持続的な物流コスト低減とリードタイム短縮の恩恵を見込む。ミスミ側にとっては外部荷主の取り込みによる施設稼働率向上と、規格共通化を通じた商品ラインアップ拡充が期待でき、両社は国内向け商品相互供給をすでに開始しており、提携シナジーの早期最大化を掲げる。
労働規制・環境規制という構造的ドライバーが強まる中、メーカーによる物流シェアは「例外的施策」から「競争力維持の前提インフラ」へ変化しつつある。2024年末にはセンコー、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウスの4社が「住宅物流4社協議会」を立ち上げ、全国7エリア29拠点を共同利用し、部材メーカーからの購入・輸送を共同で実施する等の施策を打つことで、2025年までにドライバー運転時間約1万7,000時間(トラック2,160台分)と輸送CO₂約500トンの削減を目指す計画を公表した。
こうした水平連携の広がりは、パンチ工業とミスミの物流統合にも通底する“キャパシティ確保と環境負荷低減の両立”という潮流を裏打ちしており、製造業全体で拠点統合・共同配送を通じたサプライチェーン最適化の動きがさらに加速するとみられる。
施設概要
移転時期:2025年10月中旬
移転元:東京ロジスティクスセンター(SGリアルティ横浜内)
移転先:ミスミ東日本流通センター(ロジポート川崎ベイ内)
移転先物件概要
竣工:2019年5月31日
規模:延床面積 約89,776坪
主用途:金型部品・精密部品の保管および全国向け出荷拠点
床荷重:1.5t/㎡(各階共通)
有効天井高:約5.5m(梁下)
ランプウェイ:両側ダブルランプで各階へ大型車両が直接乗り入れ可能
トラック待機場:120台 / 通勤用駐車場:900台