東京・赤坂で1万坪超のオフィス再開発に本格着手、鹿島建設
鹿島建設と一般財団法人農林水産奨励会は、1967年竣工の旧三会堂ビルを解体し、延床約1万530坪のハイグレードオフィスへ建替える新築工事を本格化させた。鹿島建設が企画・開発・設計・施工を一貫して担う開発・建築バリューチェーンを活用し、2027年9月の竣工を目指す。敷地は赤坂・虎ノ門エリアの再編が進む赤坂一丁目で、東京メトロ「溜池山王」を含む4駅5路線が徒歩圏という希少性がある。
本計画は約993坪の敷地全体を緑化し、2階レベルの歩行者デッキを新設して近隣街区と接続することで、既存の幹線道路で分断された歩行者動線の回復を図る。基準階約390坪の無柱空間を確保し、ホール約121坪と7室の会議室から成るカンファレンス施設、物販・飲食店舗を低層部に併設することで、ワーカーの自律的なワークプレイス構築を可能にする見立てだ。
防災面においても、非常用発電機による72時間電力供給、水利用維持、各階防災備蓄倉庫など多面的なBCP仕様を標準装備し、設計段階でZEB Ready認証を取得した。高効率空調・LED自動調光・Low-E複層ガラスなど省エネ仕様を盛り込み、鹿島が掲げる2050年カーボンニュートラル目標のショーケースと位置付ける。
農林水産奨励会にとっては老朽化資産の再生による財務・社会的リターンの最大化であり、鹿島にとっては自社開発で蓄積した設計・施工技術とリーシング力を可視化し、外部顧客向けの受注モデルへ波及させる目論見があると見られる。
赤坂では東京ワールドゲート赤坂トラストタワー、三菱地所が進める赤坂二・六丁目地区開発計画など大型再開発が相次ぎ、2025~2028年にかけて総延床15万坪を超える新規供給が予定される。需要側は外資系企業の東京回帰や分散オフィスの統合需要が続くものの、新築競合が増える中で、鹿島は「中規模ハイグレード×ESG」で差別化し、基準階を複数社分割賃貸する“マルチテナント・プレミアム”モデルを採択する見込みだ。
物件概要
物件名称:三会堂ビル(新築工事)
事業主:鹿島建設株式会社/一般財団法人農林水産奨励会
所在地:東京都港区赤坂1-9-13
最寄駅:東京メトロ 溜池山王駅 徒歩3分/虎ノ門駅 徒歩6分
竣工年月:2027年9月(予定)
規模:地上19階・地下2階
面積:延床面積 約10,530坪、基準階 約390坪
用途:事務所、カンファレンス施設、店舗、飲食店