厚木で新規物流施設の開発に着手、大林組
大林組は2025年5月、神奈川県厚木市下川入において延床約1万8,700坪のマルチテナント型物流施設「(仮称)OAK LOGISTICS CENTER厚木」の建設を開始した。自社開発シリーズとしては13件目に当たり、竣工は2026年12月を予定する。
本物件は圏央道「相模原愛川」ICから約3.8km、「圏央厚木」ICから約5.3kmに位置し、東名高速・中央道経由で関東全域から西日本までをカバーする広域配送拠点を想定する。最小区画約1,340坪から最大7テナントまで分割可能とし、総貸床面積は約1万6,500坪。1階に床荷重3.0t/㎡・低床バース44台、2階に高床バース40台を配置するスロープ方式を採用した。
同社の「OAK」シリーズは北海道2棟(発寒・恵庭、合計約3万6,000坪)が稼働済みで、厚木を含む開発中・計画段階の6物件(名古屋、東松山、岩槻、川越、福岡箱崎)を合わせると約6万9,000坪がパイプラインにある。2027年までの総延床は約10万6,000坪に拡大し、ゼネコンが手掛ける自社物流開発としては中堅規模ながら、首都圏・北海道・九州を組み合わせた地域分散型ポートフォリオを形成する見通しである。
大林組は中期経営計画2022で「付加価値の高い物流施設」を成長投資分野に位置付け、開発事業に5年間で3,000億円を振り向ける方針を示している。自社で設計・施工を一貫管理できるため原価コントロールに強みを持ち、竣工後は3〜5年保有して私募ファンドやREITへの売却でキャピタルゲインを確保する三段階モデルを採用する。シリーズ標準でAMR動線に配慮した柱スパンやIoT対応インフラを備え、2022年設立のグループ会社PLiBOTが提供する庫内オペレーションDXと合わせて、荷主企業の省人化・脱炭素ニーズを取り込む戦略である。
同社が手掛ける物流施設は、建設費高騰下でのコスト優位と分割対応力を背景に、食品・日用品3PLのほか自動車部品系荷主からの引き合いが強い。ESG対応と自動化プレセットを両立する仕様は、REITの長期保有資産としても評価されやすく、投資家には準コア型の新規供給源、荷主には「ESG+省人化」を同時解決できる拠点として存在感を高めている。
物件概要
物件名称:(仮称)OAK LOGISTICS CENTER厚木
事業主:株式会社大林組
所在地:神奈川県厚木市下川入123番1
最寄IC:圏央道「相模原愛川」IC 約3.8km/「圏央厚木」IC 約5.3km
竣工年月:2026年12月(予定)
規模:S造 地上4階・スロープ方式
トラックバース:1階低床式44台、2階高床式40台
面積:敷地面積 約8,300坪、延床面積 約1万8,700坪