導入事例

【DX対談】エムエル・エステート、estie 環境変化に柔軟に対応するエムエル・エステート福田氏に聞くestie活用事例

estieは、不動産デベロッパーや金融機関など不動産業界に関わる企業のDXや不動産データ、AI活用に関する課題を解決しています。本記事は、みずほリース株式会社からエムエル・エステート株式会社 営業第二部 部長として出向されている福田氏をお招きし、 estieのサービスを導入するに至った経緯や活用事例を中心にお伺いし、業界全体におけるDX知見の共有を目指すものです。

これまでの経歴

曽部: 福田様のご経歴について教えてください。

福田: 興銀リース時代に入社し、営業第一部で大企業向けリース営業を担当していました。2005年にはファイナンス営業部の立ち上げに携わり、シンジケートローン業務から始め、その後、不動産ノンリコースローンに取り組み、2年後には不動産業務を拡大していくため、当時のみずほ証券に出向しアレンジメント業務を学びました。今までと逆の立場で資金調達や不動産案件のソーシングといった業務を担当することで両面が見られるようになり、良い経験をさせていただきました。

しかし、リーマンショックによりアレンジメント業務が減少したことで、ファイナンス営業部に戻り、債権回収の日々が始まったときは苦労しました。そこで学んだこととして、不動産はやはり市況商品なのでいつかは元通りになるということです。価値が下がっていくとエクイティの次にメザニンローンが影響を受けることになるのですが、そのなかで逆転の発想で不動産を取得するのがいいのではないか、という考えに至りました。そんな中、とある企業からご相談いただいてブリッジビジネスに初めて取り組みました。そこからビジネスモデルとしての可能性を感じて徐々に拡大していき、発足当初の数名から現在は数十名を抱える大きな組織となりました。その後、不動産営業部、イノベーション共創部を経て、現在はエムエル・エステートに出向していて、ブリッジビジネスや自己投資となる投資開発ビジネスへの取り組みをベースとしながら、更に新しいビジネスモデルを作ろうと取り組んでいます。

【DX対談】エムエル・エステート、estie 環境変化に柔軟に対応するエムエル・エステート福田氏に聞くestie活用事例②

エムエル・エステート 営業第二部 部長 福田氏

イノベーション共創部への参加

曽部: イノベーション共創部での活動について教えてください。

福田: 2005年からずっとリース以外のことをしていましたが、新規ビジネス開発体制を強化するために設立されたイノベーション共創部に参加することになりました。

曽部: 兼務されていたのですか?

福田: 当時は不動産営業第一部から異動し、イノベーション共創部専属になりました。既存のアセットにかかわらず何でもいいから挑戦してみようという方針だったので、不動産に限らず、農業をはじめ様々な新規事業を学びながらチャレンジしていました。2年目からは不動産営業第一部と兼務で続けてさせてもらっていました。

曽部: 全く新しい事業に取り組むのは、新たに学ぶことも多く、なかなか難しいですよね。

福田: 確かに学ぶのは楽しいのですが、それをどうビジネスにするかが難しかったです。ただ、不動産業界というイノベーティブな動きが多くはない業界で、イノベーションを起こしているスタートアップにたくさん出会えたことは意義深かったですね。そんな中みずほ銀行からestieについて紹介してもらい、個人的に非常に興味深いなと思い、それからestieとのお付き合いが始まりました。

曽部: 現在、エムエル・エステート様ではどのような取り組みがありますでしょうか?例えば、DXについてみずほリースグループでのものと、エムエル・エステート内でそれぞれどんなことに取り組まれていますか?

福田: みずほリースグループでのものとしては、みずほリースデジタル推進部が中心となりAI導入など率先して取り組んでいます。またエムエル・エステートではSaaSなどの導入を進めており、トップダウンよりもボトムアップの方が実際に活用されると思うので、現場で出てきたニーズを積み上げて導入する事例が見られます。

導入の背景

曽部: estieのサービスでは何を使われていますか?

福田: 現在は「estie マーケット調査」、「estie 物流リサーチ」、「estie 案件管理」、未公表プロダクトの4つです。

例えば、日々使っているもので言うと「estie 案件管理」で取引の案件登録をしています。登録する手間も少ないので導入を決めました。エムエル・エステートでは、取得業務を行う上で案件数が多く、調査業務にも時間がかかるため、どうしても残業が多くなりがちです。新たなサービスを導入することで、なるべく業務負荷を軽減してワークライフバランスを改善したいという思いもありました。

曽部: 業務効率化の環境を整えて売上を伸ばすために何を使うべきか、真剣に考えて取り組まれているのですね。

福田: 現場の担当から新しいツールを使ってみたいと言う声が上がってくると一番良いと思っています。その一方で、みんなが目標達成に向けて動いている中で、業務効率を高める環境を整えるのが私の大切な仕事だと考えています。サービスを使うのが当たり前になるまでが難しいところなので、御社に伴走していただけるのがとてもありがたいです。

曽部: 現場の方に浸透させるのに効果的だった施策はありますか?

福田: 御社に開催していただいた、使い方の勉強会ですね。こんな新機能が出ましたというメールはいただくのですが、勉強会で実際にその新機能の説明を受けて使ってみると、こんな便利な機能があるのかという声も多く聞かれるので、今後も開催していただきたいですね。

【DX対談】エムエル・エステート、estie 環境変化に柔軟に対応するエムエル・エステート福田氏に聞くestie活用事例③

estie マネージング・ディレクター 金融担当 曽部

estieの活用シーンと効果

曽部: 実際の業務ではどのように活用されていますか?

福田: 不動産は個別性が高いため、例えばオフィスの取得に関しては、競合類似物件の比較をすぐできるのが非常に便利で活用している人も増えています。出力したComps資料(競合類似物件の比較資料)をもとに、それぞれの不動産の個別性に合わせ「この物件は周辺物件と比べて現行賃料は安いが、築年が浅いから今後賃料の上昇が見込めるのでは?」といった分析を自分たちで加えています。

曽部: そこが腕の見せ所でもありますね。

福田: そうですね。案件の審査をする際、ただ資料を添付するだけでは不十分なので、担当として競合物件との優劣を加味した上で、自分なりに賃料水準の見立てを示すようにしています。

曽部: 分析機能もご活用いただいていますか?

福田: 結構使いますね。対象エリアにおける今後の需給見通しや過去の空室率の推移を組み合わせて表としてソートしたり、賃料推移を入れたりすることもあります。

曽部: 不動産ファイナンスの方々はどのように活用されていますか?

福田: 不動産ファイナンスはみずほリース本体で取り扱っておりますので、みずほリースの担当者の話では、基本は同じですが、ファイナンスで一番大事なところは利払いがきちんとなされるかなので、空室率が少ない、安定した需要があるということを重視しているようです。やることはあまり変わらないですが、目線の違いはあり、取得の場合はアップサイドが取れるかを検証しており、ファイナンスの場合は逆に元本が返ってくるかというダウンサイド含めて確認しているとのことです。

曽部: その他にも、出口戦略の蓋然性の検証に、弊社のサービスを使っていただいているということですよね。estieの導入によって情報収集が簡単になったことで、検討の精度が少しずつ高くなったというところでしょうか。

福田: そうですね。やり方やフォーマットなどをある程度の型にできればもう少し楽になるのではないかと考えていますが、それは一歩ずつですね。

曽部: 色々とご活用いただいているようでありがたいです。エムエル・エステートの人員は増えているのですか?

福田: 外部からの採用とみずほリースからの出向による増加どちらもあります。特に後者では公募制度を使って出向してきた社員が多かったです。まだまだ取り組みたいことがあるので、御社のようなサービスを活用してDXも進んでいるということをアピールし、希望する人がさらに増えてくれたら嬉しいですね。

曽部: サービスを使うことで不動産業務の経験やバックグラウンドがなくても挑戦できるということもアピールになりますね。現状でも外部からの採用も公募制度での応募もあるということでしたので、こうした取り組みの成果が徐々に御社グループ内のエンゲージメントの向上に貢献できると嬉しいです。

今後取り組んでいきたいこと

曽部: 今後弊社のサービスを活用して取り組んでいきたいことはありますか?

福田: やはり「estie 案件管理」へ入力することを徹底したいですね。ありがたいことに弊社に対してたくさんの投資・融資のご相談をいただくので生のデータを得られるのですが、検討して見送られた情報は捨てられてしまっているのが現状です。

「estie 案件管理」を活用すれば生のデータを蓄積することができます。加えて、今は案件データがフォルダーの中に埋まっているので検索してもヒットしない情報が多いですが、「estie 案件管理」なら地図に情報を埋め込めるので検討の速さだけでなく精度も高まるのではないかなと思います。

曽部: それが全て実現されたら、どのように業務が変わると思いますか?

福田: 正確性が上がると思います。情報量も多くなるので、メッシュが細かくなると思います。

曽部: メッシュが細かくなって正確性が高くなれば、社内での案件検討や社外への提案活動もスムーズに通りやすくなるということでしょうか?

福田: そうですね。もう一歩進んで不動産を売りましょうというような仕掛け提案までできれば、さらに業務の幅が広がることも期待できると思います。

最後に

曽部: 最後に社内の方に向けてメッセージがあればお願いします。

福田: エムエル・エステートではなるべく担当がやりやすいように、やりたいことをやれるようにという環境があるので、これからもどんどん声を上げてほしいですね。そして、課題を感じていることがあれば、一緒に対応を考えていきたいと思います。

曽部: お話を伺っていてボトムアップの取り組みも非常に多いのだなと感じた次第です。みずほリースグループ不動産本部長の石山常務やエムエル・エステート松井社長をはじめ、マネジメントの方も若手層に耳を傾けて新しいアイデアにオープンな方が多いなという印象を持っております。

福田: そうですね。弊社及びみずほリースグループ不動産本部の思いに共鳴して、社内でボトムアップな動きは多いと思います。「自分で変えていかないと!」といった当事者意識を持って進められる人が更に増えてくれたら嬉しいです。ぜひ御社のような勢いのある会社さんと接することで、もう一歩踏み出してみてほしいですね。