【DX対談】野村不動産ソリューションズ・estie データ活用で案件創出 オフィス売買取引を最適化

本レポートは、住宅新報 2024年2月13日号より転載許可をいただき掲載しております。 (URL: https://www.jutaku-s.com/newsp/id/58226)
野村不動産ソリューションズ 法人営業本部営業企画部 営業推進課 課長 早川晃史氏(写真左)
estie 執行役員 エンタープライズリューション事業本部 事業責任者 齋藤文也(写真右)
野村不動産ソリューションズ(東京都新宿区)は〝選ばれ続けるナンバーワンブランド〟を企業理念に、社内外の機能を活用して様々なニーズに応え、顧客満足を充足する〝ベストソリューション〟を提供する。DXを推進する中、選ばれ続ける企業としての更なる顧客満足の向上の一環で、estie(エスティ、東京都港区)提供の最新テクノロジーサービス『esite 物件売買(現: estie 所有者リサーチ)』(以下・『物件売買』)を導入した。目指すDXの姿について、両社の担当者が対談した。 (文中敬称略)
――DXを推進している。
早川 「既存のシステムやツールでは〝かゆいところに手が届かない〟課題を感じていた。『物件売買』を試験活用したところ、賃料データなど〝オフィス物件〟の情報を網羅し、すぐに使いこなせる直感的な操作性も、他社ツールにはない特徴と感じた。機能改善の要望に対して、迅速に具現化するシステム改修のスピード感も非常に速い」
――オフィス物件を網羅。
齋藤 「当社は、オフィス賃貸業向け不動産データ基盤サービス『esite マーケット調査』(以下・マーケット調査)を主要サービスで提供している。搭載したオフィスビルデータは大手ビルオーナー企業やJ―REITの不動産投資法人などで活用されている。従来の賃貸領域に加え、『物件売買』の提供で売買領域の支援も始めた」
――売買領域でも支援。
早川 「住宅領域に比べてオフィス領域は、賃料や稼働状況の情報収集が難しい実態がある。従来は市況レポートや人脈などを基に断片的な情報データを属人的に収集していた。それでは、タイムリーで、メッシュの狭い圏域の精緻なデータが得られない」
――タイムリーな情報を。
齋藤 「J―REITを除き、オフィス関連の横断的で統合的なデータベースが従来はなかった。登記簿で個々の所有者を特定しても、データとして統合されていない。所有者動向や売却データを分析できなかった。分析活用できるよう『物件売買』は、『マーケット調査』の賃料傾向などのオフィス動向情報に加え、所有者情報も網羅している」
仮説を立てる
――分析で使える。
早川 「『物件売買』を用いれば募集賃料や利回り、稼働率などが精緻(せいち)に判明する。例えば、稼働率の低いオフィスを抽出し、高い精度で売却可能性の〝仮説〟を立てられる。確度高く新規顧客開拓できる〝新しい切り口〟のアプローチは、これまであまりできていなかった」
――新たな切り口として。
齋藤 「『物件売買』のコンセプトは不動産取引を活性化する〝案件創出〟にある。中長期的な売却の可能性の高さを稼働率の動向から絞り込めるのは活用方法の1つ。他社にない稀有(けう)なデータベースを強みにしている」
――案件を創出できる。
早川 「ベテラン営業担当者は培った経験や知識と合わせ、最新データの客観性も帯同すれば、営業提案力が強化される。習熟度が比較的低い若手や中途採用者も、ITの後押しで説得力が増し、一定程度以上のスキルを持てる」
収益を最大化する
――営業強化に。
齋藤 「導入企業とは定期的な接点を持って、各社と向き合っている。寄せられる声を可能な限り反映し、プロダクトを成長させている。最近は、物流倉庫やホテルなど提供データのアセット領域の拡大を求められている。その広さと深さも更に追求したい」
――データ領域を拡大。
早川 「一方で、当社は〝チームで動く〟の観点から組織力を大切にする風土がある。トップセールスの知見を蓄積して作成した独自の業務マニュアルは、再現性のある優れたノウハウとして、ロールプレイングで営業担当者の〝実践力〟を養っている」
成功体験を
――チームで動くと。
齋藤 「不動産業界はデータ活用の〝成功体験〟が少なく、データの活用でどのようにDXに踏み出せばよいのかを迷われている。当社は専任〝アカウントマネージャー〟がチーム体制で支援する。一般的な業務の効率化でなく、賃貸・売買領域データの提供から更に踏み込んだ業務支援ソリューションを通じて〝収益の最大化〟に貢献したい」
――業務支援でも。
早川 「自身は野村不動産からの出向で現所属在籍中に実現させたい展望がある。社内の蓄積データと社外情報をITで最適につなぎ、あらゆるデータ情報の収集で省力化と迅速化を図る。顧客接点を増やし、顧客体験価値を一層向上させる道筋を示したい」