導入事例

膨大な情報を、迅速な意思決定につなげる——不動産ファンド運用の現場を支える不動産データ基盤とは

不動産ファンド運用における情報収集の工数や意思決定の迅速化に課題を抱えていた株式会社KJRM ホールディングス様に、estie導入の背景や活用効果についてお話を伺いました。物件取得や運用判断の精度向上、DX推進への展望まで、リアルな声をご紹介します。

estie サービスのご導入前に抱えていた課題

不動産ファンドの運用会社として、不動産の取得・運用において多角的かつ精緻なマーケット分析が求められる中、情報の収集・整理・分析にかかる工数が大きな課題となっていました。

取得検討段階では、各物件の収益性や市場優位性を評価するために、エリアごとの賃料水準や需給動向、競合物件の稼働状況など多岐にわたるデータが必要ですが、これらを複数の公開されたソース・外部ベンダーへのヒアリングによる非公開情報の収集に3週間程度かかる等、個別に収集・加工する作業は非常に煩雑で、タイムリーな意思決定を妨げていました。

また、運用段階においても、ポートフォリオ全体の競争力維持・向上のため、各資産のリーシング戦略やリニューアル判断における判断材料として、最新かつ信頼性のある市況データが不可欠でしたが、社内で網羅的に整備するには限界がありました。

結果として、意思決定の迅速化・高度化に向けた「情報基盤」の整備が喫緊の課題となっており、それを解消する手段としてestieサービスの導入を検討するに至りました。

ご導入を決めた理由(オフィス/物流/レジ/案件管理)

当社では、不動産の取得・運用判断における精度とスピードの両立が求められており、その実現には客観性のあるマーケットデータの活用が不可欠と考えておりました。

従来は仲介会社からのヒアリングやマーケットレポートなどを基に分析を行っていましたが、データの鮮度や網羅性、加工の手間といった点に課題を感じていたため、より効率的かつ体系的にマーケットを捉えられるツールを探しておりました。

そのような中で、estieサービスのデータベースは、物件単位での豊富な情報量に加え、地図ベースでの視覚的な比較分析が可能である点に魅力を感じました。特に、外部環境の変化に応じた迅速な判断が求められる不動産ファンド運用の現場において、信頼できる情報基盤として大きな可能性を感じ、複数のベンダーを駆使せずとも同一のプラットフォームで纏められた本データベースの導入を決断いたしました。

ご導入後の効果や成果

estieの導入により、物件取得時に必要な周辺賃料や空室率、物件スペックなどの指標を、ワンストップで取得・可視化できるようになり、市場調査にかかる工数が大幅に削減されました。特に、アウトプット機能によって、これらのデータをそのまま社内検討資料に活用することができ、会議資料の作成も効率化されています。従来は複数の情報ソースを突き合わせて加工・整理する必要がありましたが、現在では分析の再現性や精度も向上し、定量的な裏付けをもとにした意思決定が可能になっています。

また、物件運用のフェーズでも、周辺競合との賃料差異やリーシング方針の検討において、定量的な裏付けとしてestieサービスのデータを活用する場面が増えており、担当者間での共通認識の形成にも寄与しています。さらに、定期的な市況モニタリングにも役立っており、マーケット変動に対する感度を高めることで、より戦略的なポートフォリオ運用の一助となっています。

貴社における、今後のDXの取り組みや展望もしくは、今後estieに期待すること

不動産投資運用業務においては、今後ますます定量的なデータに基づく迅速かつ精緻な判断が求められていくと考えており、当社としても業務の高度化と再現性のある分析体制の構築に向けて、DXをさらに推進していく方針です。特に、取得から運用・売却に至るまでの一連のプロセスにおいて、データドリブンな意思決定を実現するための情報基盤整備が重要と認識しています。

estieサービスには今後、募集賃料だけではなく、推定賃料のさらなる高度化、特に成約賃料やフリーレント条件の予測精度向上に期待しています。これにより、より実務に即した収支見通しの作成が可能となり、取得検討やテナント交渉においても一層活用できると考えています。さらに、現在のオフィス、レジ、物流市場に関する機能にとどまらず、商業施設などの他アセットタイプへの対応や、賃料改定・テナント動向の予測モデルといった、より先進的な分析ツールの提供も期待しております。