内装工事に関する勘定科目4つ!内装工事で建物付属設備に仕訳できるものも解説

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. 意外と複雑な内装工事の会計処理
  2. 内装工事に関する勘定科目4つ
  3. 内装工事で建物付属設備に仕訳できるもの4つ
  4. 内装工事の耐用年数の求め方
  5. 内装工事に関する勘定科目について理解しよう

意外と複雑な内装工事の会計処理

オフィスや賃貸物件の内装工事の会計処理は、工事内容や工事金額によっては、会計処理が複雑になる場合があります。


工事金額が10万円以下の少額な部分については、経費勘定で処理することもありますので、工事金額総額ではなく、詳細な請求書や領収書を入手することをおすすめします。


例えば、内装工事の内容によっては、会計処理が異なることもあります。不動産やワンルームマンションなどの賃借物件の原状回復工事は、一部屋あたりの価格が固定されていることがあります。


美容室や店舗内装工事といった、テナントや店舗内の内装工事は、工事内容や工事期間によっては、金額が大きく異なることがあります。


開店に伴う内装工事の場合、開業費勘定にまとめることもありますが、閉店に伴う内装工事の場合、現状引き渡しやスケルトン渡しによっては、金額に大きな開きが生じますので、会計処理が複雑になることもあります。

減価償却とは?

減価償却とは固定資産の耐用年数に従い、費用計上していくことです。店舗の内装工事を行い、工事代金を500万円支払う場合、工事代金を固定資産勘定で計上し、耐用年数は15年の場合、500万円を15年かけて、経費計上していくことをいいます。


固定資産の特性上、長期間に渡り資産価値が生じますが、長期間に伴う経年劣化による資産価値の下落の見込み額を減価償却費として経費計上するため、お金の支払いが生じないことがポイントです。

内装工事に関する勘定科目4つ

内装工事に関する勘定科目は、固定資産勘定で処理することが一般的です。特に建物、建物付属設備、諸経費、備品の4つの勘定科目が多い傾向にあります。


工事内容や工事金額によって、勘定科目を振り分けることになりますが、具体的に建物、建物付属設備、諸経費、備品の4つの勘定科目について説明していきます。

内装工事に関する勘定科目1:建物

建物は新築の事務所、店舗や倉庫などの不動産物件を建てる工事金額を建物勘定で計上します。完成後、建築に要した総額を建物勘定で会計処理することもあります。


建築途中の場合は、建物勘定ではなく、建設仮勘定で計上することもあります。建物勘定は、新築で建てる不動産に限られるため、頻繁に使用する勘定科目ではないことがポイントです。

内装工事に関する勘定科目2:建物付属設備

建物付属設備は設備工事に関する項目が該当します。給排水設備、電気やガスといった水光熱設備など、建物内の設備工事に関するものは、建物付属設備として計上することになります。


設備工事の大半は、故障した設備の修繕工事や、新品購入するための取替工事などの工事金額は、まとまった金額を要しますので、見積書を事前に依頼することで工事内容や工事金額を把握するメリットがあります。

内装工事に関する勘定科目3:諸経費

工事に関する立替費用や官公庁手続き、人件費など、工事に間接的に要したものを、諸経費とすることがあります。また、金額の端数調整の意味合いで諸経費の金額を調整することがあります。


諸経費の金額は少額であることが多く、内容については明示されていないことも多いため、詳細については確認する必要があります。

内装工事に関する勘定科目4:備品

備品は、建物内に設置する事務用の机や椅子、クローゼット、電話、複合機など、店舗やオフィス内に業務として必要なもの、消耗品関係で20万円以上ものが該当します。


10万円以上20万円未満のものについては、備品ではなく一括償却資産勘定で計上することになります。内容を細分化して少額のものを経費計上することもありますが、備品購入に要したものすべてを備品勘定で計上することもあります。

内装工事で建物付属設備に仕訳できるもの4つ

内装工事で建物付属設備に仕訳できるものとして、電気設備、冷暖房設備、ガス設備、自動開閉設備の仕訳処理について触れていきます。


設備工事であることが共通しており、建物付属設備勘定は設備工事を要した金額が該当するためです。各設備についてどういった工事なのかを知っておくことも、仕訳処理を行う上で、ポイントとなります。

建物付属設備に仕訳できるもの1:電気設備

電気設備は、減価償却資産や耐用年数の観点から、蓄電池電源設備とその他のものに区分されます。蓄電池電源設備とは、停電時に照明として使用する電源を蓄電池に充電する設備をいい、これに該当しないものは、すべてその他のものとなります。


その他には、電気を使用するための配線配電工事、照明を使用するための設置工事などが該当します。金額は20万円以上のものは、建物付属設備として計上することになります。

建物付属設備に仕訳できるもの2:冷暖房設備

冷暖房設備は、居酒屋や美容室に設置しているエアコンが該当し、業務用の冷暖房設備は設備そのものが大きく、かつ、機能性も冷房機能と暖房機能が正常に動く必要があります。


仕訳処理のポイントは、エアコンの取付工事や取替工事であること、工事金額が20万円以上である場合は、建物付属設備として計上することになります。

建物付属設備に仕訳できるもの3:ガス設備

ガス設備は、飲食店のキッチンエリアで必要な工事で、業務用に特化したガス設備の設置工、ガス配線、元栓の工事などが該当します。まとめて設備工事として20万円以上になる場合は、建物付属設備として計上することになります。

建物付属設備に仕訳できるもの4:自動開閉設備

自動開閉設備は、テナントビルやコンビニエンスストアに設置している自動ドアが該当します。自動ドアを設置するために要した金額で、20万円以上のものは建物付属設備として計上することになります。

内装工事の耐用年数の求め方

耐用年数は、固定資産の種類、細目ごとに細かく年数が決められています。建物の耐用年数、建物付属設備の耐用年数、勘定科目だけで一概に耐用年数が決められているわけではないため、種類や細目を確認してから耐用年数を確認することが求められます。

建物の場合

建物の耐用年数は幅広く、10年から最長50年に渡ります。簡単に解釈すると耐用年数は固定資産を使用できる期間であり、木造建物の平均耐用年数は20年、マンションなどのRC造りの平均耐用年数は40年であることから、使用できる期間を参考にすることができます。


木造と鉄筋造では経年劣化にも年数差が大きくあり、耐用度を比較すると木造の方が短く、鉄筋造りの方が長いため、耐用年数の長さに反映されていることもポイントです。

建物付属設備の場合

建物付属設備の耐用年数は、15年と覚えておくことをおすすめします。これは、設備工事の耐用年数が15年であることから、設備関係の工事は建物付属設備で資産計上して、減価償却費の耐用年数は15年で、減価償却計上することになります。

内装工事に関する勘定科目について理解しよう

内装工事に関する勘定科目は、工事内容を基準にして選択することが一般的です。多くは、建物付属設備として計上する傾向が多く、10万円以下の工事金額は経費計上することもあれば、他の工事に含めて固定資産勘定で計上することもあります。


基本的な考え方として、工事内容と工事金額から固定資産の各勘定科目を選択して資産計上することになります。


請求書や領収書だけを確認するだけではなく、工事内訳書や工事契約書など工事に関する詳細な資料も工事業者から取り寄せておくことで、スムーズに仕訳処理できることに繋がります。

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監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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