オフィス移転の流れ【完全版】無料マニュアルが手に入る!

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. はじめに
  2. オフィス移転の大まかな流れ
  3. スケジュール設定は前広に!
  4. オフィス移転における大まかなスケジュール感
  5. とにかく煩雑なオフィス移転作業
  6. 終わりに

はじめに

昨今の働き方改革などの社会の流れによって、日本の執務環境はソフト面もハード面も大きく変わり始めています。業務の多くがプログラムに取って代わられ、社内システムの効率化や社内人員を出来るだけ絞った少数精鋭の社内体制に舵を切ることは昨今の企業のトレンドの一つでもあります。

一方でそういったプログラムをリリースしているITベンチャーはサービスの需給も増え、多くの企業が目覚しい成長を遂げたことで人員も増員傾向にあり、企業としての規模を拡大しています。

そういった企業の執務環境の変更への対応策として大きなインパクトを発揮するのがオフィスの移転です。

成熟産業を生業としているような企業は、業務の効率化を目指し、最新のスペックや、より従業員の業務効率を上げることのできる、コストメリットの大きい新オフィスへの移転が必要となってきます。また、ベンチャー企業は増えていく従業員の受け皿や、より良い立地に新しいオフィスを構えることで企業としての業界内でのプレゼンスを高めることができるオフィスの移転はメリットが多いように感じますね。

ただ現実問題として、オフィスの移転業務というものは、不動産業などに従事していない限り多くの企業が生業とはしていない範囲の業務なので、「やらなきゃいけないんだけれど、どんなことをすればいいのかわからない」というのが実態だと思われます。

そこで本記事を皮切りに、今回はオフィスの移転について大まかな流れから各フェーズの具体的業務の洗い出し、コスト感やスケジュール、各種申請になどについて特に繁雑な部分については掘り下げる形で複数回にわたって解説していきます。

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オフィス移転の大まかな流れ

オフィス移転を行う際の大きな流れについて確認していきましょう。

  • ・ オフィス移転の目的を設定

  • ・ 移転計画の立案

  • ・ 現状オフィスの解約

  • ・ 移転先オフィスの決定

  • ・ 原状回復

  • ・ 内装・レイアウト

  • ・ 引越し業者の選定

  • ・ IT機器設定

  • ・ 家具・什器の決定

  • ・ 各種書類手続き

ここからは、それぞれをもう少し具体的に見ていきましょう。

スケジュール設定は前広に!

オフィスを移転するには、非常に多くの検討事項、確認事項、申請等が発生してきます。まずはオフィス移転の検討の開始から実際に新オフィスへの引越しを終えるまでに、どの程度の時間が必要なのかを確認することで、スムーズにオフィス移転を行うことができます。

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そもそもなぜオフィスを移転するのか?を考える

  • ・ 人員拡大

  • ・ 拠点統合

  • ・ コスト削減

  • ・ 立地改善

オフィス移転のきっかけは様々な理由が考えられます。オフィスの移転はただ単純に会社の所在地を新たな場所に移転させるだけではなく、執務環境を再構築したり、オフィス内のファシリティを刷新することによって、旧オフィスが抱えていた課題を解決したり、従業員の業務能率をアップさせることのできる格好のチャンスでもあります。

オフィスを移転するにあたり最適な事務所規模や内装デザイン、現時点でのオフィス移転は費用対効果が十分なものかなどを考慮するにあたり、現状のオフィスの問題点の洗い出しや、新オフィスに移動することで改善が期待できそうなことをしっかりと理解することは非常に重要なプロセスであると言えます。

成熟産業を生業とする企業ではオフィスの移転により固定費の削減、事業効率の向上、ワークスタイル及び時代の流れへの対応、周辺環境の変化への対応が可能になるといったメリットが考えられます。 一方で、成長産業にある企業の新拠点への移動では事業の拡大、企業イメージの向上、経営戦略の拠点作り、単純な人員増員によるオフィスの物理的キャパシティの拡大などが新拠点への移転によるメリットとしてあげられます。

オフィス移転における大まかなスケジュール感

移転の決定から引越しの完了まで!

オフィスの移転は事前準備、及び現状のオフィスからの待機交渉から実際の新オフィスへの引越し業務を考慮すると大まかに6ヶ月〜1年程度の時間を要すると言われています。

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● 〜6ヶ月前

実際にオフィスを移転し業務をこれまで通りに業務を行うまでには、おおよそ半年前に前述のオフィス移転よるメリットの整理、具体的な移転計画の立案、現状のオフィスとの解約、具体的な移転先の決定、そして現状オフィスの引き払いに伴う現状回復条件のすり合わせを行い、引越し作業への下地づくりをおこないます。

(オフィス原状回復についてはこちらの記事もご参照ください。)

オフィスの原状回復【注意点も紹介】期間やコストはいくらかかる?

オフィスの原状回復の範囲は住宅の賃貸契約の場合とは異なります。また、オフィスの原状回復には大きな費用が必要となります。そのため、不要な工事まで行ったり、後にトラブルが起こったりなどしないように、オフィスの原状回復についてしっかりと把握しておきましょう。

移転先の決定については立地や最寄駅からの距離感はもちろん、主要取引先へのアクセスや周辺施設等のエリア環境(銀行や郵便局等の機能へのアクセス)等が顧客・従業員の満足度へ直結するだけではなく、入居に伴うコストや移転先ビルのスペック、入居に伴うコスト(賃料、共益費等)などインターナルな要因も移転計画の効率性に大きな影響を及ぼすことになります。

既存のオフィスを解約するに当たっても様々な検討事項が発生します。オフィスにおいては一般的に現状物件に対する退去予告は6ヶ月前に行います。待機予告のタイミングを見誤ると移転スケジュールの管理がうまく行かず、旧オフィスと移転先オフィスの賃料が重複して発生するという自体が生じる場合がありますので、現状のオフィスを契約した際の契約書の規約条項を確認するのはもちろんのこと、新オフィスへの移転の距離感や企業規模によっても実際の引越し作業に要する所要時間は異なってきますので、余裕を持った待機スケジュールを組むことが重要です。

特に賃貸オフィスの契約形態には主に普通借家契約と定期借家契約が存在しますが、定期借家契約は法規上契約期間内の解約には一定程度のハードルが存在したり、一方で借主の立場が強い普通借家契約では一定期間の待機予告期間さえ守っていれば借主都合での解約が認められるケースが多数であることなど、既存契約の内容をよく確認・理解しておくことはオフィス移転のスケジュールに多大な影響を及ぼすことになりますので細心の注意を払って読み込んでおきましょう。契約書内の特約事項も要確認です。

● 6ヶ月前〜3ヶ月前

実際に新拠点への移転スケジュールを組んだ後、実際の引越し作業のおおよそ半年前程度の時期には具体的な移転先物件の検討・決定や、新オフィスのコンセプト作り、内装、レイアウトの協議を開始・決定していく必要があります。レイアウトや内装のイメージが固まったら、引越し業者の具体的な選定を行ないましょう。

オフィス移転先の決定にあたり、ほぼ100%の当事者が最優先事項の一つにあげるであろう項目が移転先物件のコストパフォーマンス=賃料でしょう。 確かに都心五区と呼ばれるような千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区のようなオフィス一等地や、駅直結物件のように交通のアクセスが良好な物件などは、賃料単価が高額なケースが多いですが、立地的要因はあくまでも一要因であり、そのほかにも賃料基準に影響を与える要素は数多くあります。

例えば周辺にコンビニ、商業施設などの利便施設の有無や、ビル自体に備え付けの冷暖房空調や共用空間の充実などのハードスペック、ビルが要する駐車スペースの大きさ、管理人が常駐か非常駐かや施錠がオートロックか鍵かなどのセキュリティ面なども、一見目につきづらいですが物件の賃料設定には大きく影響してきます。 先述のような執務環境などのソフト面ももちろんですが、新たな拠点賭する物件のハード的な面についても、物件選定の時点で最低限どの程度のスペックが望ましいのかという点については希望をまとめておくにこしたことはありません。

移転先物件に求めるスペックや環境が固まり、具体的な物件のピックアップが終了したら、オフィスの内装、レイアウトについての議論に移りましょう。 ニューオフィス推進委員会の統計によれば、一般的に良好な執務スペースの確保には1人あたりおおよそ3坪程度(3坪÷0.3025=約10㎡)を確保することが良いとされていますので、そういった基準を活用しながら新オフィスのレイアウト決めの基盤づくりを行ないましょう。

そのほかにも目的に応じて、各個人の業務スペースや会議室環境、休憩スペース等の必要用とを盛り込んで行き、それに伴う空調設備の増設などの設備をと唱えるための追加工事のコストを確定していきます。 そうして策定したおおよそのレイアウトを基準として、新オフィスに必要なインテリア・家具等を割り出していきます。

旧オフィスでの資産区分上入居者側に割り当てられるオフィス家具・インテリアについてはそのまま持ち出すことも可能なので、何が新たに必要なのか、なにを旧オフィスから持ち出さないといけないのかを具体的にリストアップすることで、コストの圧縮にもつながります。

おおかたのオフィスのレイアウトと内装イメージがが決まり、持ち出す荷物が固まったら、いよいよ引越し業者の選定に移りましょう。引越し業者の選定にあたっては複数業者に無料で見積もりを依頼し、サービス内容やコストを比較した上で特定業者への発注を行えば、無駄な出費を抑えることが可能です。 より詳細な見積もりを算出してもらうためにも、搬入出時の書く荷物の取り扱いや、引越しにかかるスケジュール感などをできる限り具体的にしておくことで、実際に発注した際の実費とのギャップを最小限抑えるようにしましょう。

引っ越し

●3ヶ月〜1ヶ月前

レイアウトの決定、引越し業者の選定が済んだら、いよいよ実務的な引越し作業に移っていきます。 旧オフィスからの退出作業と同時に、移転先の環境も整える必要があるため、引越しが差し迫るこの時期になったら各種内装工事の手配も行ないましょう。

事前に決めておいた家具・インテリアイメージに基づき、新たに購入する必要のある家具についてはおおよそこの時期には注文・配送の手配を済ませておく必要があります。 家具・什器の選定を済ませたら、旧オフィスで使用していた必要のないものを確認し、廃棄業者に処分の依頼を行ないましょう。加えてコピー機・ファックスなどをリースしている企業にについては引き続き同じ業者からリースを行う場合は契約の更新を行う必要があります。インターネットプロバイダとの契約等についても同様です。

同時期に、移転先の内装工事にとりかかる必要があります。内装業者と一言に行っても、内装のプランニングを生業とする業者はこの世に数多く存在するため、エントランスからの動線計画やデザインのこり具合など、自らがどのような点を重視しているのか、それを満足いくように実現するにはどこの業者が発注するに値するのかを、委託先候補と密にコミュニケーションを図りながら選定を行ないましょう。

特に内装デザインへのこだわりが強い場合については、実際の壁紙や素材感など業者に一任することとなる部分も多く出てきますので、候補先複数者と特に密な意見交換を行い、できれば最終的には一社に発注することで内装デザインのちぐはぐ感をなくすことができます。

そして特に移転を考えている多くの人がもっとも懸念しているのが、移転に伴う各種申請かと思いますが、ここまで移転が近づいてきたらとうとう向かい合わなければありません。

別記事にて詳しく解説を行いますが、官公庁への手続きでは、主なものでは本店・支店移転登記申請や事業開始等申告の申請、適用事業所在地と名称変更届け、労働保険関係関係成立届けなど、複数の申請先に、必要があれば複数の申請をおこなわなくてはなりません。

加えて、これらの申請は各々に申請の時期が異なり、各期限に対して遅滞なく届け出ることが必要です。自らのオフィスの移転によって一体どのような申請が費用になるのか、そしてそれぞれの申請はどのタイミングでどこに対して行うのか、別途スケジュールを組んで管理することがスムーズなオフィス移転においては非常に重要です。

● 1ヶ月前〜オフィス移転当日

引越し日が眼前に近づいたこの時期になったら、現状のオフィスを引き払うために現状回復工事の依頼を行ないましょう。特に入居中ビル側からの工事業者の紹介・指定等がなければ、原状回復工事を行う業者の選定は自ら行う必要があります。既存契約上に、原状回復工事に関わる特段の特約がなければ、民法に従い専有部明け渡しの日までに原状回復を完了させましょう。 ビルオーナーや管理会社と工事に係る諸条件や範囲を確認した上で、業者に見積もりの依頼、業務発注を行います。専有部に破損があったり、借主の責に帰すべき瑕疵があると、部分的な修繕になるのか、より広い範囲での刷新が必要になるのか等揉めやすいポイントとなる可能性が高いので、あとあと面倒ごとにならないようお互いにしっかりと確認を行いましょう。

原状回復工事が完了したらいよいよ実際のオフィス移転作業の開始です。

オフィスの引越し作業は居住物件の引越しよりもはるかに煩雑です。特に業務上の情報などが含まれるPC周辺機器や契約書関係の書類など、情報漏洩の観点などから特に注意を払い持ち出す必要のあるものが非常に多くなるため、引越し業者と密に打ち合わせを行いましょう。部単位や個人単位での備品等についても、何が必要で何がそうでないのか、自分の所有物なのか備え付けのものなのか等、細かく確認・リストアップしておくことでスムーズな引越し作業の手助けになります。重要な要管理情報の持ち出し・取り扱いについては、引越し業者が専用のサービスを提供している場合もありますので、有効に活用しましょう。

荷物の搬入においては、すでに移転先物件に入居している従業員やビル利用者の迷惑にならないように引越し作業を行います。 新オフィスへの引越しが完了したら、上記の届け出に加え、移転後に必要な各種届け出を行います。これで移転は完了です。

とにかく煩雑なオフィス移転作業

オフィスの移転では、上記のような多岐にわたる作業や委託先の選定、物件の選定や各種申請などを、慎重なスケジュール管理の元遂行していかなくてはなりません。 こういった業務を少しでも簡略化するためにさまざまな不動産業者がサービスを提供しているため、そう行った業者に上記作業をアウトソースすることも一つの効率的な手段かもしれません。 特に移転先物件の探索は非常に煩雑で、膨大な数の物件から最適な物を見繕わなくてはならない作業ですが、新築の割に賃料が安い物件の発見や、ビルのスペックの比較など、効率的に行えば大きなコストメリットを生むことができるタイミングです。

estieでは複数の大手仲介エージェントから物件提案を受けられるサービスや、AIを用いた物件マッチングにより、顧客様に対しより効率的な物件探索のお手伝いをすることが可能です。 お客様一人一人ことなる希望条件を分析し、データベースにある膨大な物件情報からソリューションをご提供いたしますので、オフィス移転の際は是非当社サービスのご利用をご検討ください!

終わりに

オフィス移転の流れについてざっくりと理解していただけたでしょうか?

次回は、それぞれの流れについて詳しく解説していきます。オフィス移転マニュアルも無料配布中なので、是非ダウンロードしてご参照ください!皆さまのオフィス探しのお役立ちになれば嬉しいです。

オフィス移転の流れ【第2回】移転先の物件の検討と決定

移転先物件の選定について、どのような選定基準を用いればよいのか、どのような物件が良物件なのかという点について、立地・周辺環境、設備・ビルスペックの2点における要チェックポイントを解説します。

オフィス移転の流れ【第3回】スケジュール・計画作成のコツ

実際にオフィスの移転を行うにあたって、どのようなスケジュール感で行うのが最適か、どのような視点で計画を策定すればスムーズにオフィス移転を行うことができるのかというコツを、規模が大きいオフィス(100坪以上)・小さいオフィス(100坪以下)のような視点から解説していきます。


監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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