本店移転登記費用はどのくらい?登記が必要な場合3つと申請方法4つ・注意点も

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. 本店移転登記とは?
  2. 本店移転登記には費用がかかる
  3. 本店移転登記が必要な場合の費用3つ
  4. 本店移転登記の4つの申請方法と費用
  5. 本店移転登記費用と注意点3つ
  6. 本店移転登記費用は自分でやれば節減できるがプロに依頼するメリットもある

本店移転登記とは?

本店移転登記とは商業登記の1つで、本店所在地を変更した場合に行います。


登記は、個人や法人が不動産や債権などの権利関係を公示するために帳簿(登記簿)に記録することであり、法務局や支局などの「登記所」で手続きを行います。


本店とは、会社における主たる営業所を指します。本店は店舗の形態でなくても良く、オフィスビルを本店としている会社も多く見られます。


出典:商業・法人登記の申請書様式|法務局
参照:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#contentWrap

本店の所在地は登記事項

会社を設立した場合は、設立登記が必要で、商号・目的・資本金・代表者名などを届出します。本店の所在地はその登記事項の1つです。


設立登記は、発起設立・募集設立ごとに会社法が定める日から2週間以内に本店所在地を管轄する登記所に申請します。申請した日が会社の設立日となり、登記所の休日(土日祝日・年末年始)は除外されます。


登記において虚偽の申告をした場合、公正証書原本不実記載罪にあたります。

本店を移転したら登記が必要

商業登記の内容に変更が生じた場合、変更登記を行わなければなりません。そのため、本店を移転した場合も登記が必要です。


本店移転の変更があった日から2週間以内に変更登記を申請することが義務付けられています。期日を過ぎても登記申請をしなかった場合は「登記懈怠(とうきけたい)と見なされ、代表者個人に100万円以下の過料が科せられる可能性があります。


また、本店の建物名称が変わった場合も変更登記が必要です。

本店移転登記には費用がかかる

本店移転登記には費用がかかります。


失念していた、費用が高いという理由で本店移転登記を行わない会社も過去にあります。しかし、前述したように2週間以内に本店移転登記を申請しない場合に罰則が科せられることがあるため、必ず申請しなければなりません。


ここでは、本店移転登記にかかる費用について詳しくご紹介します。

登録免許税

登録免許税とは、登記の際に納める国税です。


本店移転登記のほか、不動産の購入時に行う「所有権保存登記」や「所有権移転登記」、不動産を担保に融資を受ける際の「抵当権設定登記」など、登記の際には登録免許税が課せられます。


登録免許税の納付方法には、納付書による現金納付、収入印紙による納付の2種類があります。収入印紙は登記所内の印紙売り場(売捌所)やコンビニエンスストア、郵便局で購入できます。


出典:登録免許税に関する資料|財務省
参照:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/property/e08.htm

司法書士報酬

本店移転登記を司法書士に委託した場合、対価として報酬を支払います。


司法書士は登記業務を中心に、裁判事務や供託手続きを行います。司法書士報酬は司法書士が自由に決めることができるため、事務所によって金額が異なります。


また、司法書士には報酬の基準を明示する義務があります。


出典:司法書士の報酬|日本司法書士会連合会
参照:https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/

本店移転登記が必要な場合の費用3つ

本店移転登記の際には、登録免許税と司法書士報酬が発生することを前述しました。司法書士報酬は司法書士事務所ごとに異なりますが、登録免許税も本店移転時の条件によって変わってきます。


ここでは、本店移転登記にかかる費用について3つのケースをご紹介します。これから本店移転登記を行う場合は、どのケースに当てはまるか確認してみましょう。

1:同一管区での移転

所在地によって管轄の登記所が異なります。1つ目は、移転前と同一の管轄区内に移転する場合です。


例えば、東京都中央区から東京都千代田区へ本店移転する場合、両者とも東京法務局の管轄のため、同一の管轄区内の移転になります。

2:他管区への移転

2つ目は、他の管轄区へ移転する場合です。


例えば、東京都江戸川区から東京都渋谷区へ移転する場合を見てみましょう。この場合、管轄の登記所が江戸川出張所から渋谷出張所へ変わるため、管轄区外への移転となります。


移転前の管轄登記所、移転後の管轄登記所の2箇所に本店移転登記申請書を提出します。

3:支店がある場合

3つ目は支店がある会社の場合です。


支店は本店同様の権限を持つ営業拠点であり、登記所の管轄が本店と異なる所在地に支店を設置する場合は登記が必要です。本店移転に伴う支店の変更登記については、支店所在地が本店の旧所在地・新所在地のいずれとも管轄が違う場合のみ必要です。


支店の変更登記の費用は、支店所在地を管轄する登記所ごとにかかります。

本店移転登記の4つの申請方法と費用

本店移転登記には、どのような申請方法があるのでしょうか。上記でご紹介した、登記所で納付する登録免許税や登記手数料のほかにも費用がかかる場合があります。


ここでは、本店移転登記の申請方法とそれぞれの費用について4つご紹介します。本店移転登記について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

1:司法書士に頼む

本店移転登記は、司法書士に委託するのが一般的です。


司法書士に委託した場合、登録免許税や登記手数料などの実費のほか、司法書士報酬がかかります。司法書士報酬は司法書士が自由に決めることができますが、本店移転登記の相場は約3~5万円です。


司法書士は報酬と費用の金額・算定方法の明示が法令により義務付けられており、具体的な金額については依頼者との契約に準ずるとされています。

2:自分で申請する

本店移転登記は自分で手続きすることもできます。


費用は実費のみとなります。登録免許税のほかに、登記簿交付や支店変更にかかる登記手数料が発生します。窓口申請以外に、郵送による申請も受け付けています。普通郵便で送ることも可能ですが、到着確認のできる書留が推奨されています。

3:自分でオンライン申請する

オンライン申請により自分で手続きすることもできます。


オンライン申請の利用には電子証明書が必要です。法務省のホームページから「申請用総合ソフト」をダウンロードするか、民間の「登記・供託オンライン申請システム」を利用する方法があります。


電子証明書を持っていない場合、「QRコード(二次元バーコード)付き書面申請」という申請書を簡単に作成して窓口・郵送申請する手段もあります。

4:オンラインサービスもある

本店移転登記の費用を抑えたいけれど、自分で書類を作成するのは良く分からないという人もいるでしょう。そういった人向けにオンラインサービスもあります。


Webフォームに必要事項を入力して申請書を自動で作成し、窓口・郵送により申請することができます。また、申請に必要な書類一覧や手続きのスケジュールまで管理可能です。

本店移転登記費用と注意点3つ

本店移転登記は、移転区域や会社によって必要な書類や費用が変わってきます。そのため、手続きを行う際には十分な注意が必要です。


ここでは、本店移転登記において注意すべき点を3つご紹介します。

1:登録免許税は減免がない

本店移転登記の実費は減額できません。


住宅購入時や所有権移転登記には登録免許税の軽減措置を受けることができますが、本店移転登記にはそれがありません。窓口申請・オンライン申請にかかわらず、かかる登録免許税は同じです。

2:定款の変更が必要になる場合もある

本店を移転した場合、定款の変更が必要になるケースがあります。


定款には本店の所在地を必ず記載します。本店の所在地は「最小行政区画」まで記載すれば良いとされています。最小行政区画とは、市および特別区(東京23区)を指します。


定款に番地まで記載している場合、最小行政区画外へ移転する場合は定款の変更が必要とされています。定款記載の本店所在地が「東京都港区」の場合、港区内での移転であれば定款の変更は不要です。

3:心配ならプロに任せる

本店移転登記は自分で行うことも可能ですが、必要書類の準備や本店移転登記申請書の作成に手間取る可能性があります。


自分で行えば登録免許税や登記手数料以外の費用を抑えられるというメリットはあります。しかし、手続きに手間と時間がかかる、書類に不備があり期日に間に合わないなどの可能性も考えられます。


確実に登記を行うためにも、手続きに不安がある場合はプロに任せるのが良いでしょう。

本店移転登記費用は自分でやれば節減できるがプロに依頼するメリットもある

本店移転登記を自分で行った場合、司法書士報酬の約3~5万円程度の費用削減が見込めます。


しかし、司法書士に委託すれば、煩雑な手続きを一任することができます。登記には2週間という期日が設けられているため、スムーズな対応が求められます。


登記のプロに依頼することで、確実で簡単に登記できるメリットがあります。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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