WELL認証とは?取り組むメリットと審査項目、取得建物例も紹介

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. WELL認証とは何か?
  2. WELL認証の審査項目

皆さん、オフィス探しにはどんな要素を重視していますか。値段ですか?立地ですか?広さですか? 確かに安くて広い物件はいいかもしれません。しかし、社員の皆さんが求めているのは物件のコストパフォーマンスではありません。そのオフィスがどれだけ快適で過ごしやすいかではないでしょうか。ここで注目すべき認証が一つあります。 それはWELL認証です。日本ではあまり知られていないWELL認証、いったいWELL認証とはなんなのだろうか。この記事を通して、WELL認証について学んでいきましょう。

WELL認証とは何か?

Well認証とはアメリカの公益企業IWBI(International WELL Building Institute)が認める、空間のデザイン、構築、運用に「人間の健康」という視点を加えて建築物を評価したシステムです。医者などの専門家とIWIBが協力して開発したものです。 このWELL認証の基準は、従来の建物のみの基準ではなく、人間と健康という新しい評価軸に基づいて作られています。 QOLや働き方改革が叫ばれている中、社員の満足度や人々からの人気度などを図る上で最近注目されている認証です。 確かに日本ではまだそこまで注目されていないWELL認証ですがアメリカや中国ではとってもHOTな基準となっています。

ではWELL認証では何が審査されるのでしょうか。

WELL認証の審査項目

現在発表されているVOL1という枠組みの中では、以下の7項目が審査されています。

AIR(空気) 29項目 空気質基準、禁煙、効率的な換気、VOC低減、空気ろ過、微生物とカビ制御、建設段階の汚染管理、健康に配慮した入口、清掃手順、農薬殺虫剤管理、基本的な製品の安全性、湿気の管理、エアーフラッシュ、気密性管理、換気量の増加、湿度制御、発生源の直接的換気、空気質のモニタリングとフィードバック、開閉可能な窓、外気システム、置換換気、害虫防除、高度な空気浄化、燃焼の最小化、有害物質の低減、強化された材料安全性、表面の抗菌、清掃しやすい環境、清掃用具

WATER(水) 8項目 基本的な水質、無機汚染物質、有機汚染物質、農薬汚染物質、上水添加物、定期的な水質検査、水処理、飲料水摂取の促進

NOURISHMENT(食物) 15項目 果物と野菜、加工食品、食物アレルギー、手洗い、食品の汚染、人工的原材料、栄養成分表示、食品広告、安全な調理器具、一人前の分量、特別食、責任ある食品生産、食品の保管、食品生産、心豊かな食事

LIGHT(光) 12項目 ビジュアル照明デザイン、サーカディアン照明デザイン、人工光のグレア制御、太陽光グレア制御、低グレアワークステーション設計、色の品質、表面デザイン、自動遮光と減光制御、昼光を受ける権利、昼光モデリング、採光窓

FITNESS(フィットネス) 8項目 屋内のフィットネスとしての動線、活動へのインセンティブプログラム、体系的なトレーニングの機会、外部空間の活動的なデザイン、運動スペース、アクティブ通勤への支援、フィットネス器具、アクティブな家具什器

COMFORT(快適性) 12項目 アクセシブルデザイン、エルゴノミクス:視覚的および身体的事項、外部騒音の侵入、内部発生騒音、温熱快適性、嗅覚の快適性、残響時間、サウンドマスキング、吸音面、遮音、個別温度制御、輻射による温熱快適性

MIND(こころ) 17項目 健康とウェルネス意識、インテグレイティブデザイン、入居後調査、美しさとデザインⅠ、バイオフィリアⅠ-質について、適応性に優れた空間、健康的な睡眠のポリシー、出張、建物における健康のポリシー、職場における家族サポート、自己モニタリング、ストレスと依存症への対処、利他的行為、材料の透明性、組織の透明性、美しさとデザインⅡ、バイオフィリアⅡ-量について

また、評価ランクは、プラチナ、ゴールド、シルバーの3段階となっています。 評価項目には必須項目と加点項目があり、必須項目を全て達成すれば「シルバー」、さらに加点項目の40%以上を達成すると「ゴールド」、80%以上を達成すると「プラチナ」の認証が与えられます。 認証対象となる評価項目や必須項目、加点項目は、先にあげた評価対象の三つのタイプ、「コア&シェル」、「新築および既存のインテリア」、「新築および既存の建物」によって異なります。 また、LEEDには既存建物の認証のみにしか有効期限はありませんが、WELLは「新築および既存のインテリア」と「新築および既存の建物」については認証取得後3年ごとの認証の更新が必要であり、実際の建物運用を重視した評価システムとなっています。 世界各国でWELL認証の建物が実現しており、日本でも認証申請中または認証取得済みの建物が数件みられます。 また、日本語のマニュアル類やWELL-APの資格試験も整備されています。そして、これらの文献は、IWBIのWEBサイトからダウンロードして読むことができます。

以上、公式ページから引用


https://www.gbj.or.jp/well/ratingsysytems/

どうでしょう。 アメリカの公益機関のこのような厳しい基準をパスした物件は非常に魅力的ではないでしょうか。

現在発表されているVol1 においては、業務用オフィス、公的機関の建築物を対象にしています。 そして今後vol2においては集合住宅、店舗、飲食店、スポーツ施設などさまざまな施設が認定されるそうです。

また、日本で初めてWELL認証のゴールドランクを取得した建物は株式会社大林組(本社:東京都港区)の大林組技術研究所(東京都清瀬市)本館テクノステーションです。

we認証 建物


本館テクノステーション 内装

出典:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news_20140930_1.html

この認証は建物全体を評価する区分では世界初の認証となりました。

このWELL認証はこれからの建築物の認証基準としてますます人気になっていくものと思われます。

WELL認証についての理解を深めていただくことができたでしょうか。これらの基準をオフィス選びの一つの選択肢として参考にするのもいいでしょう。

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監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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