賃貸オフィスを探すときのポイント11選!賃貸のメリットや移転までの手順も紹介

中村 優文(Masanori Nakamura)

目次

  1. 賃貸オフィスを探す前に考えるべきこととは?
  2. 賃貸オフィスのメリット・デメリットとは?
  3. 賃貸オフィスを探すときのポイント11選
  4. 賃貸オフィスに移転する手順6つ
  5. オフィス契約時に確認すべきこと
  6. 賃貸オフィス探しは事前準備をしっかりしてプロに相談しよう

賃貸オフィスを探す前に考えるべきこととは?

オフィスには自社ビル・賃貸・シェアオフィスなど、いくつかの形態がありますが、会社の規模や業務の内容などによって、適した形態は異なります。


また、オフィス移転には、事業規模拡大・コスト削減・生産性向上などさまざまな目的があるため、目的を達成できるオフィスを選ぶことも大切です。


賃貸オフィスを探す前に、オフィス移転の目的を明確にし、そのために必要なオフィスの条件を整理し、準備することが重要となります。

オフィスは賃貸でも可能?

自社ビルと賃貸オフィスには、それぞれメリット・デメリットがあります。


中でも賃貸オフィスにはさまざまな変化に対し、柔軟に対応できるというメリットがあります。今後も事業の拡大や変化が予測される場合は、自社ビルを購入するより、賃貸オフィスのほうが適していると言えるでしょう。


「オフィスは賃貸でも可能?」というより、賃貸オフィスは移転先の有力な候補として考えてください。

資産保有なら購入も考えよう

一方、自社ビルをオフィスにすることは、不動産として資産を残せ、減価償却費を計上できるというメリットがあります。また、立地条件がよければ、購入時より高く売却できる可能性もありますし、オーナーとして貸し出すことで賃貸収入を得ることもできます。


自社ビルを持つことで得られるメリットも数多くありますので、自社ビルと賃貸オフィスそれぞれの特徴を理解したうえで、自社にとって適した形態を選んでください。

賃貸オフィスのメリット・デメリットとは?

賃貸オフィスは自社ビルと比べ、環境の変化に対応しやすいというメリットがありますが、デメリットも少なくありません。


ここでは、賃貸オフィスの特徴について、具体的なメリットとデメリットをもとに解説します。

賃貸オフィスのメリット

賃貸オフィスのメリットは、購入時の頭金などの諸費用が必要ないため、初期費用を安く抑えられることです。また、ビル管理・清掃は、オーナー・管理会社が行うため、管理の手間やコストがかかりません。


会計面では、賃貸オフィスは賃料・管理費を全額経費計上できます。自社ビル購入費用は経費に計上できませんので、これは賃貸オフィスのメリットと言えます。


また、賃貸オフィスは事業規模や事業内容の変化に対して、柔軟に対応できます。起業して間もない会社や、発展途上の会社は、自社ビルを構えるよりも賃貸オフィスが適していると言えるでしょう。

賃貸オフィスのデメリット

賃貸オフィスのデメリットは、毎月家賃の支払いが発生し、資産として残せないことがあげられます。また、インフレが進めば賃貸料が上がる可能性もあります。


使いやすさの面では、賃貸オフィスは利用時間・レイアウト・通信回線数など、ビルによって利用制限があることにも注意が必要です。また、オフィス移転の際には、コストと手間がかかりますので、この点も含めて考えてください。

賃貸オフィスを探すときのポイント11選

オフィスの移転は数年に一度あるかないかのことですので、自社に適したオフィス選びができるよう慎重に進める必要があります。中には、必ず押さえておきたいポイントがあります。


ここでは、条件の洗い出しのポイントから現地での内覧ポイントまで、賃貸オフィス探しの11のポイントをご紹介します。オフィス選びに失敗しないよう、最低限押さえるべきポイントとして参考にしてください。

賃貸オフィスを探すときのポイント1:オフィスに必要な広さを決める

快適なオフィスに必要な広さの目安は、人数×2~3坪といわれています。この目安は、執務スペースに加え、会議室・休憩室・倉庫などの必要スペースを加えたものですので、オフィスの使い方によってさらに広くするなど調整して必要な広さを決めます。


また、オフィス内のレイアウトによっても差が出ますので、希望のオフィスレイアウトをイメージしておくと良いでしょう。

賃貸オフィスを探すときのポイント2:賃料の上限を決めていこう

賃貸オフィスの賃料は立地条件がよいほど高く、郊外になるほど抑えられます。そのため、理想の条件を挙げてオフィス選びをしても、賃料の面で折り合いがつかなければ元も子もありません。


自社の業績から、賃料の上限を決めたうえで、物件探しをすることをおすすめします。

賃貸オフィスを探すときのポイント3:初期費用の限度を決定する

住居を賃貸する時と同じように、賃貸オフィスを借りるときにも初期費用ががかります。


初期費用には、保証金・家賃・仲介手数料・保証会社保証料・火災保険料などがあり、移転する場合はこれとは別に引っ越し代もかかります。また、新たなオフィスレイアウトに合わせた、什器を購入する場合もあるでしょう。


初期費用の金額は、事業の継続に影響はない範囲にとどめる必要があります。賃料だけでなく、初期費用についても上限額を設定しておくことをおすすめします。

賃貸オフィスを探すときのポイント4:立地を絞る

オフィス探しをする際には、事前に立地を絞って、その中でオフィス選ぶことをおすすめします。


日本の主要都市では、エリアごとに業種の特性があり、たとえば、IT系であれば渋谷、取引先に官公庁系が多ければ虎ノ門・大手町といったものがあります。会社の立地は企業のイメージにもつながり、利便性や従業員の確保の面からも、同業社が集まるエリアを選ぶことは合理的です。


自社の業務を進めるにあたって、顧客・取引先・社員などさまざまな観点から立地を選定すると良いでしょう。

賃貸オフィスを探すときのポイント5:必要な設備をチェックしておく

賃貸オフィスには利用制限が設けられている場合もあるため、必要な設備があるかどうかは重要なチェックポイントです。必要設備に不足があると、後からコストをかけて用意しなければならなくなるからです。


建物自体のセキュリティーシステム・耐震性・空調設備・トイレの数・駐車場など、自社の業務を行うにあたって必要な設備を事前に列挙しておき、物件選びの際にチェックすると良いでしょう。

賃貸オフィスを探すときのポイント6:借りるまでのスケジュールを把握しておく

オフィスを移転する場合、現在のオフィスと移転先のオフィスの賃料の両方を契約する期間ができてしまうため、賃料が二重になる期間があります。


また、現オフィスの解約予告期間を調べておかないと違約金の支払いが必要となることがあり、新たな物件がこちらの都合に合わせて入居を待ってくれないこともあります。


現在のオフィスの解約時期と、新たなオフィスへの移転時期を中心に、スケジュールを把握しておくことで、余計なコストをかけずに移転することができます。

賃貸オフィスを探すときのポイント7:プロに相談する

オフィス物件はWebに掲載されない物件が多く、掲載されているものも情報自体が古いことが少なくありません。


希望の条件がある程度かたまったら、希望のエリアを強みとするプロの業者へ早めに相談することをおすすめします。

賃貸オフィスを探すときのポイント8:共用部をチェックする

オフィスを内覧する際には、オフィスエリアのチェックに目が行ってしまいます。しかし、エントランス・廊下・エレベーターなどの共用部分のチェックも怠らないでください。なぜなら、共用部分にはそのビルの管理状態が現れるからです。


例えば、見落としがちなのがごみ集積場です。集合住宅がごみ集積場の管理状態を見れば、管理状態やどんな住人が住んでいるかわかるのと同じように、オフィスビルもごみ集積場を見ることで、管理状態やほかのテナントの状況なども把握できるのです。

賃貸オフィスを探すときのポイント9:騒音問題の有無を確認する

現地へ行った際にチェックしたいのが、周囲の騒音の状況です。とくに、左右の事務所や、道路からの騒音状況は、現地に行かなければとわかりません。フロアが5階だったとしても、目の前に高架式の高速道路が走っている場合、想像以上の騒音に悩まされる可能性があります。


騒音の問題は入居後には解決できないものも多いので、内覧時のチェックを忘れないでください。

賃貸オフィスを探すときのポイント10:電気容量を確認する

賃貸オフィスによっては、使用できる電気容量に限りがありますので、業務に必要な電力量を確保できるかどうかは、確実にチェックしてください。


仲介会社に調べてもらうこともできますが、資料に書かれている情報が古い場合もあります。現地のブレーカーのアンペア数を確認することをおすすめします。

賃貸オフィスを探すときのポイント11:非常階段の有無を確認する

オフィスを内覧する際には災害時の避難の観点から、非常階段の位置や、避難経路についてもチェックすることをおすすめします。また、最寄りの指定避難所の場所も把握しておいたほうがよいでしょう。


万が一の事態が発生したときに、スムーズに避難し、従業員の安全を確保できるビルかどうかチェックしておきましょう。

賃貸オフィスに移転する手順6つ

オフィスの移転は数年に1度あるかないかの、重要なイベントです。移転にまつわる業務も膨大で多岐にわたりますので、オフィス移転に必要なプロセスを洗い出し、計画的に進める必要があります。


ここでは、賃貸オフィスを移転する際に必要なプロセスを6つに分けて、それぞれ解説します。

賃貸オフィスに移転する手順1:物件検索を業者に依頼

まずは希望の条件を整理したうえで、業者へ物件探しを依頼します。


事前に決めておきたい条件としては、立地条件・面積・賃料上限・駐車場の要否・ビルの設備・電気容量・セキュリティー設備・耐震性などがあげられます。

賃貸オフィスに移転する手順2:候補物件を現地見学

候補物件があがってきたら実際に現地で物件を見学し、希望の条件を満たしているかどうかに加え、現地に行かないとわからない点についてチェックします。


最寄りの駅から歩いて、現地までの距離や所要時間を確認し、周辺の環境に気なる点がないか確認します。また、ビルのエントランス・エレベーター・トイレなどの共用部や、フロアでの騒音状況などもチェックすることをおすすめします。


高層階だと携帯電話の電波状況が悪いこともあり、機器を設置する必要な可能性があります。内覧の際に携帯電話の電波状況も確認してください。

賃貸オフィスに移転する手順3:レイアウトイメージを作成

オフィスのレイアウト設計は専門業者へ依頼するのが一般的ですが、レイアウトのイメージは作成することをおすすめします。


部署ごとに必要なスペースの洗い出し、執務以外に必要なエントランス・応接室・会議室・休憩室・倉庫などの配置を考えます。この際、情報セキュリティーの観点から、来客者と従業員が共有スペースと、従業員のみが入れるスペースを分けて配置する必要があります。


レイアウトイメージをもとに専門業者へ相談し、具体的なレイアウト設計を行うことになります。

賃貸オフィスに移転する手順4:物件決定・契約

希望のオフィスが決まったら、移転先のビルと契約条件について交渉を行います。


とくに賃貸オフィスでは、賃料・共益費の金額交渉と合わせて、フリーレントという賃料の発生がしない期間の交渉があります。イニシャルコストの削減につながるため、重要なポイントです。


また、家賃交渉以外にも工事区分の契約なども重要です。


工事区分にはテナント負担のビル指定業者工事のB工事と、テナント負担のテナント指定業者工事のC工事があります。内装工事はB工事のケースが多いですが、契約交渉でC契約にできれば、自社で業者を選定できるため、価格交渉も可能となります。

賃貸オフィスに移転する手順5:手直し工事

新しいオフィスを構築するために、レイアウトプランに沿って、内装・電気・通信・空調工事を行います。


工事の依頼は、指定業者がある場合はビルオーナーと日程を調整し、指定業者がない場合は直接業者と日程を調整します。移転の3ヶ月前を目安に依頼する必要があり、また、各工事の日程がバッティングしないよう注意してください。

賃貸オフィスに移転する手順6:入居

オフィスの移転は、全社員に協力してもらう必要があるため、移転に関する社内マニュアルを作ることをおすすめします。役割分担・荷物の梱包・廃棄荷物の廃棄方法などを、社内マニュアルにまとめて社員周知することで、スムーズに移転できるようになります。


また、取引先への移転の案内や、封筒・名刺など印刷物の発注も転居するまでに行いましょう。

オフィス契約時に確認すべきこと

賃貸オフィスを契約する際には、賃料・共益費などの表面的な賃貸条件だけでなく、契約期間内のトータルコストを重視して交渉してください。


交渉のポイントとしては、更新料・フリーレント期間・光熱費・清掃料などがあげられます。


また、工事によっては指定業者が決められていますが、一般的に指定業者は高くなる傾向があります。契約の段階で、指定を外して自社で業者を選定できるようにすることも重要です。

賃貸オフィス探しは事前準備をしっかりしてプロに相談しよう

オフィス探しは、移転の目的を明確にしたうえで、オフィス条件を整理したうえで、条件にあった物件探しをすすめる必要があります。オフィス移転を成功させるためには、賃貸オフィスに熟知したプロに相談することをおすすめします。


また、オフィスの移転は、現在のオフィスの解約・新オフィスの契約・新オフィスのレイアウト・新オフィスへの引っ越しなど、数多くのプロセスがあり、多くの業者とスケジュールを調整して進める必要があります。


オフィス移転プロジェクト自体を手掛ける専門業者もありますので、プロに相談するのも良いでしょう。

監修

執筆者
中村 優文(Masanori Nakamura)
経歴
早稲田大学大学院卒業。大学院時代では未踏スーパークリエータに認定される。その後、三菱地所に入社し物流施設のアセットマネジメントや営業に従事。 不動産業界の知見とエンジニアリングの知見両方を持ち合わせており、estie proのプロダクトマネジャーとして活躍。 フットワーク軽く社内イベントをよく開催する。
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