新型コロナ対策におすすめのオフィスレイアウト方法5つ!基本のやり方も解説

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. コロナ禍におけるオフィスの新しい生活様式とは
  2. 新型コロナ対策で重要なオフィスレイアウトの基本の考え方3つ
  3. 新型コロナ対策におすすめのオフィスレイアウト方法5つ
  4. レイアウト以外の新型コロナ対策7つ
  5. コロナ禍におけるオフィスレイアウトを考えよう

コロナ禍におけるオフィスの新しい生活様式とは

2020年、新型コロナウイルス感染症が日本中に広がり、翌年になっても未だ収束する気配がありません。これにより国民の生活は大きく変化し、このコロナ禍において国民が身を守るための『「新しい生活様式」の実践例』が厚生労働省から提示されました。


このメッセージでは、感染拡大を阻止するために飛沫感染や接触感染への対策例を具体的に示して、積極的に取り組むよう求めています。これは個人に対してだけでなく、企業や組織の社会生活にもおよび、多くのオフィスで活用されています。


出典:「新しい生活様式」の実践例|厚生労働省
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

新型コロナ対策で重要なオフィスレイアウトの基本の考え方3つ

新型コロナウイルス感染症に対する企業や組織の対策として、上記の厚生労働省からの呼びかけとともに、一般社団法人 日本経済団体連合会が示した「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を参考にしているケースも多いでしょう。


このガイドラインをもとに、社員や顧客、周辺住民の安全を確保するための対策が、各企業でとられています。オフィスレイアウトもその一つで、ソーシャルディスタンス・飛沫対策・空気の循環の3つの側面から、最適なレイアウトを考えていく必要があります。


出典:オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン|一般社団法人 日本経済団体連合会
参考:https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/040_guideline1.html

1:座席配置は広く設置する

まずは、直接飛沫を浴びないように、オフィスのレイアウト設計は座席の間隔を広くとることを意識します。対面の配置でなく横並びであっても、座席の距離を1メートル以上あけて設置しましょう。


さらに、空気の滞留を防止するため、窓の近くに大きな棚を置かない、間仕切りの設置場所に注意するなど、空気の循環を妨げない工夫も必要です。

2:基本は対角や横並びにする

さらに、飛沫感染を防止するために、仕切りがない状態での対面のレイアウトは避けます。基本的には、対角、もしくは横並びに座席を配置しましょう。


正面から対面することのない配置にすることが重要です。

3:人員配置の距離を考慮する

飛沫感染を予防するには、社員同士が常に2メートル以上の距離を開けることが理想です。しかし、オフィスの広さの都合もあるため、デスクの距離を2メートル以上開けることが無理な場合は仕切りを設置しましょう。


また、社員間の距離は、ワークスペース以外の場所においても配慮しなければいけません。休憩スペースなどにおいても、椅子を間引いたりする対策が必要です。

新型コロナ対策におすすめのオフィスレイアウト方法5つ

オフィスでは、社員の業務内容や働き方、室内の広さなどによって、適したレイアウトが異なります。しかし、現在のような新しい生活様式を強いられている状況では、従来適していたレイアウトに問題が生じる場合もあります。


例えば、それぞれのデスクを対面および隣り合わせで寄せる対向型(島型)はもっとも一般的で、社員同士のコミュニケーションがとりやすいメリットがありますが、前・横どちらにも距離が近いため、感染防止の観点からは適さないレイアウトといえます。


ここから、新型コロナウイルス対策におすすめのレイアウトを見ていきましょう。

1:背中合わせにする

社員が壁に向かって座る「背中合わせ型」は、社員同士が対面しないので、飛沫リスクを軽減できます。しかも、対面の視線を気にすることなく、且つ、横や後ろにいる社員とコミュニケーションをとりやすいメリットもあります。


さらに、この型は対向式の反対のレイアウトであるため、これまで対向式のレイアウトを採用していたオフィスでは、デスクを反対に向けるだけなので、変更が容易です。

2:かざぐるまのように配置する

「かざぐるま型」は、4つのデスクを風車のように4つの方向に向かせて配置するレイアウトです。さらに、4つのデスクを仕切るように、パーテーションを十字型に設置すると、社員の体はパーテーションに向かうため、飛沫を防ぐことができます。


2枚のパーテーションで、適度なプライバシーと仲間との一体感を同時に得ることも可能です。

3:疑似的に小さな個室を作る

デスクをパーテーションで囲い、個室のようにして配置するのが「ブース型(個室型)」です。このレイアウトはデスクがパーテーションで囲まれているため、飛沫感染対策として優れています。また、社員が業務に集中しやすくなります。


一方、社員同士のコミュニケーションがとりにくくなることや、多くのパーテーションが必要なためコストがかかることがデメリットとなります。

縦型の場合

ブース(個室)を縦に並べるレイアウトで、前後の社員が同じ方向を向きます。飛沫防止効果は高いものの、社員が同じ方向を向いているため、コミュニケーションがとりにくいデメリットがあります。


隣のブースを反対方向に向けると「左右対向式」と呼ばれ、比較的部屋を有効的に使えます。

横型の場合

ブース(個室)を横に並べるレイアウトで、隣の社員が同じ方向を向きます。パーテーションが高ければ飛沫防止効果が高くなったり作業に集中しやすくなりますが、コミュニケーションがとりにくくなります。

4:教室のようにデスクを一方向に向ける

「同向型(スクール型)」は、教室のようにデスクをすべて同じ方向へ向けて配置するレイアウトです。デスク間の距離は2メートル以上確保するのが望ましいでしょう。


社員同士が対面しないため、横の距離が保たれていれば、飛沫感染対策としては有効です。ただし、デスク同士の距離を十分に保つためには、広いスペースが必要です。

5:向きを交互にする

隣り合わせたデスクの向きを交互に変えるのが「ジグザグ型(クラスター型)」のレイアウトです。対向席は設けないため、飛沫を遮断できます。パーテーションなどで仕切れば、さらに感染対策として有効でしょう。


また、体の向きを変えれば前後や横の社員とコミュニケーションがとりやすく、しかも作業に集中しやすいレイアウトです。

レイアウト以外の新型コロナ対策7つ

この未曽有のコロナ禍において、企業はオフィスのデスクレイアウト以外にも感染予防対策を講じる必要があります。


具体的な対策は、前段でも紹介した「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」などを参考に、その企業の業務形態や規模に適したものを策定しましょう。


出典:オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン|一般社団法人 日本経済団体連合会
参考:https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/040_guideline1.html

1:消毒作業を行う

コロナウイルスは消毒用エタノールや、次亜塩素酸ナトリウム溶液で感染予防が可能です。接触感染を防ぐために、ドアノブや手すり、エレベーターのボタン、電話、水道の蛇口など、不特定多数の人が触れる共用設備は、頻繁に清拭消毒しましょう。


さらに、社員には、始業時や休憩後など、定期的な手洗いを徹底させます。なお、水道での手洗いが困難な環境では、手指消毒液を配置して、頻繁に手指消毒をするよう指導しましょう。

2:換気をする

新型コロナウイルス感染症の集団感染を防ぐためには、定期的な換気が必要です。換気が不十分な室内空間では、ウイルスを含んだエアロゾルが滞留して漂い続け、その場にいる人が感染しやすくなるからです。


このコロナ禍において、1時間に2回以上、窓を開けて換気することが推奨されます。可能であれば対角上の二つの窓を開けることが望ましいです。機械換気の場合は、窓は開放しなくて良いでしょう。


休憩室や会議室などで人が密集する場合は、なるべく常時換気をします。また、換気システムの確認や見直しも必要で、換気効率が悪い場合はサーキュレーターなどを用いましょう。

3:湿度の調整

湿度と新型コロナウイルスの関係は複雑で、湿度を上げれば感染力を低下させるという明確なデータはありません。


しかし、乾燥によって人間の気道のバリア機能は落ちるため、呼吸器系感染症の予防には加湿したほうが望ましいと言えます。さらに、相対湿度を高くすると飛沫がエアロゾル化しにくくなるのは確かです。


そのため、適度な湿度を保つことは大切です。特に冬季は乾燥しやすいため、部屋の中をしっかりと暖めて加湿してから換気しましょう。

4:テレワークや時差勤務の導入

企業の新型コロナウイルス感染症予防対策として、出勤形態の変容は、国を挙げて推進されています。在宅やサテライトオフィスでのテレワークや時差出勤、ローテーション勤務、週休3日制など、さまざま勤務形態が検討、導入されつつあります。


未だ収束の見えない状況で、ミーティングや出張、企業説明会や面接なども積極的にオンライン化していき、現地で対面しなくてもコミュニケーションがとれる手段の構築が必要です。

5:ソーシャルディスタンスを心掛ける

すべての職種がテレワークに移行できるわけではありません。社員が出勤せざるを得ないオフィスでは、社員が自然にソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保できるよう、配慮や工夫が必要です。


例えば、椅子を間引いたり、テープやシールなどで社員が立つ位置や座る位置、動線などに印をつけるなどの方法があります。また、入室できる人数を制限したり、人の往来が多い場所は一方通行にするなど、企業側ができる工夫をしましょう。

6:マスクの着用

呼吸器感染症の予防対策として、マスクの着用は欠かせません。企業は社員に対して勤務中の正しいマスクの着用を促しましょう。


マスクの着用は自身の感染を防ぐためだけでなく、自分が感染していた場合に周囲への感染拡大を防ぎます。さらに、正しいマスクの着用は、顧客への安心感にもつながります。なお、夏場はマスク着用による熱中症への注意も必要です。

7:アクリル板・透明ビニールカーテンの利用

飛沫感染を防ぐために社員同士の間に物理的な仕切りを作ることは効果的な対策です。パーテーションや棚などでパーソナルスペースを確保すると、効果的に飛沫リスクを軽減させることができます。


また、対面で会話せざるを得ない業務の場合や必要なソーシャルディスタンスが確保できない場合は、アクリル板や透明のビニールカーテンを利用して飛沫を防ぐのがおすすめです。

コロナ禍におけるオフィスレイアウトを考えよう

新型コロナウイルス感染症の収束が見えない現在、私たちの暮らしに新しい生活様式が定着しつつあります。このようなコロナ禍においても、企業は感染対策と生産性を両立させなければいけません。


そして、社員一人一人が感染予防に努めるとともに、企業側も可能な限りの安全配慮義務を果たす必要があります。コロナ禍に対応したオフィスのレイアウトを立案して実行し、安全で快適な環境を社員に提供しましょう。

監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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