京都のオフィス事情【必見】事務所利用のメリットと今後の動向

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. オフィスの供給不足が続く京都
  2. エリア別のオフィス事情
  3. 今後の展望
  4. 終わりに

長い歴史を誇り、日本を代表する地方都市でもある京都。近年は訪日外国人数の増加による観光需要が活況を呈していますが、人口140万人を誇る地方都市でもあることから、そのオフィス動向にも注目が集まります。この記事では京都のオフィス事情について詳しくご紹介していきます。

オフィスの供給不足が続く京都

観光客数の増加に伴い、近年は観光都市としての発展に努めている京都市。そのためホテルの供給が非常に盛んであり、2020年だけで40以上の新規ホテルが開業、2021年もこの傾向は続きそうです。一方、オフィスビルに関してはここ10年ほど延床面積が1000坪以上の大型ビルの供給が止まっており、オフィスの供給不足が顕著になっています。空室率は2010年には12%ほどでしたが、2020年6月期には0.6%と大幅に下がっており、数字にもこの傾向が現れています。 供給不足が続く原因の一つとして、上述したように観光需要の増大が挙げられます。相次ぐホテル開発によって京都の地価は大きく上昇しており、収益性で劣るオフィスビルの開発が滞っています。またオフィスビルがホテルに建て替えられるといったケースも見られ、この動きに拍車をかけています。

もう一つの原因は京都市が景観保全のために定めている建物の高さ制限にあります。この規制により幹線道路や烏丸通り、五条通りなどの一等地においても、建物の高さは最大31メートルまでと制限されているため、11階以上の建物を建築することができません。このように、観光需要の増大と京都市の建物規制という二つの要因によってオフィス供給が不足しているのが現状です。 オフィス供給の不足によって賃料相場も上昇傾向にあります。2020年6月期の想定成約賃料は前期比1.6%上昇の16,200円/坪で過去最高を更新しています。コロナ禍により、将来の展望に関しては不透明な点も多いですが、特にまとまった広さのあるオフィス探しは今後も難航しそうです。

京都オフィス賃料

出典:https://www.estie.jp/office/area/kyoto/shimogyo-ku-kyoto-shi?page=1

エリア別のオフィス事情

四条烏丸周辺

四条烏丸は京都市内で屈指のオフィス街であり、京都の中でも比較的高い建築物が並んでいます。平安時代には貴族の邸宅が集積し、高級住宅街が形成されていた場所でした。四条烏丸の北側には聖徳太子が建てたと言い伝えられる六角堂があり、その中にあるへそ石は京都の中心を指すと言われています。 京都の中心に位置する四条烏丸ですが、経済においても京都をリードするエリアとなっています。「京都三井ビルディング」や「アーバンネット四条烏丸ビル」、「四条烏丸FTスクエア」などは延床面積が5000坪を超え、京都を代表するオフィスビルです。

京都駅周辺

京都駅の外観

京都駅周辺では主に駅の北側にオフィスビルが集積しています。延床面積が5000坪以上の大型ビルとして、「新京都センタービル」や「日本生命京都三哲ビル」、「オムロン京都センタービル」などがあります。そのほかにも「資生堂京都ビル」や「ニッセイ京都駅前ビル」など大企業の支社ビルが見られます。 京都駅周辺にオフィスを構えるメリットとして挙げられるのが利便性の良さです。大阪には電車で30分、神戸には50分、名古屋には新幹線を利用して30分ほどで移動することができます。そのため他都道府県との取引が多い企業は京都駅周辺でオフィス探しを検討するといいのではないでしょうか。

今後の展望

オフィスの空室率が低く推移し、賃料相場が高騰を続けている京都のオフィス事情ですが、今後の展望はどのようになるのでしょうか? 現在は観光業向けのホテル開発や富裕層向けのマンション建設が先行していますが、新規ホテルの開業には一服感があり、代わりにオフィスビルの開発やホテルをオフィスに建て替えるといった計画が水面下で増えています。また現在入居しているテナントへの継続賃料の値上げについても慎重論が見られます。 これらの要因に加え、行政においても追い風となる動きがあります。京都市の建物の高さ制限について、一部で緩和するなど見直しを求める声が高まっているようです。その理由として少子高齢化や人口減少が起きる中、オフィスの供給不足によって人材が流出していることが挙げられます。一地方都市としての活力を維持するためには観光業以外にも産業を振興させる必要があり、今後規制が緩和されていくのかに注目が集まります。 このように京都のオフィス事情にとって、追い風となる動きが顕在化しつつあります。ですがこれらの議論はあくまで計画段階であるので、しばらくはオフィスの供給不足と賃料上昇のトレンドが継続していきそうです。

終わりに

いかがでしたでしょうか?京都では伝統を守るための行政による規制と近年の観光業の盛り上がりによってオフィスの供給不足が続き、賃料相場が上昇していることがお分かりいただけたかと思います。京都には京都大学をはじめとする高い研究力、長い歴史によって蓄積された文化的資本や伝統産業、中小工場の技術力、国際的な知名度といった京都にしかない強みが多々あります。そのため近年は、LINEやSansan、パナソニックなどIT企業や大企業が京都に研究開発拠点を置くケースが増えています。企業の京都への注目度は確実に高まっており、今後の動向に関心が集まりそうです。

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大阪のオフィス【エリア別解説】事務所数や今後の動向

東京に負けず劣らずの大都会である大阪ですが、そのオフィス事情は一言に「オフィスバブル」と言って過言はないでしょう。近年大阪のオフィスマーケットはその過熱ぶりの影響で空室率がかつてない勢いで低下傾向にあり、メインのエリアではまとまった規模感のオフィス床を確保することは非常に困難な状況となっています。

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監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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