汐留シティセンターがもたらした変革【必見】三井の仕掛けに迫る!

束原 悠吾(Yugo Tsukahara)

目次

  1. 汐留シティセンター の基本情報
  2. 複合用途で街の利便性を向上させる
  3. 「ノンアセットビジネス」で次世代不動産ビジネスの先頭を走る

2003年、汐留シオサイトに地下4階、地上43階建ての複合用途型オフィスビルである「汐留シティセンター」が竣工しました。このビルは三井不動産が主体となり、シンガポールの政府投資公社であるアルダニーインベストメンツとの共同事業により開発されました。

竣工年である2003年はサブプライムローンによる不動産市場の崩壊直前であり、デベロッパー各社は先行き不透明な景気同行に不安感を覚え、賃貸収益以外のビジネスモデルを模索している真っ最中でした。

その後、不動産バブルは崩壊、デベロッパー各社はその後も賃貸収益モデルを中心としながらも、ノンアセットビジネスでの収益の安定を図ることになることとなります。この汐留シティセンターも出資はアルダニー社ですが、入札から開発後の管理運営などのプロジェクトマネジメントは三井不動産が代わりに行いました。これは請負コンサル料を収益とする、まさに不動産デベロッパーならではの新しいノンアセットビジネスの先駆けとなる事業でした。

三井不動産も、当時のリリースの中で本事業を「文化、商業、ホテル等の施設や、日本を代表する企業の本社ビル、超高層マンションなど、各々の設計思想を反映した、デザイン性優れた高層建築物が次々と開発されることから、かつては鉄道発祥の地として文明開化の出発点であったと同様に、21世紀の国際都市東京における象徴であり、出発点となる」としています。

汐留周辺は日本テレビや電通などの企業が本社を構え、ロイヤルパークホテルなど、オフィス以外の用途も充実していますが、今回はそんな汐留エリアでもひときわ目を引く汐留シティセンターについて解説します。

汐留シティセンター の基本情報

所在地:東京都港区東新橋1丁目5番2号

階数:地下4階・地上43階

竣工:2003年1月

設計:ケビンローシュ・ジョンディンカルー・アンド・アソシエイツ / 日本設計

延床面積:21,0154㎡(63,571.66坪)

構造:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造

施工:竹中工務店

駐車台数:432台(汐留シティセンター内)

事業主:アルダニー・インベストメンツ・ピーティーイー・リミテッド、三井不動産

店舗数:60

複合用途で街の利便性を向上させる

地上4階から40階まで、メインの用途はオフィスフロアとなっており、低層階にはバリエーション豊かな飲食店や物販店舗が入居しています。

「働く人に一番の場所であること」という「ワーカーズファースト」の理念のもと内部用途は構成されており、ビル内外を問わず、周辺で暮らす人たちの生活ニーズを幅広く拾うことが意識されています。1フロア約850坪のオフィス空間には、竣工当時では最新鋭のセキュリティ、IT、環境対応などオフィスワーカーが満足して生き生きと働くことができる環境づくりに資金投資を惜しまず、富士通株式会社、全日本空輸株式会社、三井化学株式会社、住友化学工業株式会社の統合会社などが本社として入居し、満室稼働での開業となった最新鋭のビルでした。

地下2階~3階まで、41階~42階には主に飲食用途を中心とした眺望の良い商業フロアとなっており、60店舗が入居しています。特に高層階のレストランは都心ビルに入居するレストランでは有数の規模感を誇り、汐留ワーカーたちのハイエンドな生活をより華やかにするコンテンツが充実しています。

汐留シティセンターを中心とする汐留シオサイトは働く、遊ぶ、憩う、住むなどといった生活機能が集約されており、またこれらが互いにシナジー効果を生むことで、汐留シティセンターを中心として汐留周辺で暮らす人たちの生活をより豊かにするという構想のもと設計されています。

「ノンアセットビジネス」で次世代不動産ビジネスの先頭を走る

冒頭でも触れた通り、汐留シティセンターが竣工した2003年はまさにミニバブルの渦中。新しい大規模ビルが竣工してはオープンと同時に満室稼働となるビルも多くみられる好景気でした。景気が良くなり空室率が下がると、不動産業界各社の事業ポートフォリオの大部分を賃貸収益が占めるようになり、その偏りを株主や機関投資家から指摘されることもしばしばでした。

一方でデベロッパー大手の三井不動産は第一次バブルの崩壊の経験を活かし、2006年のサブプライムローンによるこのミニバブルの崩壊に備え、早い段階から賃貸収益以外の柱を確立しようと取り組んでいました。中でも土地取得から開発、管理・運営等デベロッパーとしてのノウハウを外部投資家に提供することで開発コンサルティングを行う「プロジェクトマネジメント」というビジネスモデルに業界内でもいち早く取り組んできました。

現在でも三井不動産は業界二番手の三菱地所と比較しても事業ポートフォリオのバランスの良さは一目瞭然で、先が読めない景気の揺らぎの中にある賃貸事業が不安定になっても、賃貸収益に頼らないノンアセットビジネスでの収益が充実しており、非常に強い経営基盤を備えていると言えます。業界内でも特に強いプレゼンスを発揮する三井不動産ですが、汐留シティセンターはそんな三井不動産を業界内でも特に強い位置に押し上げた要因となった新しいビジネスモデルであった「ノンアセットビジネス」の金字塔の一つでもあるのです。


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監修

執筆者
束原 悠吾(Yugo Tsukahara)
経歴
上智大学法学部卒業後、三菱地所に入社し経理部で連結決算やM&Aを担当。その後Rockefeller Groupに出向し、米国でオフィスや物流施設をはじめとした不動産投資に従事。 estieではコーポレート業務とビジネスサイドのセールスやマーケティングを兼務。 趣味は家探しで、物件情報を見るのが好き。
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