リモートワークの4つの種類|導入するメリットと課題点やおすすめツール

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. リモートワークとは
  2. リモートワークの4つの種類
  3. リモートワークを導入するメリット8選
  4. リモートワーク導入する際の課題点6選
  5. リモートワークの導入に適した職種3選
  6. リモートワーク導入におすすめのツール
  7. リモートワークの導入を検討しよう

リモートワークとは

リモートワークとは、出社するのではなく、自宅やカフェなど会社から遠隔の地で働くことを意味します。インターネットが利用できるWi-Fi環境下で業務を行えば、チャットで会議をしたり、映像をつないで会議を行ったりできます。


つまり、物理的に同一の場所にいなくても、複数の人があたかも会社のデスクにいるかのようにチームで作業することを可能にしているのが、リモートワークの特徴と言えます。

テレワークとは

テレワークとは、リモートワークという言葉が生まれる前に使われていたものです。出社しなくても在宅で仕事ができるようなシステムとして広まりました。


一般社団法人日本テレワーク協会によると「テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと」と定義しています。


また、テレワークを導入すると国から助成金が出る制度があり、「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」という名称になっています。政府がこの名称を使用していることが、テレワークという言葉が定着した背景にあると言えるでしょう。


出典:働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)|厚生労働省公式サイト
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html

テレワークとリモートワークの意味の違い

政府が「働き方改革」を掲げたことから、企業は社員が働きやすい環境作りや制度を導入するようになりました。その結果、出社しなくても業務が行えるよう、IT技術の進化と共に多く取り入れるところが増加しました。


テレワークとリモートワークの意味の違いはほぼありません。どちらも遠隔地で業務を行うことに変わりがないからです。

リモートワークの現状

リモートワークは徐々に企業に浸透していまいたが、コロナの影響により一気に加速しました。緊急事態宣言中は、オフィス街の人通りも減り多くの企業がリモートワークを取り入れた働き方をしていたことが分かります。


解除後は、出社しての勤務に戻りつつありますが、リモートで業務を行うことのさらなる可能性を見込み、リモートワークを勤務体制に盛り込む企業も数多くあります。

リモートワークの4つの種類

新しい働き方としてのリモートワークは、4つの種類に分けられます。ハイブリッドリモートワーク、リモート・アウトソース、フルリモートワーク、テンポラリー・リモートワークの4つです。初めて耳にする方も多いかもしれませんので、1つずつ詳しくご紹介しましょう。

ハイブリッドリモートワーク

ハイブリッドと聞いて、ハイブリッドカーを思い浮かべる方もいるでしょう。もともとハイブリッドとはラテン語で、飼い豚と野生のイノシシの混種のことを表した言葉です。2つのものが混じり合った雑種を表しています。


ハイブリッドリモートワークは、出社日と自宅勤務日を決める働き方で限定的にリモートワークを実施することを言います。


リモートワークを導入するにあたり、コミュニケーション不足などの解消のため、ハイブリッドリモートワークを採用している企業が多くあります。

リモート・アウトソース

リモート・アウトソースとは、業務委託などの契約関係のことで。業務に応じて委託することを言います。


例えば、総務業務のアウトソーシング、フリーランスのライターや、エンジニアに委託し、自宅で作業をするのもこれにあたります。

フルリモートワーク

フルリモートワークとは、その名の通り出社せずに全ての業務を行うことを言います。身分としては正社員で、所属している企業のツールを使用し、運用方法に則って業務を行うパターンがほとんどです。

テンポラリー・リモートワーク

テンポラリーとは一時的にという意味で、テンポラリー・リモートワークは、単発で短い業務をオンライン上で行うことを言います。例えば、オンラインで会議をするのことも含まれます。


従って、育児休業中や介護休業中などの間でも取り入れることができる方法でしょう。

リモートワークを導入するメリット8選

リモートワークとは何か、リモートワークの種類についてご紹介しました。


ここからは、リモートワークを導入するメリットについてご紹介します。リモートワークを導入することで、今自社が抱えている色々な問題を解決できるでしょう。

1:人材不足の解消

出勤することが当たり前の働き方から、リモートワークを導入することは人材不足解消の切り札になるでしょう。


様々な事情から、出社が基本という働き方が難しい方にとって、リモートワークを導入している会社は大変魅力的だからです。リモートワークを取り入れることは、企業にとっても働く側にとっても大きなメリットがあると言えます。

2:仕事に対するモチベーションが向上

リモートワークで業務することで、仕事に対するモチベーションが向上するケースもあります。例えば、自宅で業務を行っていればリモートワークの休憩時間に、周りの目を気にすることなくエクササイズをしたり、自己啓発の時間に当てたりすることができます。


また、ノートパソコンを持ってWi-Fi環境があるカフェなどで業務を行うなど、その日の気分によって業務する場所を変えることも可能です。


このように、個人の気持ちや状態に合わせて働く環境を変えて、業務ができるリモートワークは結果として従業員のモチベーションを上げ、生産性を上げられる期待ができます。

3:通勤費の削減

リモートワークを導入すれば、必然的に出社のための通勤手当を出す必要がなくなるので、通勤費の削減につながります。特に東京など都心は家賃が高く、少し離れたベッドタウンから通っている労働者も多いため、通勤費の削減は大きいでしょう。

4:企業のランニングコスト・経費の削減

リモートワークを導入すれば、オフィスの光熱費、デスクや椅子などの備品の費用削減ができますし、パソコンやスマホでのやりとりが増えるのでペーパーレス化できます。


そのため、書類として印刷することが減るので用紙やインク代の削減にもつながり、企業として経費削減が実現できます。

5:離職率の低下

出産や育児、介護などで仕事を続けたいけれど「定時に出勤・退社が難しい」「子供の体調不良などで休んだり、早退したりすることで同僚に迷惑をかけてしまう」という理由で、やむなく退職を選ぶ女性社員は数多くいます。


しかし、リモートワークを選択できるのであれば離職することなく、働き方を変えて継続勤務することを可能にできるでしょう。その時々のプライベートの状況に合わせて働き方を変えることができれば、離職率が低下するのは言うまでもありません。

6:生産性の向上

「仕事に対するモチベーションの向上」でも紹介しましたが、リモートワークで業務を行うことで、労働者一人ひとりのモチベーションが上がり、意欲的に仕事に取り組めるため生産性が上がります。


また、オフィスで仕事をしていると、不要な会議や電話対応で業務が滞ってしまうことがありますが、リモートワークではそれがなくなるので、必然的に生産性が向上します。

7:従業員のストレスの軽減

リモートワークの導入で、従業員のストレス軽減につながります。通勤時間の長さや混雑、電車の遅延などでストレスがたまることはよくあります。通勤に関しては、天候などで左右されることも多いでしょう。


しかし、通勤がなくなることで、感じていたストレスもなくり、スムーズに業務に取り組むことができます。また、通勤時間をプライベートの時間に当られるので、ライフワークバランスも整えられます。

8:優秀な人材の確保

リモートワークという業務形態をとれば、全国から優秀な人材を確保できます。出社が基本の企業に入社を希望する場合、自宅から通える場所もしくは、会社近くに住むことが前提条件のところが多くありました。


しかし、業務がリモートワークであれば居住場所は関係ありません。通勤圏内でないからという理由で入社希望を出せなかった、様々なスキルを持った優秀な人材が集まってくる可能性があるのです。

リモートワーク導入する際の課題点6選

リモートワークのメリットを8つご紹介しましたが、その一方で取り組まなければならない課題もあります。


この課題点をクリアできるように取り組むことで、良い面が高まるため、導入を検討している企業があれば課題点も併せて考えると良いでしょう。それでは、課題点を6つご紹介します。

1:労働時間の管理

リモートワークは出勤・退勤時にタイムカードを押したり、上司が出社してきた部下を確認したりしないので、別の方法で労働時間の管理する必要があります。出勤・退勤時にメールを送信する、アプリを利用するなどの工夫が必要です。


リモートワークは、管理しないとキリなく仕事をしてしまう場合があるため、時間の管理は重要なポイントです。

2:就業規則の見直し

リモートワークを導入するにあたり、就業規則の見直しが発生する場合があります。例えば、出社して業務をする場合にはかからない通信費や照明などの光熱費の負担が、リモートワークになることで労働者にかかる場合や、就業時間のフレックス制の記載がない場合などです。


出典:フレックスタイム制の見直し|厚生労働省pdf
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

3:勤怠評価

リモートワークになると、勤怠の評価も難しくなります。出社して顔を合わせて仕事をしていれば、個々人の仕事への取り組み方や成果をリアルタイムで見て評価できますが、リモートワークでは、結果で全てを判断しがちになります。

4:セキュリティの対策

リモートワークにはつきものであるパソコンなどの通信機器ですが、会社の情報はもちろん、個人情報など漏洩しないように、また、ウイルスが入り込んでデータが消えてしまうことがないようセキュリティ対策を講じる必要があります。


セキュリテイ対策にはそれなりの費用がかかること、従業員に対してセキュリティに関する研修も実施する必要があることも念頭に置きましょう。

5:リモートワークの環境作り

リモートワークを導入するには、ネットワーク技術によるITシステムが必要です。ネットワーク技術を利用して職場のシステムを構築するには費用がかかりますし、継続利用するためには運用・保守などの費用もかかります。

6:研修・教育の仕組みの整備

新入社員に対する研修や教育の仕組みの整備がリモートワークでは特に重要です。同じ空間で顔を合わせ、お互いコミュニケーションを取りながら行うことで進めるのが基本である、これら2つの仕組みをリモートでも整備することが大切です。

リモートワークの導入に適した職種3選

リモートワークのメリットと課題点についてご紹介しましたが、「導入を検討したいけど、自分の会社で上手く機能するか不安だ」という声もあるでしょう。


リモートワークの導入に適した職種が3種類あります。リアルなコミュニケーションが必要ない職種、明確な成果物がある職種、場所の制約がない職種の3つです。それでは、それぞれ導入に適している理由についてご説明します。

1:リアルなコミュニケーションが必要ない職種

リモートワークには、同一の場所で顔を合わせてコミュニケーションを取らなくても良い職種が適しています。メールやチャット機能でコミュニケーションを取れれば、業務が進む職種ということです。


会社全体でリモートワークを取り入れることは難しいですが、部門によってはリアルなコミュニケーションをあまり必要としないところがあるでしょう。その部門にリモートワークを取り入れると上手くいきます。

2:明確な成果物がある職種

リモートワークの課題点に評価のしづらさがありますが、明確な成果物のある職種の場合その課題は解決します。処理した仕事量がはっきりとわかる業務内容、例えば、経理や事務職はリモートワークに向いています。


また、プログラマーやエンジニア、ライターなども依頼されたものの品質によって評価できるので、リモートワークに向いているでしょう。

3:場所の制約がない職種

店舗での販売業務などのサービス業やインフラ整備をするエンジニアなど、その場にいないと業務が行えない職種ではなく、どこでもその業務が行える職種には、リモートワークは適しています。


インターネット環境が整っており、セキュリティ対策が取られていれば、場所の制約がない職種であればリモートワークを取り入れると上手くいくでしょう。

リモートワーク導入におすすめのツール

リモートワークについてご説明しましたが、ここではリモートワークを導入する際、入れておくと便利なおすすめのツールについてご紹介します。それぞれの特徴や使い方について知っていただき、選ぶ際の参考にしてみてください。

Chatwork

Chatworkは、1対1でもグループでもチャットが可能なコミュニケーションツールです。メッセージやファイルの送信は暗号化されるため安心ですし、ビデオ通話でお互いの顔を見ながらやりとりもできるので大変便利です。


また、基本機能については無料で利用可能です。ストレージ制限をなくすためのアップグレードは有料で用意されています。Chatworkを導入している企業は、大・小問わず約24万以上という高い実績があるのでおすすめです。

Zoom

Zoomは、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットなどで利用するコミュニケーションツールです。ほとんどのOSに対応していることも特徴で、無料版と有料版があります。


全世界でおよそ75万人以上が利用しており、ビジネスに最適化されたツールとして人気を集めています。


オンライン研修やWeb会議などの記録を残すことも可能で、反復学習や議事録の保存もできるのでおすすめです。

Dropbox Business

Dropbox Businessは、複数のメンバーで利用することを前提に作られ、パソコン、モバイルデバイスなどからアクセスし共同作業できるツールです。登録したメンバーの活動を記録できるので、いつでも確認することが可能です。


また、SlackやZoomといったコミュニケーションツールをそのまま利用することができます。無料トライアル期間以降は、有料となっています。

kintone

kintoneとは、iPhoneやiPadなどを開発したApple社がリリースしているプレゼンテーションソフトです。機能はシンプルですが、アニメーションに特化しており、操作がわかりやすいのが特徴です。無料で利用できるところもおすすめポイントです。

Remmoty

Remmotyは、あたかもオフィスにいるかのような環境を作り出すバーチャルオフィスツールです。基本的にはパソコンのブラウザで使用します。実際にオフィスにいて作業する際の、周りの人の声が聞こえたり、雑談したりなどがリモートワークでも可能になります。


会議を開く際も、煩わしいやりとりをすることなくワンクリックででき、入退出の記録も残るので勤怠管理にも活用できます。

Basecamp

Basecampは、オンラインプロジェクトツールで、主にチームで行うタスク管理ができるツールです。パソコンやスマートフォンなどから利用することが可能です。


無料で利用できるトライアル期間を設けているのですが、それ以外は料金がかかるので注意が必要です。

リモートワークの導入を検討しよう

リモートワークのメリットや課題、おすすめのツールを知ることで導入の検討を前向きにとらえることができたのではないでしょうか。


優秀な人材の確保、離職率の低下をもたらしてくれるリモートワークは、現代の働き方の選択肢の1つになっています。あなたの会社にとってもメリットが大きいリモートワークの導入を、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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