事務所レイアウトの基本パターン7つ|変更手順ステップや注意点も紹介

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. 事務所レイアウトの重要性とは?
  2. 事務所レイアウトの基準寸法6つ
  3. 事務所レイアウトの基本パターン7つ
  4. 事務所レイアウトの変更手順7ステップ
  5. 事務所レイアウトを考える際の注意点4つ
  6. 自分たちの働き方をふまえて事務所レイアウトを変更しよう

事務所レイアウトの重要性とは?

事務所が快適な空間であってほしいと誰もが考えるでしょう。そのために重要なのは、事務所レイアウトにこだわることです。


動線やゾーニングを上手く配置することで働きやすさが向上します。つまり、事務所の環境が快適であることで従業員の生産性が向上しモチベーションアップにつながる可能性が高まります。


このように、レイアウトの変更は生産性を高める意味でも重要であるといえるでしょう。

事務所レイアウトの基準寸法6つ

事務所レイアウトで忘れてはならない点が基準寸法です。


基準寸法とは、人の安全と心身の健康を守るため、デスク間や人がすれ違う通路幅の基準となる寸法で、法律によって定められています。事務所レイアウトは基準寸法をもとに決めていきます。


では、基準寸法にはどのようなものがあるのでしょうか。基準寸法6つを見ていきましょう。

事務所レイアウトの基準寸法1:通路幅スペース

基準寸法1つ目は通路幅スペースです。


JOIFA(日本オフィス家具協会)では、日本人の成人の標準的な寸法は約50cmとされており、そこから通路幅の基準寸法は1人が通行する通路幅は60cm以上、2人がすれ違う通路幅は120cm以上とされています。


事務所レイアウトを検討する際、通路幅のスペースを基準にするといいでしょう。

事務所レイアウトの基準寸法2:デスクと通路のスペース

基準寸法2つ目は、デスクと通路のスペースです。デスクの後ろに通路を設置する場合、余裕を持ってスペースを取るようにしましょう。


狭い通路幅で人がよく通る場所や出入口が近い場合、人が通るたびにストレスを感じるようになります。デスクの後ろに通路を設ける場合は、180cm以上のスペースを設けましょう。

事務所レイアウトの基準寸法3:デスクと壁のスペース

基準寸法3つ目は、デスクと壁のスペースです。デスクと壁の通路幅は、壁面をデスクのサイドに設けるか背後に設けるかで変わります。


サイドに壁を設ける場合、人が2人すれ違える120cm以上の幅を取るようにします。背後に壁を設ける場合、120cmでも十分ではありますが、椅子を動かすことも考え140cm以上幅を取るようにするといいでしょう。


デスクと壁のスペースは、どこに設置するかで幅を変えましょう。

事務所レイアウトの基準寸法4:デスクとデスクのスペース

基準寸法4つ目は、デスクとデスクのスペースです。デスク間のスペースを作る場合は配置によって幅が変わります。


デスク同士を横並びにする場合、一般的に90cm以上あればいいのですが、余裕を持って120cm以上の幅にすることが理想です。また、背中合わせに配置する場合は、椅子の可動域を考慮して180cm以上の幅を取りましょう。


このように、デスク間のスペースは配置によって幅を変えましょう。

事務所レイアウトの基準寸法5:コピー機と壁のスペース

基準寸法5つ目は、コピー機と壁のスペースです。コピー機をデスクのどの面に設置するかで幅は変わります。


コピー機をデスクのサイドに設ける場合、コピー機で作業するスペースを考慮して105cm~120cm程スペースがあれば困ることはありません。


しかし、デスクの背後に設ける場合は、作業スペースに加えて、通路やデスクに着席している人のスペースも考え140cm以上のスペースを確保しましょう。

事務所レイアウトの基準寸法6:会議テーブルと壁のスペース

基準寸法6つ目は、会議テーブルと壁のスペースです。会議室に会議テーブルを設置する際、壁とのスペースはどれくらいあればいいのでしょう。


会議室の場合、通路を人が頻繁に通ることはないため、会議テーブルと壁の間にそれほどスペースをとる必要はありません。そのため、人が1人通れるスペース60cm以上の幅を確保できれば十分だといえるでしょう。

事務所レイアウトの基本パターン7つ

事務所のレイアウトを考える際、どのようにデスクを配置すれば従業員が働きやすい環境になるのか悩む方も多いでしょう。デスクの配置は、この形がよいと一概に言えるわけではなく、企業の業務形態などにより最適な配置は異なります。


デスクの配置にはどのようなタイプがあるのか、それぞれの特徴などを見ていきましょう。

事務所レイアウトのパターン1:対向型配置

事務所レイアウトのパターン1つ目は、対向型配置です。


対向型の配置はデスクをお互いに向き合わせた形のレイアウトで、部署ごとなどチーム単位で動く場合に向いているレイアウトです。そのため、人事や経理など固定席で行う業務に適した配置です。


デスクが固まっているため、部署内のコミュニケーションを取りやすいメリットがありますが、他部署とのコミュニケーションは取りにくいデメリットもあります。

事務所レイアウトのパターン2:同向型配置

事務所レイアウトのパターン2つ目は、同向型配置です。


同向型配置はデスクが一方向を向いた配置で「スクール型」や「並列型」とも呼ばれるレイアウトです。システムエンジニアなど集中力を要する職種や、銀行などお客様との会話に集中する業務に向いているタイプといえます。


同向型レイアウトは、作業に集中しやすいメリットがある反面、通路でスペースが取られて
しまうデメリットもあります。

事務所レイアウトのパターン3:背面型配置

事務所レイアウトのパターン3つ目は、背面型配置です。


背面型は、背中合わせにデスクを配置したレイアウトで、集中力もコミュニケーションも両立した配置にしたいという業務に向いています。


背面型の配置は、チームでの仕事を進めやすい上に集中力を保つことができるメリットがありますが、コミュニケーションを取る人が決まりがちというデメリットもあります。

事務所レイアウトのパターン4:フリーアドレス型配置

事務所レイアウトのパターン4つ目は、フリーアドレス型配置です。


フリーアドレス型の配置は固定席ではなく、働く人が自由に席を選ぶことで業務に合わせた働き方ができるという特徴を持つレイアウトです。


自由な席で業務することで、他部署の人とのコミュニケーションも活発になりますが、自由であるが故にどこに誰がいるのか把握しづらいというデメリットもあります。

事務所レイアウトのパターン5:ブース型配置

事務所レイアウトのパターン5つ目は、ブース型配置です。


ブース型配置は、デスク周りをパーティションなどで囲うことで、小部屋のようにブースを作るレイアウトですパーティションなどで囲われることによって作業に集中できるので、高い集中力が必要な個々で作業する職種に適した配置です。


パーティションの高低でレイアウトの調整もしやすい反面、ブースで覆うことで空間の効率は低下してしまいます。

事務所レイアウトのパターン6:クラスター型配置

事務所レイアウトのパターン6つ目は、クラスター型配置です。


クラスター型は中央に収納棚を設置し、収納棚と直角になるようデスクを左右対称に組み合わせることで個室のように配置するレイアウトです。カタログなど資料の保管が必須となる業種におすすめの配置だと言えます。


収納スペースの増加や、密集を防ぐことができるメリットがありますが、スペースの効率は良くなく、配線をまとめにくいデメリットもあります。

事務所レイアウトのパターン7:ベンゼン型配置

事務所レイアウトのパターン7つ目は、ベンゼン型配置です。


ベンゼン型は、ダブルY字型のデスクを組み合わせて設置するレイアウトで、配置が亀の甲羅に似ていることからこのように呼ばれています。ワークスペースが広くとれるので、固定席での業務で大型モニターなどを使う職種に適したレイアウトです。


クリエイティブで独創性があるレイアウトですが、人員の収容は低いデメリットがあります。

事務所レイアウトの変更手順7ステップ

事務所のレイアウト変更は、どのような流れで行えばいいのでしょうか。事務所のレイアウト変更は、きちんと手順を踏まえければ上手く行うことはできません。


事務所レイアウトの変更手順を見ていきましょう。

事務所レイアウトの変更手順1:コンセプトを決める

変更手順1つ目は、コンセプトを決めることです。基本のコンセプトを明確に決めることは、事務所レイアウトする上で重要です。


基本のコンセプトを明確にしていなければ、オフィス家具のサイズや配置に迷ったり、扉の開閉方向などを考えずに落とし込んでしまうなど、今後のレイアウトに支障をきたすことになります。


コンセプトは、事務所レイアウトの軸になるので明確にさせましょう。

事務所レイアウトの変更手順2:業務の特徴を考えてレイアウトパターンを選ぶ

変更手順2つ目は、業務の特徴を考えてレイアウトパターンを選ぶことです。


内勤者が多い会社と外勤者が多い会社では、従業員の働きやすさを考えた上で事務所のレイアウトが変わります。内勤者が多いにもかかわらず、フリーアドレスを導入したいからとフリーアドレス型に配置すると、結果的に働きにくい環境を作ってしまうことになります。


業務の特徴を踏まえた上で、レイアウトしましょう。

事務所レイアウトの変更手順3:各部屋の面積配分を考える

変更手順3つ目は、各部屋の面積配分を考えることです。目安となる執務室などの面積を計算しましょう。


執務室の面積比率の目安は、事務所の全体面積の5~6割くらいになるようにし、その後、各スペースの面積配分を考えます。


ただし、自社の業務状態によって配分は変わってきます。来客が多い会社とそうではない会社で来客スペースと執務室の割合が全く異なるように、業務形態を考慮し配分しましょう。

事務所レイアウトの変更手順4:ゾーニングと動線計画をする

変更手順4つ目は、ゾーニングと動線計画をすることです。ゾーニングを行うことで、レイアウトの大体の枠組みが決まります。


ゾーニングを行う上で大切なのは、コンセプトとスペースごとの目的や用途を考慮することです。執務室はどこに配置するのかなど、面積配分とコンセプトをもとにゾーニングを行いきましょう。その上で、オフィスでの働きやすさや動きやすさを考慮した動線を追加していきます。

事務所レイアウトの変更手順5:図面化して寸法や動線を確認する

変更手順5つ目は、図面化して寸法や動線を確認することです。


図面化はゾーニングで決めたレイアウトを、実際に図面に起こすことで、寸法や動線などレイアウトに問題がないか確認しましょう。また、オフィス家具も図面に落としこみ、設置や動線のほか使用感にも問題がないかを確認します。


図面上でシミュレートすることで、実際に使用できるのか快適に使える事務所なのかを見ていきましょう。

事務所レイアウトの変更手順6:備品の廃棄や準備をする

変更手順6つ目は、備品の廃棄や準備をすることです。


既存のオフィス家具の中で使わないものは廃棄し、新しく設置するものを用意しましょう。その際、大きい家具から準備するようにします。先に小さいものを準備してしまえば、大きいものが入らないなどのトラブルが起こる可能性があるため、大きい家具から準備しましょう。

事務所レイアウトの変更手順7:電話線などの配線を整える

変更手順7つ目は、電話線などの配線を整えることです。


電話線などの配線は、事務所レイアウトをもとに整えていきます。業務に支障が出ないような配線になっているのかなどを考慮して業者に依頼しましょう。


電話線などの配線は業者に依頼することを踏まえ、余裕をもって依頼することが大切です。業務開始後すぐに必要になるため、早めに対応するようにしましょう。

事務所レイアウトを考える際の注意点4つ

事務所レイアウトを決めていく際、忘れてはいけないこともいくつかあります。その中には、オフィスの快適性にとどまらず、人の命に関わることもあります。


事務所レイアウトを決める際の注意点3つを見ていきましょう。

事務所レイアウトの注意点1:それぞれの法令をおさえる

注意点1つ目は、それぞれの法令をおさえることです。


自社のオフィスだから好きにデザインすればいいというわけではありません。事務所のレイアウト変更する場合、建築基準法や消防法、労働安全衛生法など遵守しなければならない法律がいくつもあります。


排煙設備の設置など、人の命に関わる法律もあります。事務所の使い勝手やデザイン性だけを優先させず、しっかりと法令を把握してレイアウトしましょう。

事務所レイアウトの注意点2:共用設備は一カ所にまとめて保管する

注意点2つ目は、共用設備は一カ所にまとめて保管することです。


コピー機や収納など従業員全てが使う共用設備は、一カ所にまとめることでどの部署の人も快適に使うことができます。共有設備をバラバラに設置してしまうと、無駄な移動をしなければなりません。


快適な職場環境に配慮するためにも、共用設備は一カ所にまとめて保管しましょう。

事務所レイアウトの注意点3:使用率が低いものも持ち出しやすい場所に保管する

注意点3つ目は、使用率が低いものも持ち出しやすい場所に保管することです。


使用率が低いものの1つに防災グッズがあります。災害が起きたとき、防災グッズが取り出しにくい場所に保管してあったり、すぐに取り出せない場所に保管してあれば命に関わることになります。


災害はいつ発生するのか、誰も予測できません。使用率が低くいものでも、素早く持ち出せる場所に保管しましょう。

事務所レイアウトの注意点4:プライバシーに配慮した配置にする

注意点4つ目は、プライバシーの配慮した配置にすることです。


来客スペースが執務室を通らなければ行けない、狭いオフィスの場合お手洗いの配置が気になるなど、プライバシーに配慮のない配置をしてしまえば、快適なオフィス環境とはいえません。


プライバシーに関わる場所はパネルで目隠しする、スペースを分けるなどして、プライバシーに配慮して配置しましょう。

自分たちの働き方をふまえて事務所レイアウトを変更しよう

事務所レイアウトについて見ていきました。


事務所のレイアウト変更は、法律や働き方などさまざまな観点から決めることで、従業員が快適に業務をこなす空間を作ることができます。自社の業務形態やオフィスの広さなどを考慮し、自分たちの働き方にピッタリなレイアウトを作りましょう。

監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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