オフィス移転の流れ【第3回】スケジュール・計画作成のコツ

田中 陸(Riku Tanaka)

目次

  1. 所用時間を逆算する
  2. 新オフィスのレイアウト策定
  3. 移転先物件の選定
  4. 引越し業者の選定
  5. 各種届出
  6. 内装工事
  7. 原状回復工事
  8. しっかりしたスケジュール作成のコツ

本記事シリーズでは、オフィスの移転について大まかな流れから各フェーズの具体的業務の洗い出し、コスト感やスケジュール、各種申請になどについて特に繁雑な部分については掘り下げる形で複数回にわたって解説していきます。

今回は実際にオフィスの移転を行うにあたって、どのようなスケジュール感で行うのが最適か、どのような視点で計画を策定すればスムーズにオフィス移転を行うことができるのかというコツを、規模が大きいオフィス(100坪以上)・小さいオフィス(100坪以下)のような視点から解説していきます。

所用時間を逆算する

本記事シリーズの第一回投稿記事では、オフィス移転の大まかな流れを、移転までのタイムラインに整理しこのくらいの時期は何をしているのか?ということを解説しました。

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今回はオフィスの移転について大まかな流れから各フェーズの具体的業務の洗い出し、コスト感やスケジュール、各種申請になどについて特に繁雑な部分については掘り下げる形で複数回にわたって解説していきます。

当該記事では大まかに6ヶ月を一つの所要時間の目安として設定しましたが、これはあくまで目安であり、オフィス移転のために必要な時間というのはオフィス移転が何を目的とするのか?予算はいくらあるのか?オフィスの規模はどの程度なのか?といったことで大きく左右します。

加えて企業というものは当然決算期などの繁忙期が一年の中で定期的に存在するため、オフィスの移転スケジュールが前後することは当然業務にも多大な影響を与えてしまうことになります。

そこで、オフィス移転のスケジュールえお作成する際には、「何に重きをおくか」ということを軸に、自分のオフィスの移転にはどの程度の時間が必要なのかということを逆算することが非常に効率的かつ上手なスケジュール管理のコツです。

例えば新オフィスの内装に凝りたいのであれば、内装工事業者の選定に長く時間を取る必要がありますし、簡素なオフィスよりも当然工事期間は長くなります。 そういった「オフィス移転において重きを置くのか」ということをうまく整理しておくことでスケジュールをコントロールしましょう。

本記事ではオフィス移転におけるToDoは、それぞれどの程度の所要時間がかかるのかということを解説していきます。


新オフィスのレイアウト策定


︎所用期間

小規模オフィス:1ヶ月〜2ヶ月

大規模オフィス:3ヶ月〜4ヶ月

オフィスを移転するにあたり、わかりやすい変化の一つとなるのがオフィスのレイアウトやコンセプト、内装の部分です。 オフィス移転の足がかりとなるこれらの策定フェーズですが、コンサルなどに移転業務を委託したりしない限りは、基本的にこのフェーズには社外のスケジュールが組み込まれないかつ、まだ先の具体的な日取りがなにも固まっていない柔らかな状況ですので、事業主側がコンセプトに力を入れ独自で策定するのか、それともスケジュールの短縮重視でパッケージで検討するのかによって幅広く変化します。

規模が大きい企業であればあるほど、現状オフィスの抱える問題を解消するために移転先物件で何を取り入れれば良いのか、どの程度の規模が適正なのか、どういったオフィスレイアウトが社内組織の形態にあっているのかという検討に長い時間を要するため3ヶ月程度の時間を見込むべきでしょう。

敢えて上記に目安の必要期間は記載しましたが、逆に言えばこのフェーズは事業者マターで長く検討時間を設けることもできますし、新オフィスのコンセプトやレイアウトが確固としたものがあれなば、このフェーズの期間は短くすることもできますね。

おしゃれなオフィスもまとめているので、レイアウトの策定の参考にしてみてください。

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移転先物件の選定

所用期間

小規模オフィス:3ヶ月〜4ヶ月

大規模オフィス:5ヶ月〜6ヶ月

オフィス移転の醍醐味・本質とも言える重要な移転先物件の選定には、十分な期間を設けて行いましょう。 物件選定は賃料条件等も確定する作業のため、敷金のようなイニシャルコストだけではなく、契約期間中発生し続けるランニングコストにも大きく影響するためできるだけ時間をかけて好条件の物件を見つけることをお勧めします。

物件の選定には立地条件や賃料条件などのの設定や、不動産仲介業者からの紹介情報で判断するだけではなく、めぼしい物件については周辺環境の下見や、仲介業者に申し入れをして内見を行いしっかりと物件の雰囲気を調査するような期間も十分に確保するようにしましょう。

不動産物件は実際の現地調査でしかわからない事も多く、特に騒音環境や日当たり、電波環境や匂いなど、後々の満足度に直結する部分も多くあります。

実際に契約を行うにあたっても、賃貸条件の確認や必要書類の準備、リーガルチェックや入居審査等にもそれなりの期間を要することを頭に入れておかなくてはいけません。

引越し業者の選定

所用期間

小規模オフィス:1ヶ月程度

大規模オフィス:1ヶ月程度

移転先オフィスのレイアウトと内装イメージがが決まり、持ち出す荷物が固まったら、引越し業者の選定に移ります。引越し業者の選定にあたっては複数業者に無料で見積もりを依頼し、サービス内容やコストを比較した上で特定業者への発注を行えば、無駄な出費を抑えることが可能ですが、見積もりの依頼に必要な書類の準備や、見積もりの算定期間を見込むことが必要です。

より詳細な見積もりを算出してもらうためにも、搬入出時の書く荷物の取り扱いなどをできる限り具体的にし、実費とのギャップやスケジュールアウトのリスクを最小限抑えるようにしましょう。

各種届出

所用期間

小規模オフィス:2ヶ月〜3ヶ月

大規模オフィス:2ヶ月〜3ヶ月

オフィス移転において最も煩雑と言える業務の一つである各所に対する届出ですが、この各種届出にはそれぞれの提出先ごとにことなった提出期限があるため、特に注意が必要です。後々問題にならないようにしっかりと下記を確認しておきましょう。

※下記の書類は一部の要提出書類であり、事業主の状況等により追加で届出る必要のあるものがありますのでご注意ください

・本店(支店)移転登記

 法務局に対し移転日から2週間以内

・移動届出書

 新旧の納税地所管の税務署に対し、移転後遅滞なく

・給与支払事業所等の開設・移転・廃止届出書

 新旧の納税地所管の税務署に対し、移転後1ヶ月以内

・移動届出書

 新旧の納税地所管の税務署に対し提出、自治体により期限が異なる

・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地名称変更(訂正)届

 旧社会保障事務所に対し提出、移転日から5日以内

・労働保険名称、所在地等変更届

 労働監督基準事務所に提出、変更日翌日から10日以内

・労働保険関係成立届 ※他の都道府県に移転する場合

 労働監督基準事務所に提出、変更日翌日から10日以内

・労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書 ※他の都道府県に移転する場合

 労働監督基準事務所に提出、変更日翌日から10日以内

・雇用保険事業主事業所各種変更届

 公共職業安定所に対し提出、変更日翌日から10日以内

※企業ごとの届出必要書類は上記以外にも発生することがあるので、しっかりと確認しましょう!

内装工事

所用期間

小規模オフィス:1ヶ月〜3ヶ月

大規模オフィス:3ヶ月〜5ヶ月

内装工事の後期は、一般的な小規模オフィスでは約2、3ヶ月が相場と言われています、規模によって後期が長くなるのは当然のことですが、移転先オフィスの現状回復状況などによっても工期は前後してきます。

加えて新オフィスに新たに持ち込む家具や什器などのものを発注している場合にはその納期が長くなれば当然工期にも影響があることを考慮しなくてはなりませんね。 内装工事の工期については事業主の意向が大きく関わってきます。

新オフィスのデザインに凝りたい場合は当然に工事費に加え工期も長くなりますし、簡素なもので十分あれば比較的工期を短縮させることができます。

移転先オフィスのレイアウトやコンセプトを前もってしっかりと固めておくことで内装工事の工期を把握することができ、スケジュールのコントロースが可能になるフェーズです。

原状回復工事

所用期間

小規模オフィス:1ヶ月〜2ヶ月

大規模オフィス:2ヶ月〜3ヶ月

原状回復工事は着工前の工事範囲確認期間などの期間も含めると、工事完了までにおおよそ1ヶ月程度は見込んでおくことが重要です。 原状回復工事の期間は原状回復の条件によって大きく左右します。例えばスケルトン渡しでOKであれば工事はひかくてき工期は短くなりますが、内装仕上げ渡しが条件となる場合では、一度スケルトン状態に戻してから内装工事にとりかかるので、工事期間のみで1ヶ月以上かかる場合もあります。

また、一般的に店舗やオフィスについては既存オフィスの契約期間中に原状回復工事を行いますが、物件によっては現状回復のタイミングが異なる場合もありますので、既存契約内容はよくチェックをし、オーナーと十分に協議をするようにしましょう。

しっかりしたスケジュール作成のコツ

上記に書いたオフィスいてんにおける書くToDoとその期間は一部ですが、オフィス移転ToDoの必要期間にはそれぞれ自由度が高いものと、行政にて取り決められているため地形主側の都合で調整がつきづらいですね。

オフィス移転のうまいスケジュール管理には、この「スケジュールの自由度の高いタスク」にかかる期間をいかにしっかり見込み、予測し、実際に実行となった時にスケジュールアウトしないようにコントロールするかが非常に重要です。

特にオフィスのコンセプト決めや内装工事業者の選定、物件探し等はスケジュールの自由度は高いですが、移転計画と今後の業務にも大きく影響が出るため、なるべく余裕を見たスケジュールを組むことが望ましいですね。


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監修

執筆者
田中 陸(Riku Tanaka)
経歴
東京大学経済学部卒業後、住友不動産入社。オフィスビルのアセットマネジメントを担当し、海外事業部にて世界主要都市の市場調査や投資検討に従事。 estieでは、セールスマネージャーとして営業や事業開発を手がける。 ベンチャー感を出すため、ヒゲと伊達眼鏡をトレードマークにしている。
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