居抜きオフィスについて

  • オフィス移転お役立ち
  • 2020/05/26

estieのコラムでは以前より、オフィスの移転におけるノウハウ・あれこれや実務的なステップ、メリット・デメリットなどをシリーズで解説してきました。

オフィス移転にはさまざまなメリットが存在し、例えば環境の変化による社員の均分転換になったり、それまでいたオフィスよりも空調が快適であったり、照明などの設備がより高スペックな物件に移れば、オフィスワーカーが快適に作業をすることができます。

昨今の状況では在宅ワーカーが爆発的に増え、今後のオフィスの在り方が大幅に変わることが予想されますが、多くの企業が今後在宅ワークやテレワークの合理性を認め、よりありふれたものになっていくことを考えると、そもそもこれまでの「一人一席が用意されているオフィス」は常識で無くなる可能性も大いにあり、そうなれば現状のオフィスからサイズが小さいオフィスに移転し、賃料コストを削減するということはランニングコストのコントロールという観点で企業経営に大きなメリットを発生させるかもしれません。

そういう意味で、現在はオフィス移転を考えている企業がかなり多いのではないでしょうか。

いざオフィス移転でメリットを享受しよう!となった場合、そのメリットを享受するためには移転にかかるコストの計算がマストになってきますが、これについても以前解説をした通り、意外にもオフィス移転には多くのコストがかかります。なかなか各種申請や業者の手配なども煩雑で、人工コストを考えると意外とメリットが少ないかも、、、?という印象を抱く企業も少なくないでしょう。なるべく移転に際する初期費用は抑えられるところで抑え、オフィス移転におけるメリットを最大化させたいところですが、そういった「節約」という点で大きな可能性を持っているのが今回解説する「居抜き物件」へのオフィス移転です。簡単に言えば現状回復されていないオフィスに移転をし、以前入居していた企業が利用していたレイアウトなどをそのまま流用することですが、この居抜き物件にはさまざまなメリットがあります。

居抜き物件とは?

居抜きとは前のテナントの造作や専有部内レイアウト、時には什器等を引き継ぎそのまま使用することを前提とした募集物件の事です。従前は主に飲食店などでは一般的に認知のある形態の物件でしたが、最近ではオフィス物件でもこのような居抜きの状態での募集をかけているものが出始めるようになりました。

例えば飲食店舗で言えば、とあるラーメン屋さんが閉店後、次もラーメン屋さんのテナントが入居することが決定していたとします。すると、本来であれば退去テナントには原状回復の義務が発生しますが、次も同じラーメン屋なのであれば、スケルトン(何もない状態)に戻すよりもラーメン屋の造作を残してしまえば退去側も工事費が浮きますし、新規入居テナントも設備投資がかからずWIN-WINというもの。特に飲食を想定した区画については流行り廃りが非常に激しく、流行らないとすぐお店を閉め、また新たなテナント、というケースも多く、スケルトンに戻す費用も馬鹿になりません。そのため、貸主としても既存の造作を廃棄するための費用負担をするよりもその造作を残し、似たような業態で次テナントを探索するために原状回復の義務を免除するというケースもみられます。

今回はオフィスの話ですが、オフィスの居抜き物件が市場に良く出回り始めたのはここ数年の事です。説明のとおり従前のテナントの内装や設備をそのまま流用し入居できるという点で、入居テナント側にも、新規テナント側にも大きなメリットがある居抜き物件ですが、なぜオフィスの居抜き物件はここ最近まではあまり一般的でなかったのでしょうか?

実はオフィスの居抜き物件は飲食店舗の居抜き物件に比べ、貸主側のメリットが少ないことが多いのです。そもそも論として、一般的な建物賃貸借契約では、貸主はテナントから6~12か月分程度の敷金を納入してもらっているケースが殆どで、大方の場合は契約書上でも原状回復義務については担保する場合が多いのです。交渉によっては原状回復工事を敷金の放棄によって免除することなどもありますが、つまるところ、契約上敷金と原状回復はトレードオフの様な形になっている、つまり居室が居抜きで返還されようが、現状回復されスケルトンで返還されようが貸主にとっては特段大きなメリット・デメリットによる差はなく、空室区間のメンテナンスの簡易さや、後貸しの用途変更の点から見れば、オフィスに関してはむしろ原状回復してもらう方のメリットが大きいと言えるためです。

それでも昨今、飲食店や店舗に比べるとまだ少ないものの居抜きオフィスが出てくるようになった理由としては、オフィス賃料の高騰によって賃料を払いきれなくなり、オフィスを退去せざるを得なくなる不況の企業が増えてきているという状況があるためです。そういったテナントが原状回復をできずに退去する例も増える一方で、そのようなテナントが少しでも移転経費の節減をしようという動きも多く見えるようになり、居抜きオフィスは需要・供給とも高まりを見せ、徐々に認知度を高めています。居抜きという形で退去すれば廃棄する什器や家具、備品が減る、または壁や床をはがすといった大規模な原状回復工事が必要なくなり、環境に優しい退去が実現できるということで、退去する側、入居する側の需要と供給のバランスが合うようになったことも居抜きオフィスが出るようになった理由の一つです。

居抜き物件のメリット・デメリット

新たな“良コスパオフィス”としてその認知度高める居抜き物件ですが、居抜き物件の最大の特徴である「初期投資の削減」というポイントが、今後自らの執務環境にどのような影響を与えるかをしっかりと把握し、賃貸後のランニングコストも考慮して居抜き物件を利用するか否かかの判断をしていかなくてはなりません。

居抜き物件のメリット

施工コストの削減

冒頭より居抜き物件の最大の特徴として挙げているのが、初期投資としての工事が不要になる、というメリットです。通常、賃貸オフィスの物件を借りた場合には、その物件をオフィスとして稼働するために必要な設備や備品をそろえ、レイアウトを決め、ネット回線・電話回線を引き、内装工事を行うなどの非常に煩雑な準備が必要となります。当然、設備や備品の新規購入費用がかかりますし、壁や床を張ったり、配線を整えたりといった工事を行うには、専門業者に相談して、内装やオフィスレイアウトのプランニングから施工までを依頼しなければなりません。

【第4回】オフィス移転の流れ 〜新オフィスのレイアウトプランニングのステップ

今回は実際にオフィスの移転を行うにあたり 、新オフィスの雰囲気の大きな部分や、従業員の生産性・業務効率性を向上させるのに重要であるオフィスの執務環境を整えるためのレイアウトの検討について、コンセプトの作成、ゾーニング決定のコツについて解説をします。


ところが、居抜きでの賃貸オフィスであれば前賃借者の使用していた状態をそのまま借り受けることになるため、設備・備品の選定や購入、そして内装にかかる手間や費用、煩雑な契約業務から解放されるというメリットを享受することが可能です。

人件費の軽減

新規オフィスの立ち上げや、従前の物件を引き払い新規オフィスへ移転する場合、物件の選定から立ち上げ、移転までを管理するプロジェクトは決して容易なものではなく、特に既存オフィスの規模拡大ということになれば、多大な人工を擁することもあります。大手企業の場合などは人員も豊富なため新規オフィス立ち上げや移転のためのプロジェクトチームを立ち上げて対応に専念させることも可能かもしれませんが、中小企業やべンチャ―企業のオフィス移転では会社の実務担当とオフィス移転に関わる総務を同時並行で担当するパターンも珍しくなく、かなり大きな負担となることは明らかです。

大きい物件であればそもそもまとまったオフィス床を確保できる物件を選ぶことから始まり、不動産仲介やオーナーとの交渉・契約、内装工事業者等との打ち合わせ、さらには懇意先への連絡や社員への説明など、移転実務とは関係のない周辺業務多大にあり、これらすべてをオフィスの立ち上げや移転の期日までに終わらせる、というのはそれなりに大きな負担です。居抜き物件を賃貸することで、内装工事に関する業務を大幅に軽減することができます。

施工期間の短縮

通常のオフィス賃貸物件は、借りた直後は原状回復がなされたまっさらな状態で、契約後にオフィスの内装工事をしなければならないため、物件を契約してから実際にオフィスとして利用できる形になるまでには上記の通りレイアウトの決定~引っ越しまでの間に様々な作業を挟み、それなりに時間がかかります。オフィスの内装工事などに要する施工期間は物件の規模や施工内容、工事仕様、発注先業者によってケースバイケースですが、一般的にはレイアウトの相談から施工完了まで2~4か月程度見込んでおく必要があるといわれています。

一方で、居抜き物件は違います。前テナントが利用していた設備などをそのまま流用することができるため、極端な例でいえば最短で契約した日からすぐにでもオフィスとして利用することができるのです。現実的にレイアウトを前テナントが利用していたものから自社の使いやすい形に変更したり、追加で設備の工事・備品の購入などを行ったとしても、居抜き物件であれば物件の選定から1か月もあれば実際にオフィスとして利用することが可能で、すぐにでもオフィスを稼働させたい!という要望にも柔軟に対応することが可能です。

居抜き物件のデメリット

設備や導線の自由度

上記のようなメリットの裏返しとして、居抜き物件には居抜き物件ならではのデメリットも存在します。例えば、前のテナントからパーティションなどを引き継ぐ場合、オフィスの導線がすでにある程度決まったものになってしまっているため、レイアウトがすべて理想通りにならない可能性が出てきます。結局、居抜き物件を利用するとしても、レイアウトは自分の好みのものにしたい!というのであれば多少の工事は必要になると考えておいた方が良いでしょう。

加えて引き継ぐ設備については、ビルのスペックや前テナントによっては古いものもあるので、どの程度使い続けられるかも不明なケースが多々ありますし、どこかのタイミングで大規模なメンテナンス時期が到来し、不測の出費を迫られる、、、なんてことも。また、元のオフィスで使っていた什器がある場合には居抜き物件に残置されたものとダブってしまった場合には処分することになり、もったいないばかりか処分費用が発生することもあります。逆もしかりで、残置されていた物だけではキャビネットが不足していたり、老朽化しておりあらためて新規購入をしなければならないということになれば、結局手間としてはスケルトンのオフィスに入居するのと何ら変わりはありません。そういったデメリットを被らないためにも、居抜きオフィスを借りるときには、内見の時にある程度どのような設備を引き継ぐことになるのか確認しておきましょう。設備の使い勝手の良さや新しさ、実際にオフィスとして働くときの動線などを細かくチェックする必要があるということをおわすれなく。

トラブル

通常ならスケルトン状態での引き渡しになるので、認識することの少ないトラブルが怒ることがあります。例えば、引き渡し状態が事前に確認していたものと異なるといった場合や、什器の破損、内見時にあったものがなくなりイメージが異なるなどです。リストを作成し、写真撮影を行うなどし、確認ができるようにしておきましょう。

多くの場合では、原状回復工事の義務を引き継ぐことになるので、内見時にしっかりと状態を確認し、退去時の見積もりを取得することで、予期せぬ退去時のコストが発生することを避けることができます。入居時は安いと思っていたけれど、退去するとタイミングになると結果的にあまりお得ではなかった、、などならないようしましょう。

また、どの物件でも居抜きができるとは限りません。貸し手であるオーナーが認めた場合にのみ、居抜き物件として退去することができますが、オーナーに話しをする前にテナント企業が後継テナントを探している場合があります。オーナーから、居抜き入居が断られることや、先に入っていたテナントと賃料が異なることもあり、想定と違った、、とならないようしっかりとオーナーや仲介会社に確認しましょう。

一長一短の居抜き物件

上記で解説の通り居抜き物件は内装工事のコストを省くことができたり、物件の探索から契約し、オフィスとして短期間で稼働開始できるという強いメリットがあります。とにかく早くオフィスを開設する必要があるんだという企業や、イニシャル部分の投資を可能な限り小さく抑えたいというテナントにとっては、居抜き物件は非常に有用な選択肢の一つとなり得るでしょう。オフィスから退去したいと考えている企業の場合なら、居抜きで退去することによって原状回復費用が抑えられるというメリットがあります。一方で前のテナントが使ってたものをそのまま使うとあって、100%すべてが満足のいく理想のオフィスを作り上げることもまた難しく、様々な要素がトレードオフとなって居抜き物件は成立していると言えます。居抜き物件を選択するという行為が自らがしようとしているオフィス移転・開設の大きな目標を達成するにあたって、その理想に訴求力のあるソリューションであるか否かの評価は、スケルトン物件を契約するよりもより慎重に行う必要があると言えますね。



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SOHOとは何か?

フットワークの軽いフリーランサーなどにとっては最早オフィスをアウトソーシングする必要がなく、“究極の職住近接”として自宅の一部を個人オフィスとして利用する人達も増えてきています。今回解説をしてく“SOHO”とはそういった人たちを指す言葉です。

【第3回】オフィス移転の流れ 〜移転スケジュール・計画作成のコツ

実際にオフィスの移転を行うにあたって、どのようなスケジュール感で行うのが最適か、どのような視点で計画を策定すればスムーズにオフィス移転を行うことができるのかというコツを、規模が大きいオフィス(100坪以上)・小さいオフィス(100坪以下)のような視点から解説していきます。


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