オフィス移転費用の概算の際に考える項目5つ|費用を抑えるためのポイントも解説

平井 瑛(Ei Hirai)

目次

  1. オフィスの移転には計画的な準備が大切
  2. オフィスの移転費用の概算の際に考える項目5つ
  3. オフィスの移転費用を抑えるためのポイント5つ
  4. 概算のための項目を押さえてオフィス移転費用の算出をしよう

オフィスの移転には計画的な準備が大切

オフィス移転は、計画的に行うことが大事です。賃貸物件では、法人契約であるオフィスはオーナーに6カ月前には解約の通知をする必要があります。


それも踏まえて、少なくとも移転の6カ月前には準備をしておきましょう。移転の目的を明確にし、業者の選択、不用品の見極めなど進めるべきことはたくさんあります。


また、オフィス移転には費用がかかるので、計画に沿ってきちんと概算を考えることも大切です。

全体のスケジュールや業者の選定も考慮した計画を

全体のスケジュールを考えるとともに、事前にいくつかの業者に見積もりをもらい比較しましょう。この時、概算の見積価格だけではなく、全体的にみて良い業者を選ぶようにしましょう。
 
移転の目的が達成できるか、スムーズな移動が可能かがポイントです。


業者を冷静に選定するために、余裕を持ったスケジュールで計画的に進めていきましょう。

オフィスの移転費用の概算の際に考える項目5つ

新しいオフィスに移転する時、賃貸契約や内装工事に費用がかかります。貸契約の敷金や保証金などの概算は、賃料の12カ月分です。


さらに前のオフィスを原状回復する必要があるため、廃棄物などを処理したうえで、修繕や清掃などの費用がかかります。


その他の諸費用として引っ越し代などもあるので、オフィス移転の費用の概算は相当な額となります。

1:新オフィスの賃貸契約費用

賃貸契約時にかかる敷金や保証金などの費用の相場は、大体賃料の1年分です。オフィスは原状回復に費用がかかるので、一般住宅よりも高めになっています。


敷金や保証金は、最後に貸主が必要なリフォーム代などをひいて、余ると退去時に返還されますが初期費用の概算が高いことは負担になります。


最後には返還されることの多いお金であり、交渉で安くなることも多いので、気に入った移転先が見つかった場合は相談してみましょう。

敷金

敷金(保証金)は、50坪以下の中規模オフィスだと大体賃料の3~6ヶ月分、50坪以上の大規模オフィスだと大体賃料の6~12ヶ月分が相場です。


また坪数と関係なく、大手ビル関係のオーナー所有物件の場合は大体賃料の12ヶ月分です。個人オーナー所有の物件の場合は安めの場合が多くなります。

礼金

比較的小規模の個人所有の物件では、礼金がかかり、相場は大体賃料の1か月か2か月分です。礼金は敷金と違い、オーナーへのお礼のような位置づけなので、退去時には戻ってこないお金になります。


大型物件では礼金がないところが増えています。

前払い賃料

オフィス物件では、前払い賃料といって、入居する1か月の分の賃料を前払いする必要があります。また同時に、管理費や共益費も併せて入居する月の分を前払いする必要があります。


入居日によっては、1.5か月分~入居月の分も前払いになることがあるので、注意が必要です。

仲介手数料

その他に、オフィスの入居に際しては、仲介をしてくれた不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。


仲介手数料は賃料の1か月分かかります。仲介手数料はこの賃料の1か月分が法律で上限となっており、それ以上の額にはならないので、概算ではなく確定額が出せます。


出典:不動産流通について|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000249.html

保証委託料

住居の保証会社の委託料の相場は大体賃料の50%であるのに対して、オフィスの保証会社委託料は大体賃料の100%が相場です。


委託料は安い方がいいので自分で探したいところですが、保証会社は自分で選べません。その理由は、大家さんが保証会社と契約をしていて指定されるからです。


保証会社やプランによって保証の内容はさまざまなので、大家さんは多くの保証会社の中から内容が理想的な保証会社をあらかじめ選んでいます。

火災保険料

火災保険は火災によって発生したさまざまな損害に対しての補償を行ってくれる保険です。住居と違い、火を扱うことが少ないオフィスビルなどの場合は、火災保険に入る必要があるか迷うのではないでしょうか。


しかし、万が一自社が火元となってしまった場合、ビルオーナーに対してのオフィスビルの修復代とさらに、被害を出してしまった他のテナントにも損害補償が発生してしまいます。


火災保険の概算は2年契約で約2~3万円が相場になります。


一般的に火災保険は、火災だけでなくオフィス什器の補償や水漏れによる下層階への損害なども補償しています。金額に合わせた契約内容によって補償される範囲は変わるので、補償内容をしっかりと確認して契約するようにしましょう。

2:内装工事費用

新しいオフィスの開設のためにかかる壁紙の交換や天井の塗装、床の張替えなどの内装工事費の概算の基準は、坪単価あたり約10万円です。


広さに合わせて計算をすると、おおよその概算が出せます。


快適なオフィスのためにいい壁紙や床材を選択するほど内装工事費は高くなりますので、理想と概算費用を比べて、コスパのいい素材を探す、こちらの要望を叶えつつも工事費用が予算内の業者を選ぶなどの工夫が必要です。

レイアウト・内装設計費用

オフィスを移転する際、素敵なレイアウトに一新するために、設計をお願いすることが少なくありません。


レイアウト設計費の相場は20〜50万円程度です。しかし通信計画費や電気計画費が含まれているかどうかは業者によります。


また、オフィスの広さで費用は大きく変わってきます。大規模なオフィスでは、小規模では必要のない会議室やパーテーションの設計の分がプラスされ、設計費用も高額になります。

建築・通信設備工事費用

他にも建設・通信設備の工事費用もかかります。


ネットワーク工事費用として、LANや電話・電気などのインフラ整備にかかる費用は、社員1人当たり5万円程度が概算の目安です。


これからの世の中に合わせて、セキュリティを厳重にする、あるいは、巨大なサーバーを置くなど希望条件がプラスされれば、その分料金が高くなります。

備品・家具購入費用

オフィスにはオフィスならではの備品や家具があります。


デスク・チェア・ワゴンなどの什器購入費用の概算は、社員1人当たり5万円から30万円ほどです。


オフィスの自分の机やイス、ワゴンなどの棚が使いやすいかどうかは、ひとりひとりの作業効率向上や定着率にも大きく影響します。


どこまで個人や全体の家具や備品にコストをかけるべきかを検討することが重要です。

3:旧オフィスの原状回復費用

オフィス移転をする時に、多くの賃貸物件では、賃貸で初めて借りた時と同じ状況に戻すことが決められており、これを「原状回復工事」といいます。


原状回復にかかる費用は、変更を加えた度合いによって異なりますが、1坪あたりの目安は約2~5万円程度となっています。


また、マンションなどでは該当しない、「経年劣化」もオフィスでは基本的に原状回復義務に含まれてしまいます。


そのため、どんなに短い間の賃貸で気を付けて使っていても、入居時の状態まで原状回復する必要があり、費用が掛かります。

4:廃棄物の処理費用

原状回復工事や引越しを行うと、必要のないものが出てきますが、これを廃棄するのにも費用が掛かります。


廃棄費用は2トン車1台分で約7~8万円、4トン車1台分で約12~15万円ほどかかります。できるだけ2トン車1台分に抑えるためには、使えるものは新しいオフィスでも使うなどの工夫が必要です。

5:その他の諸費用

その他の諸費用として、最新システム導入費用が考えられます。


多くのビルにはセキュリティーカードシステムがあるので、オフィス移転のタイミングで検討されることが多いです。セキュリティカードはビルによって異なりますが、社員数に合わせて1枚3,000円ほどの費用が掛かります。


また、スマートロックなどの入退室管理システムを導入する企業も増えていますが、最新システム導入にはそれぞれコストがかかるので、予算と照らし合わせることが大切です。

引っ越し費用

オフィスの引っ越し費用の概算の目安は、社員1人につき2~3万円程度と言われています。また、全体量で考えると2トントラック1台分で約8万円ですので、社員数や荷物の総量で試算することができます。


備品を新しくするのであれば、引っ越し費用は安くつきますし、今までのものをそのまま使う場合は引っ越し費用は多めにかかります。


オフィス移転の引っ越し費用を抑えるコツは、複数の業者に見積もりを依頼し、引っ越し費用の相場や、安い業者を把握して、別の業者の見積額を伝えると、獲得競争のため、値引きしてもらえることもよくあります。


オフィスの移転ではパソコンなどの精密機械を運ぶことを伴うので、壊さない配慮が必要です。専門業者は引っ越しに関する専門的なノウハウがあるので、概算額が安いことも大事ですが、信頼のおける業者を選びましょう。

届出書類代書費用

オフィスを移転する際には、法務局や税務署、その他に地方税事務所・社会保険事務所など、多種多様な機関に届け出をする必要があります。


届け出が数か所にわたるため、多くの会社では行政書士に手続きの代行を依頼することが多いです。


届け出の代行費用は、オフィスの大きさや人数にかかわらず、一式10~20万円ほどかかります。

移転告知・印刷物修正費用

オフィスの移転に伴い、住所などが変更となるので、従業員の名刺や会社のパンフレットなどに新しい住所を記載する必要があります。社内案内の書類や名刺などは、2か月前くらい前には印刷を行っておくことが望ましいです。


また、住居を引っ越しした時に引っ越しハガキを出すように、会社を移転した時も移転通知を取引先に発送しましょう。


移転に際してイメージアップのため、名刺などのデザインを一新する方法もあり、検討してみるのも良いでしょう。


移転通知を郵送する場合、社員数が多いと意外に費用がかさむので、概算をとって予算に入れるようにしましょう。

オフィスの移転費用を抑えるためのポイント5つ

オフィス移転費用を抑える方法として注目されているのが居抜き移転です。居抜き移転は工事の手間を省いて費用も抑えられますが、退去については注意が必要です。


居抜きの他にもオフィス移転の費用を抑える方法を、オーナーとの交渉など、あわせて5つ見ていきます。

1:居抜き物件として退去する

居抜き物件として退去することで、原状回復に必要なコストを節約することができます。


本来、退去時には借りていた人が原状回復して明け渡すことが原則です。最初に借りた時の状態で返す必要があるのですが、居抜き物件として退去する場合は、次の借主に原状回復義務を背負ってもらうことになります。


居抜きで退去するためには、物件のオーナーの承認を得ることが必要です。内装をそのまま引き継ぐにしても無断ではできません。基本的に居抜き退去の承認をもらうには、先ほど書いた原状回復義務を背負ってくれる次の入居者を見つけることが必要です。

2:移転先として居抜き物件を利用する

内部設備をそのまま残した状態の居抜き物件を受け継ぐことで、使えるものは引き継ぐことができ、工事の必要もなくなるので、初期の費用が安くなるうえに、開業までの時間も短く済みます。


設備や備品に汚れや傷があったり、古い型の可能性はありますが、きれいにすることや多少の手直しで使えることも多くあります。


現地に何度か行って、立地を確かめ、退去者と連絡をとり、メンテナンスをきちんと行うことができれば、元手があまりなくても広めのオフィス、あるいは憧れの場所にオフィスを構えることもできます。

3:内装をシンプルなものにする

オフィス移転の費用を抑えるコツは、内装をシンプルにすることです。壁紙や床材などもこだわれば高いものになるのですが、一般的な白の壁紙、オフィスは靴をはいたまま仕事をすることがほどんどの場所なので、床材もシンプルで汚れにくいものでいいでしょう。


費用のかけどころを考えるのもコツです。例えば個人用のデスクやイスなどは、1人あたり10~15万円程度といわれています。デスクに座って作業する時間が長いのであれば、いいイスを選んだ方が健康や仕事のクオリティを維持できます、


もし、デスクワークの時間が少ないのであれば、イスはシンプルなものでいいでしょう。


前のオフィスで使っていたもので問題なく使えるものは使い続けるのがおすすめです。

4:備品や家具の再利用をする

オフィスを移転する時には不用品が発生するのですが、廃棄にも費用が掛かってしまいます。そこでまだ使えるオフィス用品を処分する方法として注目を集めているのが、リサイクル業者による買い取りです。


再利用業者に引き取ってもらうことで、廃棄代を節約したうえ、買取価格を移転費用に回すことができます。


リサイクル業者以外にオフィス移転業者が古物商認可を持っている場合もありますので、事前に確認しましょう。


買い取り可能な品目や、買い取りの査定額には差があります。買い取り業者いくつかに査定を依頼して一番条件の良い買い取り業者と取引して、費用を回収することにつなげましょう。

5:初期費用を交渉する

オフィス移転費用を抑えるために、初期費用を交渉するという方法があります。


中でも、原状回復費用を差し引いて余剰が出ればかえってくるお金である敷金は交渉の余地があります。


オーナー側にとっても、通常のオフィスだと6~12ヶ月かかる敷金が0~6ヶ月の物件がある場合、多くのテナントにとって魅力が増し、結果として物件の競争力が上がり、空室リスクを減らすことができるメリットもあるので交渉がしやすいのです。

概算のための項目を押さえてオフィス移転費用の算出をしよう

オフィス移転は会社にとって社運をかけた大きなイベントであるとともに、多額のコストが発生します。


中小・ベンチャーなどの規模の企業でも数百万単位の費用がかかるので、項目別に概算をきちんと出して事前に社内で予算のすり合わせが必要です。


見てきた項目の中でも、内装工事などは求めるグレードによって金額が変わってくるので、予算に合わせたグレードを選択するようにしましょう。


早めにスケジュールを組んで、見積もりも何社かに早めに依頼するなど、余裕をもって計画的に準備を進めることが大切です。

監修

執筆者
平井 瑛(Ei Hirai)
経歴
東京大学経済学部卒業後、三菱地所入社。三菱地所の海外事業、オフィスビル賃貸営業を経て、2018年12月にestieを共同創業。 estieでは代表取締役として不動産業界に関わる深い知識から様々なサービス開発に関わる。趣味は靴磨きで、社員の靴までも磨く。 【執筆】『ビジネスイノベーションスペースの新たな潮流とその経済価値』(一般財団法人日本不動産研究所 不動産研究第61巻第1号 特集;シェアリングエコノミーと不動産市場)
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