品川のオフィス事情

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  • 品川区
  • 2020/02/06

皆さんは、休日に品川駅に出向いたことはありますか?

山手線、京浜東北線をはじめとした5本のJR路線乗り入れに加え、東海道新幹線、さらには京急線により空港へのアクセスも良好と、西日本のみならず日本各地や世界各国へと通ずる窓口を果たしている品川駅は、日本国内を見渡しても超巨大ターミナル駅と言えるでしょう。

超巨大交通網を要する品川駅周辺には品川インターシティをはじめとした高層オフィス軍に加え、駅構内にはJR東日本が運営する商業施設「アトレ」があるなど、主要駅としての機能は十分に備わっているように思えます。

では冒頭の質問に戻りますが、皆さんは休日に品川駅に出向くことはありますか? おそらく、多くの人がターミナル駅である品川駅を乗り換えで利用する程度で、何かのお店が目当てで来たり、ふらふらしにやって来る方は多くないのではないかと思います。

ここ近年の都内主要駅周辺のオフィス賃料相場と比較しても、品川駅周辺の平均募集賃料は渋谷駅、東京駅などのオフィス一等地に比べ成長率が緩やかで、やや弱い水準となっています。

今回はそんな品川のオフィス事情について、現状の考察と今後の動向について、周辺の再開発計画などを紐解いて解説していきます。

◾️品川の歴史 おどろくべき変貌

宿場町として栄えた品川

歴史を遡り江戸時代、人々の主な移動手段が徒歩であった頃、江戸に向かう道中最期の宿場町として栄えたのが品川でした。五街道のなかでも特に交通量が多かった東海道沿いに設置された品川宿場は、西日本からの江戸の玄関口として栄え、活気を増していきました。

また、西日本と江戸をつなぐ東海道は当時の重要な物流網の一つでもあり五街道沿いの主要な宿場の中で唯一海に面していた品川宿場は海鮮や、海苔の養殖なども盛んに行われていたと言います。余談ですが、寿司ネタの鉄火巻きは、かつて品川にあった鉄火場という賭博場でふるまわれていたものが発祥だそうです。

品川は品川区にない?品川駅の建設

品川駅は品川区にないことをご存知でしょうか?品川が栄えるきっかけになった品川宿場は現在でいう青物横丁とその周辺一帯になりますが、現在の品川駅はそこから南側におおよそ2km程度離れた場所に建設されています。当時鉄道駅の建設計画がにわかになった際に、実際には品川宿場の真ん中に駅を建設する予定でした。しかしこの計画が宿場を経営する地域住民の反感を買い、結局当時の品川宿場付近への駅建設は断念、現在の港南エリア付近での建設が余儀なくされ、のちに港区として区切られました。

品川駅は当時海だった部分を埋め立てて建設されましたが、この頃から昭和初期に至るまでにさらに埋め立てが加速し、駅が拡大するにつれ、その利便性から様々な産業用等が品川駅周辺に集積しました。現在も東京都中央卸売市場食肉市場にその姿を残す「東京市営芝浦屠殺場」もその一環であり、当時国内最大規模の食肉加工工場となりました。屠殺場の誘致も相まって、品川駅周辺には職人関係の卸売問屋や飲食店などが増えていき、エリア全体の利便性も向上していきました。

終戦後も産業集積地としての品川駅周辺のプレゼンスは向上していき、現在の高輪口方面には徐々に住宅も増えていきました。しかし港南口は相変わらず加工工場などが多いうえに一般的に嫌悪施設の位置付けとなる屠殺場の存在もあり、長らく日中は産業従事者しか寄り付かない工場エリアとして認知されていました。

︎東海道の恩恵によりその姿を変えていく品川

そんな活気にかける工場地帯となっていた品川駅周辺エリアが現在のオフィス街へと姿を変えたのは1990年代に突入してからのことです。当時鉄道での輸送がメインとなっていた物流網に革命が起き、国内の道路が一斉に整備され、物流の根幹は鉄道から自動車輸送へ変貌を遂げました。

かつての食肉加工工場からの出荷のターミナル機能を担っていた品川駅の貨物路線はその役目を終え、代わりに再開発により新たな役割を与えられました。それがオフィス機能だったのです。かつての東海道沿いの宿場として国内の物流拠点として栄えた品川はさらなる物流の発展により、新しい立ち位置を見出されたのでした。 この再開発により、品川駅周辺の横の広大な土地には見上げるような高層オフィスビルが立ち並ぶ街へとその姿を変えていきます。このエリアは現在大手ゼネコンの大林組や、三菱グループ御三家の一つである三菱重工業などが本社機能を構えています。

その後屠殺場も現在の外見に建て代わり、それまでの近寄りがたい工場地帯から一変し、当時では誰もが憧れるような先進的なオフィス街へ姿を変えた品川からは、かつての面影は綺麗さっぱりなくなりました。

︎品川駅自身も現在の姿へと変貌、人の交通網拠点へ

2000年代に入ると、品川駅に東海道新幹線が開通しました。改札口が港南側に設けられ、その利便性を買われ港南口側のオフィス需要はさらに加速。かつて定住人口がほとんど存在しなかった港南エリアにも現在ではタワーマンションも多く建設され、昼間人口がどんどんと増加していきました。 JR線も乗り入れ路線がどんどんと増え、品川はかつての工場地帯としての役目を完全に終え、日本各地からの玄関口と、先進産業の拠点として新たなスタートを切りました。

◾️過渡期真っ只中? 品川のオフィス事情

長らく横ばいの品川のオフィスマーケット

そんな歴史を経て、宿場町から工場地帯へ、工場地帯からオフィス街へと変貌を遂げてきた品川ですが、大規模再開発が目白押しの渋谷や、持ち前のブランド力とエリアマネジメントで安定したマーケットを形成する丸の内と比較した際のオフィス事情については、現在はやや遅れを取っている状況であることが見受けられます。 大手仲介各社の統計を見ても、巨大な主要ターミナル駅を要するマーケットであるにもかかわらず、オフィステナントニーズ、賃料相場のどちらとも国内主要エリアの中で上から数えて10番目程度の水準となっています。

賃料相場で言えば大規模オフィスの平均賃料で見ても28,000円程度の水準で、昨今のオフィス需要の旺盛ぶりから考えると、やや弱めの目線です。

︎オフィスニーズの変容と受け皿不足

過去記事の渋谷のオフィス事情にて解説していますが、現在のところ賃貸オフィスの旺盛な需要を支えているのは新興のベンチャー企業や、フリーランスワーカー、リモートワーカーの職場となっているレンタルオフィススペースなどが多くを占めています。 そういった業種は基本的には大規模なオフィスではなく、オンデマンドで増床や縮小と言った対応が可能な小規模オフィスに好んで入居する傾向にあります。

品川駅周辺にはそう言ったオンデマンドの需要に対応可能なオフィスがまだ多くない且つ、そう言ったオフィスニーズの大きな受け皿となっているのがすぐ近くの大崎と五反田になっています。特に五反田駅は新興のITベンチャーが集積し五反田バレーというエリアを構築しています。加えて、現状ITのメッカとなっている渋谷にもアクセスが良好なため、現在トレンドとなっているオフィスニーズをうまく捉えたえりあとしえ注目を集めています。

品川駅が現在のオフィス街の姿となったのが20年前なので、ちょうどビルとしてはハード面はまだ問題なく使えるものの、ソフト面のスペックはやや時代錯誤感が出てくるタイミングと言えます。品川インターシティを整備した際の再開発で大規模なオフィス床を供給したはいいものの、それが現在のオフィスニーズとマッチしていないことが品川がオフィス街として一つ上のランクにいきあぐねている原因の一つとなっていることがわかります。

色がない?オフィス街としての品川ブランド

これまでestieのコラムではエリアごとに渋谷、丸の内、五反田等のオフィス事情について解説してきました。 それぞれどこも日本を代表するオフィス一等地や昨今、オフィスの需要が旺盛なエリアでありますが、こう言ったトレンドとなっているオフィス街にはエリアごとに「色」があるように思います。渋谷であればIT業界、丸の内であれば成熟産業や半行政企業、六本木であれば外資系企業、、、などなどです。 ここ最近は働き方改革などで従業員の働き方スタイルが目覚ましく変化し、業務能率の向上が叫ばれている現状です。そう言った市況を鑑みれば、近い業界の企業がある特定のエリアに集約することは当然の流れであることが見てとれます。

丸の内や渋谷には三菱地所や東急電鉄などそれぞれのエリアに強みを持つディベロッパーなどが主導しながらそれぞれのエリアがどう言ったブランディングを推し進めていくのか、どういった方針のまちづくりを行うのかということが明確化されています。 現状、品川駅前エリアにはそう言った動きは見当たりません。たしかに、高層ビル群やそこに入居している名だたる企業を見れば品川が都内でも有数のオフィス街であることは明らかですが、今後はそう言った街をあげたコンセプト作りなどを行い、オフィス街としての価値をさらに高めていく必要がありそうですね。

◾️過渡期真っ只中? 品川のオフィス事情

長らく横ばいの品川のオフィスマーケット

そんな歴史を経て、宿場町から工場地帯へ、工場地帯からオフィス街へと変貌を遂げてきた品川ですが、大規模再開発が目白押しの渋谷や、持ち前のブランド力とエリアマネジメントで安定したマーケットを形成する丸の内と比較した際のオフィス事情については、現在はやや遅れを取っている状況であることが見受けられます。

大手仲介各社の統計を見ても、巨大な主要ターミナル駅を要するマーケットであるにもかかわらず、オフィステナントニーズ、賃料相場のどちらとも国内主要エリアの中で上から数えて10番目程度の水準となっています。 賃料相場で言えば大規模オフィスの平均賃料で見ても28,000円程度の水準で、昨今のオフィス需要の旺盛ぶりから考えると、やや弱めの目線です。

オフィスニーズの変容と受け皿不足

過去記事の渋谷のオフィス事情にて解説していますが、現在のところ賃貸オフィスの旺盛な需要を支えているのは新興のベンチャー企業や、フリーランスワーカー、リモートワーカーの職場となっているレンタルオフィススペースなどが多くを占めています。 そういった業種は基本的には大規模なオフィスではなく、オンデマンドで増床や縮小と言った対応が可能な小規模オフィスに好んで入居する傾向にあります。 品川駅周辺にはそう言ったオンデマンドの需要に対応可能なオフィスがまだ多くない且つ、そう言ったオフィスニーズの大きな受け皿となっているのがすぐ近くの大崎と五反田になっています。特に五反田駅は新興のITベンチャーが集積し五反田バレーというエリアを構築しています。加えて、現状ITのメッカとなっている渋谷にもアクセスが良好なため、現在トレンドとなっているオフィスニーズをうまく捉えたえりあとしえ注目を集めています。 品川駅が現在のオフィス街の姿となったのが20年前ですので、ちょうどビルとしてはハード面はまだ問題なく使えるものの、ソフト面のスペックはやや時代錯誤感が出てくるタイミングと言えます。品川インターシティを整備した際の再開発で大規模なオフィス床を供給したはいいものの、それが現在のオフィスニーズとマッチしていないことが品川がオフィス街として一つ上のランクにいきあぐねている原因の一つとなっていることがわかります。

色がない?オフィス街としての品川ブランド

これまでestieのコラムではエリアごとに渋谷、丸の内、五反田等のオフィス事情について解説してきました。 それぞれどこも日本を代表するオフィス一等地や昨今、オフィスの需要が旺盛なエリアでありますが、こう言ったトレンドとなっているオフィス街にはエリアごとに「色」があるように思います。渋谷であればIT業界、丸の内であれば成熟産業や半行政企業、六本木であれば外資系企業、、、などなどです。 ここ最近は働き方改革などで従業員の働き方スタイルが目覚ましく変化し、業務能率の向上が叫ばれている現状です。そう言った市況を鑑みれば、近い業界の企業がある特定のエリアに集約することは当然の流れであることが見てとれます。 丸の内や渋谷には三菱地所や東急電鉄などそれぞれのエリアに強みを持つディベロッパーなどが主導しながらそれぞれのエリアがどう言ったブランディングを推し進めていくのか、どう言った方針のまちづくりを行うのかということが明確化されています。 現状、品川駅前エリアにはそう言った動きは見当たりません。たしかに、高層ビル群やそこに入居している名だたる企業を見れば品川が都内でも有数のオフィス街であることは明らかですが、今後はそう言った街をあげたコンセプト作りなどを行い、オフィス街としての価値をさらに高めていく必要がありそうですね。

◾️再興のチャンス到来?品川のオフィスの今後

オフィス街としての勃興から20年程度というちょうど安定期を迎えようとしている中、オフィス需要の変革と働き方改革によるオフィストレンドのゆらぎの中にある品川は今まさにオフィス街として過渡期を迎えている言えるでしょう。

上記で解説した通り、今後品川駅前エリアは街としてのブランディングを図るほか、現代のオフィストレンドを汲み取りつつ、さらに未来のとれんどを先取りするようなまちづくりが求められていくことと思いますが、今後品川駅前およびその周辺ではのように変えていくのでしょうか?

高輪ゲートウェイ駅の建設

2018年の名前の公募が記憶に新しいですが、JRは品川ー田町間に新たな駅の建設を発表しました。本駅計画は2020年の東京オリンピックに合わせて開業する予定ですが、新駅本体のみならず、高輪ゲートウェイ駅周辺では計130,000平米もの規模で駅前の再開発も予定されており、JRと都市再生機構が主導で5棟のオフィスが計画されています。

しかも本計画はオフィスに加えマンション、商業施設、ホテルなども整備される予定で、文字通り高輪エリア周辺は様変わりすることと思います。日本国内の再開発計画を見渡しても、これほどまで大規模なオフィス床供給のある再開発はほとんどありません。ここまでの規模になると品川駅周辺のオフィス需要にあった供給というよりも、このエリアに新たなマーケットを創出するほどの計画ですので、品川駅前エリアのオフィス街としての存在感も間違いなく増すことと思います。この再開発を機に、品川がオフィス街としてどのような方向に舵を切っていくのかが注目されます。

リニア中央新幹線の開通

2027年に開通を予定しているリニア中央新幹線ですが、これにより東京ー大阪間が最速で1時間で結ばれることになります。リニアの開通で品川が日本の交通拠点として価値を高めていくのは当然のことですが、加えてリニア新幹線が開通するということはスーパーメガリージョン構想の重要な結節点となるということです。

スーパーメガリージョン構想とは国土交通省がリニア開通にあたり打ち出している構想で、東京 大阪間が1時間で繋がることで、それぞれ時間的距離が縮まるため、それを一つの巨大都市圏とする考え方です。仮に東京ー大阪間を一つの生活圏とすると都市人口は6,500万人となり、世界でも類を見ない巨大な都市になります。東京以外の生活圏からやってくる新たな人口の受け口を品川が担っているのです。 当然駅利用者は劇的に増えるため、それに伴いオフィスやホテルなどの都市昨日の需要も増加していくものと考えられます。 このリニア中央新幹線は品川駅を単なる交通ハブとして底上げするだけでなく、品川駅周辺に住む人口が爆発的に増える=品川駅の町としてのさらなる発展のまたとないチャンスとなると言えます。

高輪ゲートウェイ駅とリニアを機に、どれだけ変貌を遂げられるか

上記の通り、品川駅周辺には渋谷駅前エリアのように再開発計画が目白押し、というわけではありませんが、高輪ゲートウェイ駅の建設やリニアの開通は大規模なエリア開発でのマーケット創出や、品川駅がこれまで商圏としてきた概念を覆すような再開発、計画です。

かつて時代の流れの中で品川インターシティが完成し、港南口が大きくその姿を変えたように、この二つの計画を品川エリアの姿を大きく変貌させるものであろうことが予想されます。 近い将来、国内有数の道路交通網である第一京浜道路と国内各地、世界各国とのアクセスが交差することになる品川駅前エリアは文字通り次世代の交通ターミナルとして発展していきますが、現在品川のまちづくりは交通ハブとしての役割を前面に押し出す形で取り進められています。 その傍、品川が今後オフィス街として丸の内や渋谷のような立ち位置に成長していくことは間違いなく高い付加価値となります。

またとないこの転換期に乗じて、品川のオフィス事情がどういった展望を見せていくのか、どんなブランド力を持ったオフィス街に進化していくのか、今後の品川のまちづくりコンセプトに期待ですね。

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