大阪のオフィス事情

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  • 大阪
  • 2020/05/29

これまでエスティのコラムでは、東京都内各所のオフィス事情について解説、そして今後の動向を調査してきました。とうとうそのコラムも東京を飛び出し、今回は関西・大阪のオフィス事情についての解説です。

東京に負けず劣らずの大都会である大阪ですが、そのオフィス事情は一言に「オフィスバブル」と言って過言はないでしょう。近年大阪のオフィスマーケットはその過熱ぶりの影響で空室率がかつてない勢いで低下傾向にあり、メインのエリアではまとまった規模感のオフィス床を確保することは非常に困難な状況となっています。

2019年夏の時点ではCBRE社の調査によれば、大阪のオフィスマーケットではスペックのに関わらず、すべてのグレードのビルの空室率が過去最低を記録しました。いっぽうで賃料水準に目をやると、ハイグレードビルでは初の25,000円台を記録したものの、若干東京のオフィスマーケット実績に比べるとやや見劣りする数値です。

2018年単体で見れば、1月~12月の一年間で空室率は3.6%から2.8%と、1ポイント近い低下があることからも、そのオフィス需要の旺盛さはまさに火を見るより明らかです。そんな過熱を極める一方賃料の伸び悩み感が否めない大阪のオフィス事情ですが、今後オフィス街としてどのような発展を遂げるのでしょうか?大阪の現状のオフィスマーケットの解説などを交えながら、今後の動向について解説していきます。

オフィス人口密度も日本一?大阪オフィス事情の現状

冒頭で頭出しした通り、現在大阪のオフィスマーケットは急成長中であり、各社のマーケットレポート上の数字を見ても、需要に関して言えばその急上昇ぶりに疑いはありません。現在日本国内の主要都市のオフィス空室率はいずれも下降傾向にありますが、都心5区の1%台という異常な水準には届かないものの、福岡に次ぎ2%台後半~3%と非常に低い水準となっています。

大阪は元来の人口の多さに加え、就業者数という観点でもここ数年増加傾向にあり、現在では約450万人もの労働者が大阪でビジネスを営んでいます。有効求人倍率は約1.8%近い数字を記録しており、現在の就業者数の多さにも関わらず労働市場ではまだまだ働き手が優位な労働力不足という状況が続いていることがわかります。2025年には大阪万博という目玉イベントが控えていることもあり、今後も労働力の価値は依然として高まっていくことが予想されます。

エリア別でみる大阪のオフィス事情

大阪の主なオフィス集積エリアとしては大きく「梅田エリア」、「淀屋橋エリア」、「中之島エリア」、「本町エリア」の4つが挙げられます。特に梅田エリアは総面積の3分の1をオフィス面積が占める所謂大阪オフィスの一等地的な扱いとなっており、次ぐ規模を誇る本町エリアの170,000坪に対し、2倍近くの340,000坪ものオフィス供給がなされています。

梅田エリア

非常に複雑な構造を持ち、梅田駅以外にもJR大阪駅という巨大なターミナル駅を擁する玄関口的役割を果たしているエリアです。オフィス用途以外にも梅田駅前には多数の商業用途などが集積しており、その人口過密度は国内でもトップクラスとなっています。 近年の大阪のオフィスマーケットの成長を引っ張る存在の梅田エリアですが、2010年代に入ってからはオフィス床面積がおおよそ2割ほど増加しており、今後も三菱地所等による「うめきた2期」の再開発事業など、大規模な再開発が今後も予定されています。

大阪では現在市況の変化等の影響により都心から幅広くしていた各社のオフィスが大阪中心地に集約されるような「都心回帰現象」が起こっており、その需要を一手に引き受けオフィス供給を最も求められているエリアです。

淀屋橋エリア

梅田駅から南方向に向かうと、新幹線のターミナル駅となる新大阪駅にたどり着きます。この新大阪駅を中心とする淀屋橋エリアは大阪では梅田エリアに次ぐオフィスの供給規模誇るエリアとなっており、大阪ガスや三井住友銀行、住友商事など大阪にルーツを持つ大手企業が多く大阪でのビジネス拠点を置いている場所でもあります。エリアの特色として、淀屋橋エリアにオフィスを構える企業の多くが金融関連の業界であることが挙げられ、特に大型のオフィスビルではおおよそ3割程度を金融機関が占めています。 梅田エリアと並ぶほどの高いオフィス需要を誇る淀屋橋エリアですが、ここ数年では入居しているテナントの業種に大きな変化が見られず、エリア全体としてやや新陳代謝にかけているイメージがあります。にも拘わらず大阪中心地としてオフィス街としての市場価値は高まる一方であるため、空室率は常に水準で推移しています。淀屋橋エリアでは近年大規模なオフィス床の共有がなく、慢性的な供給不足の状態にあるエリアということができます。

中之島エリア

淀屋橋エリアとは逆に、梅田駅から1㎞程南下した場所にあるオフィス集積地が「中之島エリア」です。ダイビル本館や中之島フェスティバルタワーなど、中之島エリアには2000年代に入ってから開発された大規模ビルが多く存在し、他エリアに比べビルの平均スペックが非常に高いことが特徴です。そのため、このエリアのビルに入居している企業は関西電力や東レ、日立製作所など製造業。情報通信系など技術系の会社が多いというマーケットを形成しています。

ここ数年でもこのエリアとしての特色は変化しておらず、他エリアで事業規模を拡大した技術屋がオフィスの移転先として選択肢に加えているケースも少なくありません。

本町エリア

淀屋橋エリアに隣接する形でオフィス街を形成しているのがこの「本町エリア」。梅田エリアからはだいぶ距離が離れるものの、オフィス面積は梅田エリアに次ぐ増加率のあるエリアです。現状としては築古のビルが目立つため本エリアに長らく入居していたオフィステナントが再開発の続いた梅田エリア、中之島エリアに流出するケースが散見されましたが、その一方で低空室率常連となっている淀屋橋エリアに入居できなかった金融業界のテナントの受け皿的な一面を担っていることも特徴の一つです。いわゆる「船場」とも呼ばれる本町エリアですが、伝統的に繊維系の企業が多く集まることが特徴的で、かつては繊維商社としても名高い伊藤忠商事が本社ビルを構えていた場所としても知られています。

需要の高まりに耐えきれる?大阪のオフィスの今後

上記の通りオフィス街としての需要はうなぎのぼりとなっている大阪とその各エリアですが、大阪のオフィスマーケットが抱える大きな問題として存在するのが「圧倒的な供給不足」です。ここ数年の各エリアの空室率の低下を見ればわかる通り、これほどまでに大阪中心街のオフィスポテンシャルは高まっているにもかかわらず、2018年、2019年の二年間で着工した新築ビルはまさかの0件となっています。

過度な需要の高まりに対し適切な供給が行われていない状況の原因は大阪でのオフィス開発の事業性が未だにやや未成熟であることが挙げられます。東京のオフィス一等地では高いところで5万円台、そこに追従するエリアでも2万円台後半から3万円台となっているところも多数あり、地価に対しても事業が十分成り立つ水準となっています。対して大阪はオフィス賃料の伸びがやや鈍く、開発時の事業性としては観光客に狙いを絞ったホテルや、定住者に向けた住宅で事業検討を行う方が収支が良いというケースが多くなっています。そのためオフィスの目立った供給が多くなく、開発素地をホテル・住宅に奪われている状況のため、オフィス需要のみが独り歩きをしてしまっている状況です。

今後リニアモーターカーなどの開通が控え、東京と大阪の交通的距離がぐっと近づくことで、大阪を居住地として東京で働く、という生活が現実味を帯びてきています。となれば当然大阪の不動産マーケットは賃料の観点だけで言えば現在のオフィス<住宅・ホテルといった構図はますます確固としたものになっていくことが予想されます。今後うめきた二期などの再開発で供給が予定されているオフィスも確かに存在するものの、こういった施設は今後のオフィス街としての大阪のありかた、マーケットの動向を注意深く考察したうえでのブランディング・リーシングが必要になってくることは明らかです。



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