名古屋のオフィス事情

  • エリア別のオフィス事情
  • 名古屋
  • 2020/06/10

前回より東京を飛び出し地方主要都市の解説に入ったオフィス事情解説シリーズ、今回は中部地方を代表する日本の都市である「名古屋」のオフィス事情についてです。2010年代に入ってから軒並み成長傾向にある日本のオフィスマーケットですが、日本第三の都市である名古屋もその例に漏れず、ここ近年では大型オフィスの供給も絶えず行われており、そのポテンシャルをグングンと伸ばしているエリアです。数字で見てもその成長は見て取れ、2010年代前半ではオフィスの総賃貸面積は約90万坪ほどで、当時の東京の都心五区の供給面積である900万坪の10分の1、大阪と比較しても主要エリアの総面積270万坪と比較しても3分の1程度の規模感にとどまっていましたが、2015年には名古屋駅前の再開発により複数の新築ビルが竣工を迎え、一気に6万坪供給がなされるなどオフィスエリアとしての規模を拡大しています。オフィス空室率も低下基調で推移する名古屋は今後大阪同様にリニアモーターカーの開通が予定されており、これまでのオフィスとしての名古屋からは大きく変容していくことが予想されます。今回はそんな名古屋のオフィス事情をエリア別や現状のマーケットから解説し、今後の動向までを分析していきます。

需給状況に抜かりなし?名古屋のオフィス事情

名古屋のオフィス市場は上記でも頭出しの通り、現状ではオフィスマーケットの成長に合わせた堅調な需要の高まりを続けている状況で、ここ数年の実績を見ても空室率は右肩下がりの状況です。2015年には三菱地所の大名古屋ビルヂング、日本郵政のJPタワー名古屋、2017年にも旧国鉄笹島貨物駅跡地に竣工した豊田通商らなどによるグローバルゲートウエストタワーなどが竣工しており、絶えず大型のオフィス供給が行われている状況ですが、空室率を見ても2016年時点で6.5%ほどから2017年時点ではさらに加工し5%台前半をマークするなど供給を難なく消化している様子で、その需要の高まりを感じることができます。

オフィスの成約賃料の観点から見ても、前回解説した大阪では旺盛なオフィス需要と供給があるにも関わらず賃料水準に伸び悩みがみられると解説しましたが、名古屋では2010年代前半から現在に至るまで賃料水準も着実に上昇しています。東京や大阪では昨今のオフィス需要の高まりのため同じ年度内にまとまったオフィス床面積の高賃料水準での大量供給を行ったことによる空室率の一次的な上昇がみられましたが、名古屋では2010年代と比較し賃料水準は40%近く上昇している状況で、空室率と賃料のグラフを並べてみても需給の悪化は見られず極めて健全な成長を遂げていることがわかります。

需給の動向に目をやると、名古屋の主なビジネスエリアではここ10年間の間にオフィスの賃貸面積としては14万坪の増加を記録しています。この水準は2008年のリーマンショック以前の2000年代前半の好景気時以来の勢いであり、その供給の規模感が見て取れます。この数字は過去5年間の実績と比較するとそれまでのオフィスストックとの比較で凡そ12.2%の増加となっており、この実績値は同期間の東京の12.5%とほぼ同等の成長率であることに加え、3位の大阪7.3%に対し大きな差をつけていることがわかります。前回の大阪のオフィス事情では需要の高まりに対し見合った規模感の供給がなされていないことを課題として取り上げましたが、名古屋では需要に対し健全な規模感での対応を図っている状況です。

エリア別にみる名古屋のオフィス事情

エリア全体として好調且つ堅実に成長を遂げていることがわかる名古屋のオフィス事情ですが、名古屋でオフィスを構えるにあたっては、どういったエリアが適地と言えるでしょうか?

充実の繁華街 栄エリア

江戸時代に城下町として誕生し、以来名古屋の中心地としてその役割を果たし続けてきた栄エリア。その名残からエリア内にはオアシス21、三越などの商業機能に加え、ルイヴィトン、エルメス、グッチなど高級ブランドが基幹店として店舗を構える名古屋随一の商業エリアとしても知られており、地下に潜ればサカエチカやセントラルパークといった地下街が広がっています。

高層ビルが立ち並ぶエリアでもありますが、その近代的な景色から少し横に目をやれば、数々の公園や広場などの緑が栄駅から南に向かい存在し、リフレッシュすることができるような空間も備わっているという一面も併せ持つ場所でもます。また、鉄道路線としては東山線と名城線のアクセスがあり、駅構内にはバスターミナルといての機能も備えているため、交通の便についても申し分ありません。オフィス街としても従来からの中心的なオフィスエリアとして存在感を放つエリアであり、金融機関の集積なども見られるなど根強いオフィスニーズを得ており、他の都市には無い名古屋独自の個性を持ったエリアであると言えます。

名古屋の玄関口 名古屋駅前エリア

名古屋の玄関口である名古屋駅東側に広がるエリア。地下鉄や私鉄も乗り入れが多くあることに加え、近年では大名古屋ビルヂングやミッドランドスクエアなどの商業施設もこのエリアに現れたことから新たな名古屋のターミナルエリアとしてその存在感を強めています。地方からのアクセスという観点においても強みを持ち、新幹線のターミナル駅としてもその認知度は高いエリアです。

他の名古屋主要エリアとは異なり、地下鉄だけでなくJR線も通っており、隣接の名鉄名古屋駅からは一本で中部国際空港(セントレア)にアクセスすることもできるエリアのため、トヨタや三菱商事、全日空、JXTGなどグローバルにビジネスを展開する企業が集積しています。2027年にはリニアモーターカーの開通が予定されており、その利便性にさらなる注目を集めています。2000年代ごろから名古屋駅前のビルの高層化は始まっており、200メートルを超える複合ビルが多数立ち並んでいる名古屋市内随一のオフィスエリアです。現在も多くの再開発計画が予定されている名古屋駅周辺には上記のような多くの著名企業がオフィスを構えており。賃料水準も名古屋市内ではトップとなっています。直近でも大型オフィスビルの供給が相次いだことでオフィスエリアとしての成熟度を高めており、一層の発展が期待されるエリアです。

伝統のビジネス街 丸の内

「栄」の北側に位置するエリアで、名古屋城との間に広がる丸の内エリア。かつての名古屋城建築の際に合わせて形成された商業の中心地であり、かつ伝統的な歴史あるオフィス街としても認知度の高いエリアです。近年地下鉄桜通線の開通により利便性が急速に高まったこの丸の内エリアには多くの著名企業がオフィスを構えるビルが立ち並んでいるが、見渡せば築古で中小規模のビルが多い再開発の機運を感じる雰囲気も併せ持つ。また名古屋の官庁街である三の丸地区に隣接していることから、外郭団体や法律関連企業が多く丸の内には事務所を賃貸していることも特徴の一つです。また名古屋高速都心環状線を超えると愛知県庁や税務所、裁判所、警視庁などといった公官庁系の機能が集積する建物が碁盤のように並んでおり、その端正で計算されたような街並みはどこか落ち着いた雰囲気に包まれています。

地下鉄鶴舞線、桜通線が通っており、交通の便に関しても申し分ない上、名古屋商科大学の高層ビルキャンパスをはじめとする高等教育機関や、スーパーや病院、生活利便施設など生活をする上で必要となってくる機能が集約されているためタワーマンションが多く所在する高級住宅地としてもブランド力がある丸の内エリアは、住居を構える土地としても適していると言えます。

名古屋の大蔵省的立場 伏見エリア

名古屋の中心的な大通りであった「本町通」から西側のエリアである伏見。古くから名古屋ではビジネス街として知られ、かつて東海銀行本店(現在は三菱UFJ銀行に統合)が本店を構えていた、現在も多くの証券会社や近郊等の金融系企業が本店及び名古屋支店を構えていることが特徴でもあります。近年開通した東山線と鶴舞線を含め3線の地下鉄路線が利用可能など利便性にも優れているエリアですが、上記の名古屋の主要エリアに比べてオフィスの賃料水準が低いことや、地方営業のための機能を担うことが多い他都市本社の企業にとって重要な要素となる駐車場を比較的確保しやすいということも多くの企業がオフィスを求める人気エリアとして名を連ねる理由の一つです。近年は伏見通り沿いを中心に大型オフィスビルが相次いで竣工し、築年数の浅いビルが少ない名古屋の中で人気を高めているという側面もあります。病院やカフェ、コンビニエンスストアや居酒屋なども多く存在し、生活利便性も高い上、名古屋市科学館のすぐそばに白川公園という大きな公園が立地しており住環境としても評価は高いエリアです。

名古屋のオフィス事情の今後

2015年以降の名古屋駅前の再開発によって行われた大規模なオフィス供給も2017年で一段落した名古屋エリア。大名古屋ビルヂングとJP タワー名古屋、2016 年にシンフォニー豊田ビル、2017年にJR ゲートタワー、グローバルゲートと計5棟が竣工し、名古屋駅前のオフィス集積が高まりを見え、旺盛な需要に供給を行ったものの、その消化も難なく行ってしまい、その成長ぶりは目を離せません。その後2018年に広小路クロスタワー、2019年の鹿島伏見ビル、さらに今後は2020年に名古屋三交ビル建替計画、2021年に名古屋三井ビルディング北館などが予定されている名古屋ですが、新規供給面積で言うと2015年時点と比較し、やや緩やかになる見通しです。 名古屋のオフィス賃料水準は、今後も需要が底堅く成長することが見込まれるため、当面の間は上昇が続くと予想されています。ニッセイのオフィスマーケットレポートに基づけば名古屋のオフィス賃料は、2020年のピークまで2017年下期比+3.6%の上昇となる見込みです。その後、賃料は下落に転じ、2024年には2017年下期比▲6.1%まで下落する見込みです。 名古屋のオフィス事情は、2015年からの大量供給により懸念されていた需給の悪化がそこまで深刻化しなかったことに加え、二次空室などの富樫問題もほぼ問題なく解消するなど、市況としては堅調&好調に成長を続けています。今後も、見通しが明るいオフィス需要を捉え、2020年まで賃料上昇が続く見込みですが、その後の賃料下落しなりををどこまで好転させることができるかが今後のオフィスエリアとしてのプレゼンスに大きく関わることなりそうです。


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大阪のオフィス事情

東京に負けず劣らずの大都会である大阪ですが、そのオフィス事情は一言に「オフィスバブル」と言って過言はないでしょう。近年大阪のオフィスマーケットはその過熱ぶりの影響で空室率がかつてない勢いで低下傾向にあり、メインのエリアではまとまった規模感のオフィス床を確保することは非常に困難な状況となっています。

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