秋葉原・御茶ノ水のオフィス事情

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  • 2020/05/07

東京駅の北側に位置する秋葉原、お茶の水エリア。おそらくこの2エリアの名前を聞いた時のイメージは「秋葉原=オタク文化」、「御茶ノ水=楽器屋の聖地」といったところでしょう。元来こういったサブカルチャーの色が強かったこの2エリアは現在交通利便性の高さや周辺の立地環境の良さから、次世代のオフィス適地として注目を集めています。

特に秋葉原を中心としたエリアでは直近でも住友不動産による大規模再開発プロジェクトである「住友不動産秋葉原ファーストビル」、および「住友不動産秋葉原駅前ビル」の2棟が竣工を迎え、相当な規模のオフィス床が供給されています。お茶の水エリアも、かつては楽器屋が多く集積するエリアとしてだけではなく、東京医科歯科大学や明治大学などの学生でにぎわう学生街としての一面も持ち合わせるエリアでしたが、2018年よりJR東日本による御茶ノ水駅の大規模なリニューアル計画が進行しており、駅の利便性が大幅に向上しています。

周辺には神保町、神田といった比較的カラーの強いエリアと隣接するこの秋葉原・御茶ノ水エリアですが、オフィス街としてのポテンシャルは実際のところどうなのでしょうか?両エリアのオフィス事情や今後の動向などを交えつつ、解説していきたいと思います。

アンダーグラウンドな世界からサブカル発信地へ 秋葉原の歴史

現在の秋葉原の位置するエリアは、皇居を取り囲むほかの千代田区と同様、旗本の大名の屋敷が立ち並ぶエリアとして発展を遂げた歴史があります。現在の御成街道架道橋はかつての徳川家の寛永寺の参拝道であり、かつて下谷御成街道と呼ばれたことからその面影を残しています。

このエリアが「秋葉原」と呼ばれ、認知されるようになったのは明治時代のころ、大規模な火災が頻発していたこのエリアを見かね明治天皇が勅命により鎮火社を作らせ、そこに祀られた火伏の神である「秋葉大権言」が秋葉原の地名の由来となっています。秋葉原の経済が発達したのは第二次世界大戦以降、困窮する日本国民のために米軍兵から仕入れた違法物資を取引するための闇市として一つの繁華街となりました。

その後高度経済成長により日本の精密機械産業が急激な成長を遂げ、その最先端の地・万の地として秋葉原には多種多様な電子機器やハードウェア、PC関連の周辺機器を取り扱う専門店が数多く立ち並ぶ電気街へと発展しました。その後の日本で電子機械産業が成熟すると家庭用ゲーム機のブームが巻き起こり、秋葉原には多くのゲームショップが立ち並びました。ゲームブームが本格化するとゲーム内のキャラクターや世界観に関連したグッズへの需要が高まり、秋葉原の多くのゲームショップなどがそういった商品を取りそろえ始めたことで、秋葉原現在のようなアニメショップやホビーショップなどの聖地として知られるようになっていきました。現在ではそういった日本発祥のサブカルチャーである「オタク文化」を求めて多くの訪日外国人が日々秋葉原を訪れており、秋葉原は日本を代表する商業地として現在も発展を続けています。

住みよい学生の街 御茶ノ水の歴史

神田川沿いに位置する御茶ノ水は様々な地名の表記の仕方があり、「御茶ノ水」、「御茶の水」、「お茶の水」など、地名や施設名によってさまざまなようです。鉄道の駅については統一し、「御茶ノ水」という表記が利用されています。江戸時代は秋葉原同様、武家屋敷街として名を知られていた御茶ノ水ですが、現在は周辺に明治大学、日本医科歯科大学をはじめとし、日本大学、順天堂大学などの規模の大きい私立大学や専門学校、予備校が集まるエリアであり、一大の学生街であるといわれています。また医科歯科大学が近いという立地柄、各科目の非常に有名な医院が周辺に点在していたり、神田明神や聖ニコライ堂などの宗教施設に加え、ひとたび明大通りに入れば多数の飲食店や生活利便雑貨店などが存在し、その利便性に寄りかつては日本一地価の高い街として知られるエリアでした。

御茶ノ水の持つもう一つの顔と言えば、「楽器屋の聖地」という一面ですが、なぜ御茶ノ水には特筆して楽器屋が多く立ち並ぶのでしょうか?実は、この件に関しては明確な起源などがわかっていないようで、御茶ノ水でも老舗と呼ばれる下倉楽器、石橋楽器、谷口楽器などの創業年である1937~1938年に着目をすると、ちょうど1900年代前半に日本は初のプロオーケストラ楽団である「東京フィルハーモニー交響楽団」や、「NHK公共楽団」などが結成され、大衆の娯楽として音楽がより身近になった時期であることがわかります。この時期に国民の間でも楽器に対する需要が一気に高まったことから上記のような楽器店が御茶ノ水に相次いでオープンしたことで、矢継ぎ早に様々な楽器店がオープン、楽器の街として定着したのではないかと考えられています。現在でも上記二つのイメージは変わらず、楽器店はもちろん、周辺には大きな医療法人や医療系ビジネスを生業とする企業たちが多く周辺にオフィスを構えていることが特徴です。

ポテンシャルは十分?秋葉原・御茶ノ水のオフィス事情と今後

ビジネス街・オフィス街として多くのエリアが発展を遂げている千代田区内の中でも、上記のようにカルチャーの発信地としてプレゼンスを発揮している秋葉原・御茶ノ水は、非常に興味深いエリアと言えます。

しかし、二駅合わせて9本の鉄道・地下鉄の乗り入れがあり、立地柄千代田区の各エリアともアクセスが良好なこのエリアのオフィス街としてのポテンシャルは計り知れません。実際、冒頭でも述べたように秋葉原駅前では住友不動産が主導となり大規模オフィスビルが相次いで竣工、稼働していたり、御茶ノ水エリアも2010年代に入ってから淡路小学校跡地の再開発である「ワテラス」や新御茶ノ水駅直結のオフィスビルである「ソラシティ」などが竣工しています。すでにオフィス街としてのポテンシャルを見初められている両エリアは、他の千代田区内エリアに遜色のないオフィス需要の高まりを見せており、街の特徴を見ても、両エリアはその需要の受け皿となる可能性を持ち合わせていることがわかります。

現在、秋葉原・御茶ノ水エリアの賃料相場は凡そ29,000円~30,000円前半代の推移であり、これは千代田区の平均からするとやや廉価ではありますが、2015年時点での同エリアの賃料水準が18,000円~20,000円中盤だったことを鑑みると、急激に高騰していることがわかります。この賃料高騰には、もちろん冒頭で述べた住友不動産の高スペックオフィスビルが竣工し、賃料水準を引き上げているという事実も影響しています。

それにも関わらず、両エリアの空室率は軒並み1%台前半、秋葉原に限って言えば2018年時点では驚異の0.68%を記録しており、賃料の高騰をものともしない旺盛な需要を垣間見ることができます。これは千代田区の平均空室率を大幅に下回っています。対してCBREが発表しているレポートによればオフィスワーカーの増加指数を含めた成長度はやや鈍く、現状では旺盛なオフィス需要に対し供給が全く追い付いていない状況です。 この空前絶後の需要を我先に享受しようと、昨今では多くの再開発計画が周辺では推し進められ、稼働率が落ちた街の小さな家電販売店などの店舗が次々に商業ビル内に集約され、大きなオフィスビルに建て替えられてきました。旺盛な需要にこたえることで同エリアが発展するのは間違いのないことですが、千代田区の中でも独特な特徴を持っていた秋葉原・御茶ノ水エリアが時代のニーズへの最適化により、古き良きカルチャーが失われることにさみしい思いを抱いている人も少なくありません。上記の秋葉原・御茶ノ水エリアのオフィス事情だけに目をやれば、この旺盛な需要を取りこぼすことは考えられないことですが、例を挙げれば秋葉原では、かつて小さな電気やが多く並ぶ秋葉原では、電化製品を買う際にはさまざまな店を梯子して比較検討することが可能であったが、現在では大型の家電量販店に集約されたため、所謂「ただの家電街」化が進んでおり、かつてのようにわざわざ秋葉原に出向いて買い物をするメリットも少なくなったという声も聞こえています。Eコマースが台頭する小売業界では、こういった街が特徴をなくし、人に対する吸引力を失うことは大きな打撃となります。都内に無数と言っていいほどに存在するオフィス街の中でも、特徴的な土地柄を持つ秋葉原・御茶ノ水エリアが今後も魅力的なエリアとして人を集められるか否かという議論には、現在のサブカルチャーをいかに埋め立てずに共存していくか、という論点も少なからず含まれるように思います。


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