Interview 03

商業用不動産の1つの指標を作る。機械学習エンジニアの挑戦

エンジニア

宮崎 大輝 / 2020年10月中途入社

宮崎 大輝(みやざき だいき) 1992年大阪生まれ。東京大学大学院工学系研究科卒業後、アクセンチュア株式会社に入社し、データサイエンス系の部署へ配属。 大学で学んだ機械学習の知見を活かし、製薬業界・インフラ業界でデータサイエンスを用いたコンサルティングを行う中で、データ分析のスキルを高める。 2020年10月にestieにデータエンジニアとして入社し、機械学習を用いてビルの賃料水準を推定するモデルの開発を行う。

宮崎さんは今どんな仕事をしていますか?

estie独自のアルゴリズムを開発しています。このアルゴリズムは各ビルのスペックを賃料水準として推定するもので、「e-賃料」としてサービスに提供しています。

そもそも、商業用不動産市場ではオフィスがいくらで募集に出されているかという情報(募集賃料)や実際にテナントといくらで妥結されたかという情報(成約賃料)があまり出回っていません。 一方で、これらの賃料情報はビルオーナー等が賃料を策定する上で喉から手が出るほど欲しいデータでもあります。これまでこのような情報は仲介会社へのヒアリングによって得られていました。

しかし、ヒアリングによって集まったデータは非常に限定的で、オフィス賃貸業において大きく利益を左右する賃料策定すら十分なデータに基づいた意思決定ができていませんでした。

私たちは、50以上の情報ソースからなるデータパイプラインから得た賃料データを元に、機械的に算出した賃料水準を「e-賃料」として提供することで、データに裏打ちされた意思決定を前に進めております。その結果、安い値付けをしてしまい本来得られていたであろう利益獲得のチャンスを逸することを防ぐことができます。潜在価値をも正しく評価することで最適な値付けができることを目指しています。

e-賃料のどのようなところに難しさや面白さがありますか?

賃料に関して正解となるデータが限られている環境で、どのように賃料水準を推定していくかに難しさがあります。日々試行錯誤を繰り返していますが、正解データが限られる状況下において「正解データをどう定義するのか」を考えることが面白いとも感じています。

賃料水準が分かるとユーザーにとってどんな嬉しいことがあるのか、自分達の提供データが実際の賃料策定や物件取得にどのように役立つのかを考えながら、estieが保有しているデータを駆使して正解データを定義していきます。

深いユーザー理解と、アルゴリズムの改善によって実業務に役立つ1つの指針となるようなデータ提供を意識しています。

e-賃料は最終的にどのような存在になるのでしょうか?

最終的に、e-賃料を商業用不動産の賃料における1つの基準のような存在にさせたいと思っています。 株式市場には日経225をはじめとした多くのインデックスが存在しています。一方、商業用不動産市場にはそのような指標がほとんどありません。したがって、現在の賃料策定において「理論」の存在感はあまりなく、各担当者の経験に比重が置かれています。

e-賃料によって時流や市況にあった適切な賃料水準を導き提供することで、貸主は適正価格で募集できる・オフィスを探している企業もオフィスの価格の動態をパッと把握できるような世界を作りたいと思っています。 貸主がオフィス本来の価値よりも安く貸してしまうケースや、テナントが必要以上に高い値段でオフィスを借りてしまうケースが無くなり、市場からアンマッチが解消される世界にしたいと思っています。

商業用不動産の指標の1つを作るという取り組みは、機械学習という分野を飛び越えた面白いチャレンジだと感じており、estieでしか経験できないユニークなことだと考えています。

機械学習エンジニアですが、ユーザーと話すことはありますか?

e-賃料は導入いただく企業の各ユーザー様と共に育てているので、もちろん話します。日々の定例などで、e-賃料の情報を意思決定の参考情報として活用している方からフィードバックをいただき、その声をe-賃料の精度やアルゴリズムの改善に役立てています。

どう改善すれば業務に役立つのか、活用シーンが増えるのかを考える営みを顧客とセールスとワンチームで行なっています。

現在の課題としては、e-賃料のコンセプトは面白いと思ってもらいやすいのですが、e-賃料を用いた社内資料で関係者を説得するまで活用がなかなか進んでいないことです。 従来は仲介会社へのヒアリングによって得たデータを参考情報として用いて社内資料が作成されていましたが、そのデータの算出根拠はブラックボックスとなっていました。 対してe-賃料は、ビルの竣工年や立地、空室状況などの変数を用いて算出しています。最近では、どの情報が大きく賃料に影響しているかを示すことで、データに基づいた社内議論が活発になるかをお客様と一緒に考えています。

今後estieでやりたいことは何ですか?

データ分析を強化し、データを活用したプロダクトを作りたいです。

私たちはこれまで商業用不動産データを蓄積し、綺麗にしてきました。これからはestieが持っているデータを使って、高度な分析を行えるようにしたいです。 estieに蓄積したデータを閲覧すること自体が価値となっていたのが今までだとしたら、これからはそのデータを利活用し、高度な分析を通して価値を出せるようにするということです。 それを実現するために、自分はこれから複数の技術にトライし、データサイエンティスト・機械学習エンジニアとしてのスキルを高めていくと共に、フルスタックのソフトウェアエンジニアとしてのスキルも高めていきたいと考えています。

estieで実現できそうですか?

できる環境と自信を持って言えます。

estieには自主的に手を挙げて行動する人にはどんどん任せるカルチャーがあります。Railsが得意なエンジニアが、estieに入社後にはPythonを書いてインフラ構築をしているケースもあります。私自身もestieに入ってからJavaScriptの勉強会に参加し、1機能のプルリクエストを作ることができるようになりました。

初めて書く言語もCTOや各領域の第一人者級のエンジニアの助けをもらいながらチャレンジすることができます。とても良い環境で効率良く成長している実感があります。

estieのこのカルチャーはエンジニアに閉じた話ではもちろんありません。事業開発をしていたメンバーが人事になったケースや、プロダクトマネージャーになったケースもあります。

四半期レベルの短期間に様々な経験を積むこともできますし、数年スパンで腰を据えて新しいことにチャレンジすることもできます。estieは両方に理解があり、信じて任せる信頼関係がメンバー間にあると思います。

私もフルスタックエンジニアとして、垣根なく事業に関わっていきたいです。今はe-賃料のプロダクトオーナーなのでその領域からなかなか離れられないですが、メンバーをもっと増やして有機的に役割を変えて、プロダクトと自分の成長にコミットしていきたいです。

インタビュー Interview ask the team

募集職種一覧 POSITIONS opportunities

0%
LOADING