
はじめに
こんにちは!estieでインターンをしています、東洋大学3年の Matsuri です。
株式会社estieは、3月9日(月)から13日(金)にかけて栃木県のライトキューブ宇都宮にて開催された言語処理学会第32回年次大会(NLP2026)にプラチナスポンサーとして参加し、ポスター発表とブース展示を行いました。当社による同大会への協賛は今年で3年目となります。
estieも企業ブースやってます!P会場ですのでぜひお越しください! #NLP2026 pic.twitter.com/qsXVt75xNj
— Nari / estie CTO | 不動産AI Lab (@tiwanari) 2026年3月9日
本記事では、今回発表した研究の内容や感想などを振り返ります。
研究内容
私たちは、「LLMを用いた不動産情報抽出におけるドメイン知識の段階的付与が精度に与える影響」について研究しました。
これは、昨年度と同様、estie J-REITというプロダクトのデータ構築プロセスに関する研究です。
J-REITが公開するプレスリリースには、多種多様な表構造があり、さらに重要な情報が欄外の注釈に記載されていることも少なくありません。こうした複雑な文書から不動産取引や鑑定評価の情報を正確に抽出するため、LLMを用いて構造化を行っています。
言語処理学会第31回年次大会 (NLP2025) 参加レポート - estie inside blog
難易度の高い抽出タスクに対するプロンプト設計として、知識をレイヤーごとに分解して累積的に付与することで、どの知識が抽出精度の向上に寄与するのかを調べました。
対象としたのは、J-REITが公開するプレスリリースです。これらの文書は構造のばらつきが大きく、同じ種類の情報が表中だけでなく注記にも記載されている場合があります。また、後続の注記を読むことで初めて表中の数値を正しく解釈できるケースなど、数値をそのまま採用できない場面も少なくありません。そのため、文書全体の文脈を踏まえて解釈する必要がある点が、本タスクの大きな難しさの一つでした。
研究を始めた当初は、この分野のドメイン知識をあまり持っていなかったため、正解データを作ること自体が大きな難しさでした。その一方で、知識が十分でなかったからこそ、「この問いを解くためにはどの知識が必要なのか」を自分なりに整理しながら実験に向き合えた点は、かえって良いことだったと思います。
訓練データを用いてプロンプトに与える知識を調整していく中で、それまで正しく抽出できなかった難しいケースに対応できるようになる場面もありました。試行錯誤を重ねながら仮説検証を繰り返し、出力の変化を確かめていく過程には、この研究ならではの面白さがあると感じました。
感想

今回のポスター発表では、想像していた以上に多くの方に足を止めていただき、さまざまな分野の方と議論することができました。自分たちの研究に関心を持ってもらえたことはもちろん、研究内容に関する基本的な質問から、応用可能性や手法の選択に関する踏み込んだコメントまで、幅広い観点で意見をいただけたことは非常に刺激的でした。
今回多くの方に立ち寄っていただけた背景には、いくつかの工夫があったと考えています。特に、ポスター制作において社内デザイナーの協力を得たことで、視認性や完成度が高まり、遠目からでも内容の概要が伝わる構成にすることができました。その結果、通りがかった方にも関心を持っていただきやすくなっていたように思います。また、扱っているテーマが比較的身近でイメージしやすかったことに加え、専門外の方でも理解しやすい構成を意識したことも、立ち寄っていただけた要因の一つだったと考えています。
また、会場で多くの発表を聞く中で、非構造化データの扱いに苦労している事例は、多くの分野に共通する課題であると感じました。今回の学会でも、テキストや記録データから意味のある情報を抽出する研究が数多く発表されており、実世界のデータをどのように構造化し、活用できる形にするかが重要なテーマになっていることを改めて感じました。

私自身、学会に参加するのは今回が初めてでしたが、研究内容について直接議論できる場の面白さや、さまざまな分野の研究に触れられる楽しさを実感しました。今回の経験を通して、研究を発表することの面白さを改めて感じるとともに、今後もこうした場に積極的に参加していきたいと思いました。
おわりに
estieでは、不動産領域のデータを活用しながら、AIやデータサイエンスの技術を用いたさまざまな研究・開発に取り組んでいます。今回のように学会での発表や外部との議論を通じて新しい知見を取り入れながら、不動産市場の透明性向上に貢献していくことを目指しています。
こうした取り組みに興味を持っていただけた方は、ぜひestieの活動もチェックしてみてください。学生インターンも積極的に募集していますので、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください!